パリ オリンピックで、4年に1度のレニ・リーフェンシュタール『オリンピア』(『民族の祭典』『美の祭典』)鑑賞会

2024年08月08日 | 映画

 レニリーフェンシュタールオリンピア』を観る。
  
 パリ オリンピックで世界は連日、盛り上がりを見せているが、4年1度のこの季節、個人的にひとつイベントというか、景気づけのようなものとして、この映画を観るのが習慣になっているのだ。
 
 それがドイツ映画の『オリンピア』。

 古い映画やドイツ史にくわしい方は、ご存じであろう。
 
 1936年に開催された、手塚治虫アドルフに告ぐ』でもおなじみ、NSDAP(ナチスの正式名称)政権下のベルリンオリンピックの記録映画。

 かの『キネマ旬報』で1940年度外国映画部門1位を取り、小林秀雄も絶賛する映像技術や、編集センスのすばらしさのみならず、

 

 「ナチのプロパガンダ作品ではないのか」

 「いや、そういう色眼鏡を通さず見るべし、ドキュメンタリー映画としては傑作なのだから」

 

 などなど、なにかと論議を呼ぶ文字通りの問題作だ。

 ちなみに『オリンピア』は通称で、正式名称は『民族の祭典』『美の祭典』の2部作。
 
 監督したレニ・リーフェンシュタールに「」「責任」があるかどうかはむずかしい問題で、私ごときがどうこう言えるものではないが、こと「映画史」的にだけしぼって見れば、レニの言う通り、
 
 


 「あの時代に生まれたのが失敗」



 
 
 なのは間違いなく、時代に生まれていたら、アルフレッドヒッチコックフランソワトリュフォーなんかにも負けない大監督として、確実に名を残していたはずなのだから。
 
 その観点から言えば、ただただ「もったいない」としか言いようがない。
 
 そんな『オリンピア』だが、そのへんのバイアスはとりあえず置いて、純粋に映画として見ると、これはもうただの大傑作です。
 
 1部、2部合わせると約3時間半の大作だけど、観ていても長さを感じない。

 馬術のシーンはちょっと冗長に感じるけど、それ以外はこんな古い映画なのに、全然退屈しない
 
 やはり「映える」のは、トリをつとめる高飛びこみ

 様々なアングルから、きたえあげられた体が宙を舞い、華麗空中回転を決めながらプールに吸いこまれていく。

 こいつが、これでもかと何度も繰り返され、なんとも美しすぎて陶然となる。

 ほとんどドラッグムービー。いつまででも見ていられる。まさに「美の祭典」。

 スポーツは好きだけど、「肉体美」のようなものに興味の薄い私がこうなるのだから、ホントにすごいもんだ。

 そら、いろいろ言われても、レニの評価自体は高いはずや。おみそれしました。

 実際、これをカラーにしてデジタルリマスターとかでキレイな画面に整理しなおして観てみたいんだよなー。

 そんなことすら感じさせるほど、レニの才能センスがほとばしっている。

 それにしても、これに影響を受けたと言われる市川崑の『東京オリンピック』は、なぜにて、あんなにつまんないんだろう。

 同じような内容のはずなのにねえ。

 


(『民族の祭典』と『美の祭典』)


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 迫撃! トリプルルッツ 久保... | トップ | 回転木馬のデッドヒート 中... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。