素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

『原発安全神話の文法』というコラムは面白かった

2011年05月19日 | 日記
今日の毎日新聞の“木語”という欄で金子秀敏専門編集委員が『原発安全神話の文法』というコラムを書いている。《自動詞》と《他動詞》がキーワードになっている。国文法は中学の習い始めよりまったくなじめず、ほぼお手上げ状態で今日まで至っている私なので、多少読むのに抵抗があったが面白かった。

 グーグルのニュース検索で「原子炉津波で壊される」と入力しても反応がないが、「原子炉津波で壊れる」とすると多くのニュースがヒットするという話から日本人の思考回路は原子炉が“壊れた”と自動詞を使うのに対して、英語のニュースを検索すると“ダメージ”(壊す)という他動詞を受け身にして“壊された”と表現していると指摘。

 自動詞“壊す”だと行為の主体が明確だが、他動詞“壊れる”だと自然にそうなるようで破壊の原因があいまいになる。ということをふまえ日米の比較をする。

 日本の原発神話も“事故は起きない”と自動詞。米国人は、事故を“起こす”という他動詞。

 そして、ブッシュ政権が「テロとの戦い」を始めた時のことを例に出す。その時米政府は原発の非常用電源設備を見直し、安全性を高める措置をとった。なぜなら、テロリストが事故を起こすと考えたからである。日本政府の思考回路にはそのことが皆無であった。

 最後に、原発事故を自動詞で語る限り、原発安全神話がよみがえるのではないかと危惧している。

 津波、原発だけではなく、便利さや合理性を追い求めてきた現代社会の脆弱さも今回の震災で、さまざまな分野で露呈したように思う。そこから何を学んでいくかだが、問題が大き過ぎて途方に暮れる。
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