某年金生活者のぼやき

まだまだお迎えが来そうに無い

カフカの「虫」は老残のボケ老人?オペラ「変身」を聴いた・観た。

2011-05-16 21:34:13 | ぼやき
 先日、オペラ「変身」を観た。こんにゃく座の40周年記念公演。原作はもちろんフランツ・カフカ。台本は山元清多、作曲林光。山元さんは昨年71歳でなくなった。変身したのだろう。
 あの、不条理とかわけがわからないとか言われるお話を、「そうだよ、どんな家族でもあんなことになったらそうなるよ、まして他人は普通あんなもんだよ」といちいち納得しながら時間を忘れて見ていた。身につまされる長いオペラだった。
 「変身」がオペラになるとは!普通では考えられないことだ。
 「変身」を観に行く、と言ったら、孫が、あれは読んだけれどわけがわからなかった、と言った。読んだだけ偉い、とほめ、日常的な経験にあれを置き換えれば、大変今日的なテーマを扱っている、という読み方も出来るよ、と付け加えた。老人介護の問題。
 昔、ブレヒト研究者の谷川女史に、『変身』の虫は家族みんなの苦痛の種になっている老人ではないか、と問うたことがある。「ザムザは若いけれど、虫の年齢は書いてないから、家族のお荷物になっているボケ老人と理解することも可能だ」と賛成された。虫は人間より早く年を取る。これは私の都合のよい解釈。以来30年。ようやく、同じような理解を示す台本が出来ていることを知った。あまり嬉しくない「社会現象」だな。こんな解釈をするのは日本人だけかもしれない。
 
コメント (1)
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