「プラモがボロボロに壊れる設定は、ヒドかったよなあ」
先日、LINEにそんなメッセージを送ってきたのは、友人テンマ君であった。
そこで前回は、『プラモ狂四郎』に出てくる模型店「クラフトマン」店主である倉田太氏の、ゆがんだ性的指向について考察したが(→こちら)、そもそもこの作品は、そういうサディスティックなキャラクターが多く、たとえばこの人。
とってもナイスな悪役、蔵井明市郎くん。
この格好は、ドイツだと逮捕されます(マジ)。部下の2人も、なにげにいい味。
夢の対決、ガンダム対ドイツ軍。
今はメーカーのかねあいで、まず不可能な「異種格闘技戦」が魅力だった。
ザブングルvsザク(『ゴッドマーズ』のゾンデ装着)とか、ダンバイン対零戦とか。
蔵井君が従える「ジオン少年隊」なるモデラー男子たち(たぶんクラスでは陰キャ)。
「蔵井財閥」御曹司の彼は、コスプレ少年をはべらせ、「総帥」と呼ばせるなど、
「金があったら、こんなこともできるんや!」
と子供たちに、多くの夢をあたえてくれた。
蔵井君はシミュレーションの中で小学生の女の子を拉致し、「捕虜」と称して縄で縛るわ、京田君に睡眠薬を飲ませ(おいおい……)、やはり拉致し、「プラリング」なる自分に一方的有利な条件で戦ってボコボコにするわと、やりたい放題であった。
なにか、ミリヲタやシミュレーションゲーマーの評価を決定的に下げている気もするが、なかなか素晴しいヒールっぷりであった。
そんな蔵井君に「危険なプレーはやめなさい!」とか説教していた倉田氏だが、彼の方もなかなかなのは、前回も語った通り。
ちなみに倉田氏は「プラモ帝国エンペラー」のリーダー山根くんにも、
「相手のキットを、メチャメチャにすればいいってもんじゃない!」
とかエラそうに語ってたけど、こんなにさわやかな「オマエが言うな」など、聞いたことがない。
思うに、もうひとつ、氏が子供のプラモを無残に破壊する理由には、
「ビジネス」
これにもつながるのであろう。
シミュレーションによるバトルの末、プラモを失った子供は、次の戦いにそなえて、当然新しいキットを購入することになる。
また、修理しようというツワモノも、当然その材料であるポリパテやバルサ材、塗料などが必要となる。
それを買うのは、どこか。
当然、倉田氏の経営する「クラフトマン」である。
そう考えれば、氏のやっていることが、非常に理論立ったビジネスシステムであることが、よくわかる。
「少年好きなサディスト」である氏は、子供たちのプラモ愛やゲームへの情熱を利用して、シミュレーションマシンによる合法的な破壊活動を行う。
それによって傷ついた、少年の涙と悲しみをすすり、欲望を満足させるだけでなく、くわえて「実利」も得る。
なんという、悪魔的なシステムであろうか!
まるで、子供たちを意のままに操る悪魔、パイパーのようではないか。まさに死の商人。
さらに言えば、やはりプラモシミュレーションを別ルートで作ったサッキー竹田氏は、ゲーム内のメカがやられると、プラモのみならず、プレーヤーにもダメージが行く(なんで?)システムを作り出した。
こんな危険なゲーム、子供がやるなよ……。
倉田氏は「なぜそんなことを……」と愕然としていたが、このやりとりから推測するに、どうやら氏はサディズムは肉体ではなく、
「精神的なものであるべき」
という美学があるのだろう。
直接のダメージは邪道である、と。
このあたり、実に奥が深く、澁澤龍彦氏あたりに考察していただきたいところだ。
もっと言うと、その後シミュレーションを使った全国大会があるのだが、そこで使う「バイオバッジ」にも、プラモが傷つけばプレーヤーもケガをするという仕様がある。
こんな大会、今なら間違いなく炎上で中止だ。
なぜ、そんな金と手間をかけてまで、子供に痛い思いをさせねばならんのか。しかも、プラモで。
どうやら、このあたりに業界の闇がありそうだ。
「女子高生との、ふしだらを目当てに教員免許を取る」的なゆがみが感じられ、真相の解明が急がれるところである。
容赦なくぶっ壊されるパーフェクトガンダム。
味方だからって油断できない。ストリーム・ベース小田さんによる「かわいがり」。
小学生に「取り外せる装甲」をイチから作れと……。
なんたって、倉田氏はこの全国大会に備えて、訓練用に、
「プラモが破壊されないシミュレーションマシン」
これを作っているのだ。
順番逆だろ! 逆!
ふつうは、ただのシミュレーションマシンだけ作って、オプションで「壊れる」ようにするのが順番ではないのか。
手間暇かけて、わざわざ大変な仕様で発表する。
そこには、「どうしても、子供たちのプラモをバラバラにしたい」
という、氏の深い情熱がうかがえる。
我が街大阪には、「難波秘密倶楽部」なる、蛙亭のイワクラさんも通った大人の社交場があるが、まさにこの「クラフトマン」の2階こそ、
「いたいけな子供が、一所懸命に作ったプラモデルを、思う存分に破壊したい!」
という、特殊な趣味を持った紳士の集う、「東京模型倶楽部」なのだろう。
そんな倉田氏は、その後「クラフトマン」を発展的解消し、骨董屋を営んでいるという。
これまでのやり方を見ると、そこでどうやって利益を得ているのか、容易に想像がつくというものだ。
「プラモシミュレーションの生みの親、逮捕!」の文字がネットニュースを賑わす日も、そう遠くないのかもしれない。
>>倉田氏は「なぜそんなことを……」と愕然としていたが
この「自分がやると正義だけど、他人が同じ事をすると悪と認定する」という思考回路が、またリアル過ぎて嫌ですね(笑)。
いやあ、少年マンガって、ハッタリが効いてて楽しいです。
将棋のアべマトーナメントも、「評価値が下がったら電気ショック」「玉が詰まされたら、指している棋士も死に至る」「最悪、敗勢になっても投了前に相手を殺せば逆転勝ちとする」くらいのギミックが欲しいものです(←誰が見るんだよ)。