将棋 西山朋佳三段(女王)の剛腕 初の「女性棋士」誕生を大いに期待

2019年04月16日 | 女流棋士
西山朋佳三段のファンである。
 
 前回は藤井猛九段の「華麗な」終盤戦を紹介したが(→こちら)今回は力強い中盤戦を。
 
 「女王」のタイトルも持つ西山三段は私と同じ大阪出身。
 
 その強さは噂には聞いていたが、実際にその将棋を観ると想像以上に好みの棋風で、いっぺんにファンになってしまった。
 
実戦で鍛えたその力強い将棋は、女流棋士などには、なかなかいないタイプ。
 
 どちらかといえば、町の将棋道場にいる、メチャクチャ強いオッチャンみたいなのだ。
 
 一目ぼれした将棋というのが、2014年のリコー杯女流王座戦五番勝負第1局
 
 加藤桃子女王との一戦。
 
角交換型の中飛車左美濃の対抗形で、加藤女王が中央から仕掛けてこの局面。
 
 
 
 
飛車が総交換になる大さばきとなったが、後手はができて、玉型もしっかりしている。
 
 一方の先手はが働いておらず、▲57も守りから離れて、▲38をねらわれている形もイヤらしい。
 
 少し後手が指しやすそうにも見えるが、ここからが「西山流」の腕の見せ所であった。
 
 
 
 
 
 
 
 
▲69飛と打つのが西山も、



 「これで盛り返したと思った」



 手ごたえを感じた手。

 振り飛車党らしい、ねばり強い一着で、自陣への飛車の打ちこみを緩和しながら、にプレッシャーをかける。
 
 攻め合いでは分が悪いと見て、局面のスピードダウンを図る実戦的な戦い方だ。
 
 後手は△75馬とかわすが、すかさず▲66金とアタックをかけて、勝負勝負とせまる。
 
△53馬▲55桂と打ったところで、△88飛と加藤も待望の反撃。
 
 そこで西山は▲67飛と浮く。
 
 
 
 
 一見、ねらいの見えにくい飛車浮きだが、これが西山流の勝負術だった。
 
 ここからの手順が、すばらしい。
 
△24桂▲56金、△35歩と筋よく攻めたてられたところで、▲68歩(!)。
 
 
 
 
 飛車の横利きを止めて、これですぐには寄らない。
 
△36桂にも、▲18玉銀冠の強みを生かした形で(端攻めに強く、▲38が浮き駒にならない)、これで結構耐えている。
 
 後手は△89飛成と攻め筋を変えるが、これには▲59歩でまだまだ。
 
 
 
 
 いやあ、この一連の手順には感嘆させられた。
 
 ▲69飛から▲67飛、そして2枚のの壁。
 
 いわゆる「鍛えの入った手」であり、こういうのはやはり実戦経験が豊富で、力のある人じゃないと指せない。
 
 これぞまさに、玄人の将棋や。トモちゃん、シビれるで!
 
 将棋自体は、まだこれでも後手に分があったようで、終盤は加藤一手勝ちをおさめたが、その存在感は大いにアピールできたことだろう。
 
 この力強い将棋に、私はすっかり虜になってしまったのだった。
 
 
 (続く→こちら
 
 

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