海外で会うゲイはオランダのイメージが強い。
オランダはゲイに寛容といわれ、実際私もアムステルダムでゲイをモチーフにしたアートイベントを見学して、そのことを体感したのだが(→こちら)、ヨーロッパのみならず他の場所でも、オランダ男子カップルを散見することがある。
トルコを旅行したときのこと。
「石灰華段丘」という、世界遺産にも登録されている不思議で美しい丘で有名な、パムッカレという町に滞在することとなった。
石灰華段丘とはどういうところなのかと問うならば、文字通り石灰が岩肌から染み出して、山肌を白く染めている。
それはまるで雪におおわれた冬山のようで、実に幻想的で美しい。
そこを軽いトレッキングのように登っていくのが、パムッカレ観光のハイライトだが、石灰のカーペットを傷つけないために、はだしで行かなければならないのが特徴。
なもんで、登山の途中では、世界中の旅行者が素足で
「痛い、痛い! 岩肌、荒くて痛いがな」
「でも、石灰がツボ刺激して健康にいいらしいで」
「ホンマかいな、あーでも、なれたら気よちよくなってきたかも」
なんて、楽しそうに笑いながら、カップルや家族連れがせっせと歩いている。
でもって、頂上に達し、真っ白い大地の頂上で見るトルコの夕陽は、それはもうたとえようもなくウットリすような光景。
トルコを旅行するなら、ぜひ訪れてほしいおススメスポットである。
そんな世界レベルの観光地パムッカレだが、そこにいたのが、やはりオランダ人のゲイカップルであった。
識別できたのは、やはりゴッゴッゴッゴと、のどから発音していたオランダ語のおかげだが、彼らが目を引いたのは、そのあからさまなスタイル。
ゲイといっても我々がテレビで見ているような、オネエタレントのようなキャラが立った人ならともかく、普通に生活している人はパッと見で、それがわかるとは限らない。
それこそ、ディズニーランド・パリで見たカップルなど、イチャついていなれば、ごくどこにでもいそうな友達同士にしか見えない。
ところが、ここパムッカレでは、見た瞬間「やろうな」と思わせるカップルがいたのである。
見た目は、ふたりとも長身で眼鏡、坊主頭といったインテリ学生風なんだけど、彼らが服を着ていなかった。
石灰丘では山肌を傷めないため靴を脱げと登山前に注意されるが、別に服まで脱げとはいっていない。
それを、堂々の裸の大将。
しかも、なかなかに引き締まったいいカラダである。
細マッチョというやつか。男の私が見ても、「おお」と、うなるほど。
裸といっても、さすがに人がいるところなので全裸というわけではなく、パンツだけはしっかりとはいているのだが、そのパンツというのが、ピチピチのいわゆるブーメランパンツ。
ブーメランパンツ。
そんなわかりやすくていいのか。股間にぐいっと食い込んで、中におさまった「ゴールデンボーイ」の形状もくっきり見える。
もう一目で「やろうな」である。
ほええ、さすが白人のはグレイトやなあ。
なんて感心してどうするという話だが、この一面白の大地で、幻想的な夕陽を浴びながら、ここにブーメランパンツのカップル。
お互い、ひきしまったカラダを堂々の露出。
周囲はふつうの観光客かトルコ人の家族連ればかりの中、なんともミスマッチな光景である。
あまりに堂々とブーメランなので、トルコ人観光客も全然、違和感を感じていなかったようだ。
私すら、オランダ語のインパクトで目が行ったけど、最初は素通りしそうになったものなあ。
それくらいに、彼らのふるまいが自然であり風景に溶けこんでいた。
芸術的な絵といってもよかった。なんか、ギリシャ時代の彫刻みたいだ。
ただあの美しい光景に、細マッチョブーメランは、やはり相当なインパクトであった。
それ以来、私はパムッカレをはじめ、それこそ札幌の雪まつりやアラスカのオーロラの貴重な映像のような白が美しい光景を見たりすると、彼らのことを思い出して、なんだか不思議な気分になるのである。
(続く→こちら)