某年金生活者のぼやき

まだまだお迎えが来そうに無い

IRAと南アフリカ共和国 

2011-08-29 17:36:43 | ぼやき
 またまた今朝のアイリッシュ・タイムズから。
 今年はじめに76歳で亡くなったANC(アフリカ国民会議)の長老活動家で南アフリカ共和国政府の元教育相アズマール氏の回想録が今週出版された。そのなかで、南アフリカ・アパルトヘイト(人種隔離差別政策)政府に対する1980年代の爆弾攻撃がIRA(アイルランド共和軍暫定派)の指導と訓練によって可能になったと始めて明らかにされた。
 著者のアズマール氏はダブリン大学トリニティ・カレッジの元法学教授。そしてIrish Anti-Apartheid Movement(IAAM)アイルランド・人種隔離差別反対運動の創設者。1970年代にアイルランド共産党書記長M.Riordanリオルダン氏の仲介でシン・フェイン(IRAの政治部門)のジェリー・アダムズに会い、その結果、ダブリンでアフリカの活動家2名を訓練してもらうことに成功したという。彼らは今度は国元で多くの人を訓練し、1980年には南ア最大の石油精製工場の爆破に成功。与えた損害の大きさよりも、それによる反政府組織の士気の高まりが大きかった。しかし、訓練などの裏事情は教授自身とその奥さん以外は誰も知らなかったという。教授は27年間ダブリン大学で講義をしたのち、アフリカに帰り、新しい南アフリカ共和国の国会議員に選挙され教育相を務めた。
 ベルファスト(北アイルランド)のカトリック居住区の民家の壁には南アの不屈の指導者マンデラの肖像画が描かれていた。連帯を示す壁画とだけ思っていたが、実はもっと深く、長い共闘の歴史があったのだ。誰も本当のことは知らなくとも、共闘の実感はあったのだろう。
 これも世界は一つの事例だな。日本だけ見ていると、こうした民衆レベルでの確かなつながりが見えてこない。それにしても、400年以上の歴史を持つ超一流の大学の法学教授が祖国の虐げられている民衆の解放のためにIRAに爆破技術専門家の養成を依頼し、成功させるとは。学問と実践か。参ったな。
 
 
コメント
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