ボンクラ学生のための、楽できる(かもしれない)第二外国語選択講座 ドイツ語編

2018年03月08日 | コラム

 第二外国語の選択はむずかしい。

 というテーマでここ数回語っており、ここまで

 「フランス語負け犬(→こちら)、ロシア語酔狂(→こちら)、中国語(→こちら)とスペイン語(→こちら)は人生の勝利者

 ということになっているが、では肝心の私の専攻であるドイツ語はどうなのかと問うならば、これは論理的構造にすぐれ、医学の世界などでも大いに活躍している言語だ。

 さらには名詞に3つもあってなんでやねんとか、冠詞や形容詞がいちいち格変化するのが大変で、分離動詞とか再帰代名詞とか意味不明であり、接続法はずっと「雰囲気」で読んでいて。

 地方意識強いから方言文化が充実しすぎて、先生によって発音がまちまちだったり(「ライプツィヒ」が「ライプツィク」になるとか)、巻き舌苦手だといきなり挫折しかけるとか、もう正直やっとられっか!

 ……などなどとても魅力的なものであり、もちろんのこと、超のつくほどおススメです(大本営発表)。

 まあ、私の場合は「好きだから」という理由でドイツ文学を選んだわけだから、ドイツ語に関しては大変とか言ってもしょうがないわけで、皆様にすすめられるか客観的な判断は難しい。

 ちなみに、私の今のドイツ語は、そこはスペシャリストということで、すでに現役を退いた現在でも、

 「見たらドイツ語かどうかはわかる」

 というレベルをキープしているのは、さすがと言わざるを得ない。

 アルファベートの上にがついてたら、だいたいドイツ語です(ホントかよ)。

 一応、海外旅行の表示やレストランのメニューとかくらいは理解できるし、辞書さえあれば簡単な文章くらいは読めそうだけど、まあその程度。

 いわゆる「中2英語」と大同小異であろうか。



 「語学学習というのは、穴の開いたバケツに水をくむようなもの」



 という言葉通り、外国語はダイエットと同じで、継続しないとすぐに力が落ちます。

 まあ、それはどのジャンルでもそうなんでしょうねえ。生きるって大変だ。

 そこで今回は、すっかり「語学隠居」な私が、学生時代に勉強の足しにと読んだ本などを紹介したい。

 そこから興味を持っていただければ幸いである。
 

 ★藤田五郎『ドイツ語のすすめ

 講談社現代新書の一冊。字通りの「ドイツ語って、こんなんだよ、楽しいよ」とすすめてくれる内容。

 参考書としては物足りないけど、読みやすくて入門書には最適だった。

 「トーナスだと!」など、時代を感じさせる言い回しも、今の視点で読むと楽しい。

 中級編に『ドイツ語の新しい学び方』というのもある。


 ☆池内紀『ぼくのドイツ文学講義

 ドイツ文学者である池内先生の本は、ほぼほぼすべて読んでいるが、文学入門書といえばこれがいいかも。

 「ぼくの」とあるように、普遍的な解釈や講義ではないが、池内流の静かでいながら独特の筆さばきが冴える。


 「カフカの『変身』は一級のコメディー作品」

 「ハインリヒ・ハイネは情熱の詩人であるとともに、したたかな実際家」

 「たった一着の制服で国じゅうを笑わせた、ドイツ流風刺劇について」



 などなど、一見「お堅い」独文学のイメージを一変させてくれる。

 本流というよりは、あくまで「池内流」の料理法だが、既存のかたくるしい「文学論」が苦手な人は、ぜひこちらから入ってみるのも手。

 池内本はどれもおもしろいけど、ドイツ文学関係では他に、『ゲーテさんこんばんは』『カフカの生涯』などもおススメ。


 ★NHKラジオ『ドイツ語講座』

 定番だが、やはり自宅で生ドイツ語を聴きたければ、ネットのない時代はこれ。

 テキスト代数百円で、毎日ちゃんとした講義が聴けるのだから、こんなオトクな話はない。

 ラジオ講座にかぎらず、語学はすべてそうだけど、「五感を総動員」するのが学習のコツ。

 ただ漫然と聴くだけでなく、単語や文法をおぼえるのはもちろん、暗唱できるようになるまでくりかえし音読し、例文を何度も何度も書き写す

 余白には、調べたことを書きこみしまくって、テキストを自分流のノートにするとか「骨までしゃぶりつくす」ことが肝心。

 もちろん、コラム雑談の類も、しっかり読みこみましょう。


 ☆『MD 月刊基礎ドイツ語

 ドイツ語の老舗である三修社から出ていた、ドイツ語学習者専門雑誌

 「MD」とは「Mein Deutsch」(私のドイツ語)の略。

 「ドイツ語編」と「ドイツ文化編」に分かれており、語学編は月ごとに「仮定法」とか「関係代名詞」とかテーマがあって、1年通読すると一通り基礎文法がマスターできるというもの。

 私は「文化編」が好きで、ドイツの現代音楽少数民族事情など、日本ではなかなか知りえない情報が満載。

 「ソルブ人とソルブ語の保護問題」

 なんて、これを読まなきゃ接することもなかったろうなあ。

 銀行や歯医者の待ち時間、いつも開いてました。今でも青春の思い出。

 休刊してしまったのが、残念でならない。



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