『星雲仮面マシンマン』は軽すぎるヒーローなのではないか。
という疑問を持ったのは、先日古い特撮ソングを聴いていたときのことであった。
人は調子の悪いとき、カラオケに行ったりやけ食いをしたりでモヤモヤを発散させたりするが、私が「今日はダルいなあ」と感じるとき、よく古いヒーローソングを聴く。
ヒーロー番組の主題歌は子供向けだが、それゆえに歌詞やメロディーがシンプルで熱く、元気のない時に聴くとテンションが上がる。
そこで今回選んだのが、『星雲仮面マシンマン』という番組の曲。
youtubeで久しぶりに聴きながら、「うーん、カッコイイなあ」などと一人で盛り上がっていたのだが、そういやマシンマンってどんな番組やったっけと気になってきた。
そこで、ちょっと調べてみると、これが昭和の特撮番組にありがちな、なんともおかしな内容で笑ってしまうのである。
マシンマンの基本設定はこうだ。
アイビー星からやってきたニックことマシンマンは地球の平和を守るため悪の組織テンタクルと日夜戦い続ける日々だ……。
と書けばオーソドックスなヒーローものだが、このニックというのが正義の味方というわけではなく、設定では
「アイビー星の大学生」。
「アイビー星」というネーミングセンスもなかなかイカしているが、くわえて彼が地球に来た理由というのが、
「卒業論文を書くため」。
おい待て、それ取材かよ! まさか、正義のために戦ってくれるヒーローの目的が、
「卒論のためのフィールドワーク」
とは恐れ入った。なかなかに、前代未聞な設定である。
で、ニックはそのついでに地球の平和を守っているという。
「ついで」か。地球も軽く見られたもんだ。いかんなあ、そんな大事なこと学生気分でやられちゃあ、と説教したくなるではないか。
またマシンマンの名前の由来が、ヒロイン葉山真紀の
「かっこいいマシンに乗ってるからマシンマンね!」
という、『ガメラ』シリーズにおける
「ギャオっと鳴くからギャオスだよ」
のごとき安直なネーミングなのも味わい深い。
こんな、ほとんど観光旅行者の片手間ボランティアとしかいいようのないマシンマンだが、相手をする悪の組織「テンタクル」もかなりキテいるのである。
(続く【→こちら】)