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『教養としての建築入門』 建築学生は読むと良い!

2024-06-06 16:02:06 | 日記
『教養としての建築入門』坂牛卓

中公新書。
建築の始まりから、
東京オリンピックやコロナなども踏まえた
最新建築事情まで。

これは、建築学科に入学直後の私に読ませるべき!!!
2023年初版だけどな。

学生時代の私が読むべきは後半の
建築家としての姿勢ですね。
トライ&エラーを恐れずに検証を続ける根気強さや、
建築は一人では完成しないことを踏まえた
専門領域からクライアント意向から社会環境までの
多角的視点と、それぞれの意見をまとめる冷静さ。

うん、読んだところで自覚できたかわからないな。

まあ今更ですよ。
中年となった私が楽しんだのは建築の歴史や
思想の変遷だなあ。
ゴシックの後にルネサンスが来たるべくして来る感じとか。
モダニズムの後にはポストモダニズムになるとか。
歴史の再現性みたいなものもあって、面白いよね。

最古の建築書はローマの建築家ウィトルリウス『建築書』。
「用・強・美」という建築の三原理を提唱。
なんだか聞き覚えのなる名前だよなあと思ったら
ダ・ヴィンチの「ウィトルリウス的人体図」の人なんですね。

「機能」という言葉周りの主義主張もおもしろかった。
「形態は機能に従う」(アフォリズム)と主張した
ルネ・サリヴァンは、意外とデコラティブだったり。
(サリヴァンは機能主義者ではない)

一方、機能主義代表みたいなオットー・ワーグナーは
「実際的でないものは美しくない」と言っている。
言い切っちゃったよ、この人。
そして丹下健三は「美しいもののみ機能的である」と言う。
また言い切っちゃったよ。そういう論調、よくないよ!

あとカントによる「人間の自律性」から、
モダニズム建築の「形式主義」への流れ。
どうでも良いけどカントって何でもかんでも批判する。
疲れないのかな。

最後の「建築と経済」の項で、
建築が投資商品となるリート(REIT)の話から
作者のエピソードでドバイの高層ビルを
「あと数十メートル高くして。
高さランキング上げないと高値で売れないから」
というクライアントオーダーがツーンと沁みます。

何はともあれ良い本!
私的には星4.5くらいなのだけれど、
ブクログとアマゾンで評価が割れてるのは
なんでだろう。

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