某年金生活者のぼやき

まだまだお迎えが来そうに無い

閑さや岩にしみ入蝉の声

2011-08-02 21:47:41 | ぼやき
 今日の朝日夕刊に山寺(山形)の記事とこの蝉の種類をめぐっての昔の論争が載っていた。おかげで中学生の時の悪戯を思い出した。
 敗戦の翌年、福島県立双葉中学四年生の時、授業がつまらないから教師をからかってやろう、と悪友三名で授業妨害をたくらんだ。まず国語。丁度芭蕉のこの句「閑さや岩にしみ入蝉の声」が教科書にあって次の授業で取り上げられる。物知りが「この蝉は何蝉か知っているか」と言う。そんなこと私が知るわけはない。すると「これは大論争だったんだ。斎藤茂吉はアブラ蝉だといい、小宮豊隆はニイニイ蝉だと言って、実際に芭蕉が句を作った時期に調べたら、ニイニイ蝉だったんだ」という。偉いことを知ってるな、と感心して、それを使おう、ということになった。私がまず教師に質問した。「この蝉はなに蝉ですか。」先生は知らないから「夏だからいろんな蝉が鳴くだろう」と言った。そこで物知りが手を挙げて「ニイニイ蝉です。こういう論争があります」と教えた。上手くいった。クラスの仲間は大喜び。先生は格好がつかなくなって帰っちゃった。後は一時間遊べた。これに味をしめて、また別の時間に似たような「瑣末な質問」をしたら「君たちはもう調べてきたんだろう、言ってみなさい」と逆襲されてしまった。
 全然歯が立たなかったのは数学。物理学校(現理科大)出の秀才だからついてゆくのが精いっぱいで妨害どころじゃなかった。英語も困った。英作文の先生が東京商大(現一橋大)卒だったから、英語はあまり得意じゃないだろうと高をくくって、模範解答と違う英文を作って持ってゆく。「これはどうでしょう。」と。「文法だけは間違っていないみたいだけれど、そんな言い方はしないよ」と軽くいなされる。リーダーと文法は、東北帝大の英文科卒。おまけに卒論が『英語の発音』だから、質問すると先ずこっちの発音を直されてしまって話にならない。授業妨害というのは難しいものだ。
 今でも、「ルーズベルト」と言ったら「ユルフンじゃねえ。ローズベルトだ」と訂正して下さった先生の声が耳に残っている。
コメント
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