海外旅行で会ったゲイの人々 その5 チェンマイのルーマニア人&フランス人 編 

2018年11月17日 | 海外旅行

 海外でたまにゲイの人と出会うことがある。

 前回(→こちら)はトルコパムッカレで、

 「世界遺産」&「ブーメランパンツのオランダゲイカップル」

 という、やたらとアーティスティックなコラボに遭遇した話をしたが、こういった風景はアジアでも見られることがある。

 ヨーロッパではオランダがゲイ文化に寛容といわれているが、アジア代表といえばやはりタイであろう。

 西原理恵子さんの『鳥頭紀行』シリーズを愛読していたため、なんとなくは知っていたけど、たしかにタイの、特にバンコクのような都会では、日本人がイメージするような「夜の住人」ではなく、比較的フラットににいたりする。

 アジアは同性愛に寛容なのか、それとも国教である仏教に関連があるのか。

 もちろん、まったく偏見がないわけでもないだろうが、他の地域や国よりも圧倒的に受け入れ態勢が整っているらしい。

 そんな同性愛ゆるゆる国タイには、当然のことそういった人々も遊びに来るよう。

 パッポンのような繁華街で遊ぶ人もいれば(両側ずらりと並ぶオープンカフェみたいな店に、山盛りのゲイカップルがすわっていた通りに遭遇したときは壮観であった)、ごくごく普通に観光にくる人もいる。

 タイ旅行の際、北部の街チェンマイに遊んだ。

 古都チェンマイはタイ第2の観光都市で、寺院巡りをするもよし、トレッキングなどアウトドアあり、少数民族の村を訪れたり。

 タイ北部の料理を味わうなどなど、楽しそうなイベントが満載だが、中でも人気なのがとのふれあいであろう。

 タイといえば象であり、ミッシェルガンエレファントのファンである私としては、やはりここははずせない(そうなのか?)。

 さっそく旅行代理店に飛びこんで、象トレッキングをふくむチェンマイ・アウトドアツアーに申し込んだ。

 出発日の朝。7時にホテルの前で待っていると、ツアーバスがやってきた。

 安いツアーなので、バスというよりも、でかいバンみたいな車だが、片道1時間程度なのでこれで充分であろう。

 オフシーズンであったが、値段のリーズナブルさがよかったのか、客は盛況。メンバーは欧米人中国人半々くらい。

 ガイドを務めるタイ人チャーリーが、象のほかにいかだの川下りや、牛車体験などもあると説明するが、こなれた彼の説明よりも、どうにも気になるところがあったのだ。

 それが、ななめ前にすわっている二人組である。

 ひとりはひょろ長い背丈にメガネをかけ短髪白人男性

 映画『フルメタルジャケット』に出てくる、ハートマン軍曹に「ジョーカー」と名づけられてた、ジェイムズ海兵隊員みたいな風貌。

 もうひとりは褐色の肌で、アジア中東の血が入っているのであろう。インド映画の俳優サルマンカーンによく似た男であった。

 なにが気になるのかといって、その雰囲気が双方なのに明らかに「恋人同士」なのだ。

 別に目についてイチャイチャしているわけでもないのだが、なんともいえない両想い感が濃厚なのだ。仲よさそう。

 まわってきた出席簿みたいなシートを見ると、ジェイムズ君はルーマニア人

 サルマンさんは(こっちのほうが大人びていたので「さん」づけ)フランス人であった。もちろん性別はだ。 

 こりゃ、あきらかにつきあってますやんと、一応同行者にたずねてみると、


 「あ、やっぱそう見えた? 言おうかどうか迷っててん」


 やっぱ、素人が見てもわかるもんやなあ。

 まあ、本人たちが隠す気もないというのもあるんでしょうが。

 しかも、バスを降りたところでさりげなく観察すると、ジェイムズ君はマッチョタンクトップ

 サルマンさんはぴちぴちな、フトモモもあらわなホットパンツ姿。

 これはもう、決まりといっていいであろう。モロなファッションである。

 うーむ、やはり同性愛天国といわれるタイ。そういう人が自然に集まってくるのだろうと、感心しながらツアーははじまった。

 私と件のカップルは申しこんだ番号が近かったのか、エレファントショーの席なども近く、ちょいちょいと観察する機会にも恵まれた。

 力関係としては、ジェイムズ君がちょっと子供っぽいというか、あまり象に興味がないのか、ツアー中も妙に不機嫌

 言葉はわからないがおそらく

 

 「疲れた」

 「来たくなかった」

 「ノドかわいた」

 

 などとブツブツいうのを、サルマンさんが「まあまあ」と笑いながらなだめて、あれこれ世話を焼く。

 対等というより、世話焼きのと、甘えたなみたいなバランスであるようだ。

 なんだかその様子がほほえましくて、ちょっと声をかけてみたいような、でもからかい半分って思われたら失礼だし(それが考えすぎなのかもね)、どうしようか。

 なんて逡巡していたところに、思わぬところから二人とコミュニケートをとる機会が降ってきたのであった。


 (続く→こちら


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