「『星雲仮面マシンマン』は軽すぎるヒーローである」。
youtubeで古い特撮ソングを楽しんでいた際、そんな疑問を抱いた私は前回(→こちら)、
「マシンマンが地球に来たのは卒論を書くため」
であり、地球を守っているのは「そのついで」であることについて語った。
が、ヒーロー番組につき物の悪の組織「テンタクル」も、それに負けず劣らず能天気なのである。
普通悪の組織といえば嘘でも「世界征服」とかいうものだ。
スケールは違っても、死ね死ね団みたいに「黄色い猿の日本人皆殺し」とか。
ところがテンタクルの究極の目的というのがズバリ、
「子供をいじめる」。
それでいいのかテンタクル。大の大人が「子供をいじめる」で満足してどうする。
これには深い訳があり、首領であるプロフェッサーKが重度の子供アレルギーで、ガキを見るとクシャミが止まらなくなるという。花粉症みたいなものか。
まあ、その体質は気の毒だが、それで子供をいじめたところで問題の根本が解決するわけでもあるまい。
そもそも子供が苦手なのに、自分の方からちょっかいをかけるというのも逆効果なのでは。
それならふつうに、「若者離れが進む過疎の村」とかに引っ越した方が現実的なのではないか。
こんな、対処にはヒーローよりも教育委員会が出た方がいいようなトホホなテンタクルが送りこむ悪の怪人もさらにトホホだ。
これはリアルタイムで見ていたから、今でも覚えている。
第一話の怪人が、ズバリ「ドリル男」であった。
そのまんまだ。同じ等身大ヒーローの『仮面ライダー』も相当チープだけど、怪人はカメバズーカとかテレビバエとかボイラーガマとかインパクトある名前が多かった。
そこをあえて「ドリル男」。シンプル・イズ・ザ・ベストというやつか。
それとも、やる気がないだけか。賭けるとすれば後者だ。
さらにはズッコケなのが、この番組の怪人みんな同じフォルムなのである。右手以外。
ヒーロー番組は仮面ライダーやゴレンジャーの活躍のみならず、子供たちにとってのもうひとつの楽しみは、バラエティーに富んだ敵の怪獣や怪人である。
それが、出てくる敵がみな、右手のアタッチメント以外は同じ形状というのはいかがなものか。
いわば、『古畑任三郎』で犯人が第1話から最終話までずーっと、衣装だけ替えた鶴瓶師匠のようなものだ。それ、全然楽しくないやん!
同じ顔と衣装で、右手がドリルなら「ドリル男」。
ラジカセなら「ラジカセ男」。
ハンマーなら「ハンマー男」。
そのままやんけ!
まあ予算がなくて衣装を使いまわしてたんだろうけど、それにしても安直である。
たしかに大量生産するなら同じカタで量産した方がコスト安くすみますけどね。
なんだか悪の組織というよりも中小企業の社長さんみたい。
そんなマヌケきわまりない番組『星雲仮面マシンマン』だが、主題歌はすごくかっこいいんだよなあ。
■おまけ マシンマンのオープニングは→【こちら】