某年金生活者のぼやき

まだまだお迎えが来そうに無い

すいまちぇーん

2010-01-18 01:40:36 | ぼやき
 初孫の太郎は、2歳のころからラーメンが大好きだった。女房つまり彼のお婆ちゃんが猫可愛がりで、良く買物に連れて行った。食堂でラーメンを頼む。太郎は大喜びで食べ始めるが、お婆ちゃんが注文していないのに気付くと、「おいちいよ、お婆ちゃんも食べな」と繰り返し繰り返し言う。それでもお婆ちゃんは注文しない。するとクルッと後ろを向いて、店員に「すいまちぇーん」と声をかける。回りのお客さんたちは「おいしいよ、おばあちゃんも食べな」と繰り返す太郎の声を聞いて微笑んでいるが、この、いきなりの「すいまちぇーん」でびっくりして笑い転げる。中にはお茶をひっくり返す客まで出た。
 今彼はカクテルを作るのが上手になった。正月に兄弟姉妹子供孫が揃うと、注文に応じていろいろなカクテルを作ってくれる。でもまだどこかに「おいちいよ」「すいまちぇーん」を繰り返した頃の幼顔が残っている。太郎の作るカクテルだったら、お婆ちゃんはいくらでも飲んだろうに、と早死が惜しまれる。
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百万ドルの夜景

2010-01-18 01:09:31 | ぼやき
 阪神淡路大震災直後に飛行機から真っ暗な神戸の街を見た、と前に書いた。神戸の夜景は百万ドルといわれ、その美しさ・豪華さが讃えられていた(金額は神戸市の一ヶ月の電気代とも一日の電気代とも言われている。) その後同じような都市の夜景が次々に百万ドルと讃えられるようになった。
 会議で四国の松山に行ったことがある。主催者の世話で山上の料理を食べに行くことになり、皆でロープ・ウエイに乗った。大き目のゴンドラの中にガイドさんがいて、街を見下ろしながら「夜ともなりますと、ここから松山の百万ドルの夜景がごらんいただけます」と言った。いかにも古めかしい形容に聞こえた。もう1ドルは百円くらいだったから、つい「百万ドルと言うと景気良く聞こえるけど、1億円の夜景といったんでは格好がつかないな」と言ってしまった。ゴンドラの中には笑いの渦が出来たが、若いガイドさんは真っ赤になって黙ってしまった。悪いことをした。おりるとき、「すいません」とあやまった。ガイドさんは小さい声で「いいえ」といった。ますます気の毒になった。
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