春は新入部員争奪の季節である。
4月は「新人確保」の命を受けた先輩たちが、血眼になって新入生をだまくらかし、拉致監禁の上に、地獄への片道切符にサインをさせようと血道をあげる時期。
こういうときは、前回(→こちら)の私のように、どう見ても文化系の人間がなんの間違いか応援団に誘われたりといった罠が各所に点在する。新入生諸君はゆめゆめ注意をおこたらぬよう。
春の勧誘といえば、宗教もそうである。
大学入学の季節といえば、はじめての都会で不安とか5月病とかでぐらついている学生をねらって、あやしげな宗教がキャンパスに跋扈するものだが、果たして我が学舎となった千里山大学(仮名)もそうであった。
工学部にある空き教室に友人たちとつれていかれて、いしいひさいちさん(大学の先輩)のマンガをコラージュして作った資料(間違いなく無許可で使用)を使って、あれこれと神の道を語られたものだ。迷惑千万である。
ただひとつ不思議なのは、勧誘員さんは最初は笑顔で一所懸命
「神は皆を愛しています」「一緒に美しい世界を実現しましょう」
なんて語っているのに、少しするとだんだんと声が落ちてきて、やがては自分から誘っておきながら、テンションががた落ちになる。全然気持ちがのってないのだ。
現に、一緒につれてこられた友人には連絡先を聞かれたり、次会う約束をなんとか取ろうとしているのに、私だけはそういう対応がいっかなない。
いや、もちろん誘われても困るんだけど、それにしたってまったく無視というのはいかがなものか。そこで、あえてこちらから、
「次とか、ないんスか?」
そう水を向けると、
「はい、大丈夫です」
居心地悪そうに断られた。
我が大学はオウム真理教から大量の勧誘員を送られていたことで有名で、かくいう私もキャンパスでかわいい子と知り合いになり、友から、
「おまえ、スゲえな。色事師やんけ!」
との賞賛の声を誘ったが、よく話を聞くとオウムの放った勧誘ガールなのであった。
さすがは私、こういうところははずさない。なにかこう、ACミランの本田圭佑選手のごとく、「オレ、持ってる」と言いたくなるではないか。
そんなオウムも、まだサリン事件の前ということで、好奇心にまかせて道場まで遊びに行ったりもしたものだが(行くなよ)、やはり他の友人が、
「修行しチャクラが開けば、空中浮遊できますよ」
「すべてはフリーメーソンの陰謀なんです」
なんて熱心にオルグされている中、私だけひとり蚊帳の外で、
「あのー、僕にはその『NASAがプラズマ兵器で攻めてくる』っていう話を聞かせてくれないんですか?」
そう問うならば、やはり勧誘員さんは、
「はい、大丈夫です」
いよいよ、ちっとも相手にされない私である。
なぜなのか。私がよほど不信心な顔をしているのか、入れても戦力にならないとはなから相手にされてないのか。
その手のカルトにくわしいサブカル系の先輩に聞いてみたところ、
「ああいうのは、マジメで、それゆえの悩みとかかかえてて、心のスキをつけそうな子を狙い打ちするもんなんや」。
つまるところ、私は「玄人の勧誘員」から見れば、
「神様の難しい話してもなーんも理解できないであろう極楽トンボ」
と判断されたということであろうか。ハハハ、当たってますやん。て、自分で認めてどうする。
こういう能天気なところが、私とカルトの相性が悪いところなのだろう。プロはよう見てますわ。
4月は「新人確保」の命を受けた先輩たちが、血眼になって新入生をだまくらかし、拉致監禁の上に、地獄への片道切符にサインをさせようと血道をあげる時期。
こういうときは、前回(→こちら)の私のように、どう見ても文化系の人間がなんの間違いか応援団に誘われたりといった罠が各所に点在する。新入生諸君はゆめゆめ注意をおこたらぬよう。
春の勧誘といえば、宗教もそうである。
大学入学の季節といえば、はじめての都会で不安とか5月病とかでぐらついている学生をねらって、あやしげな宗教がキャンパスに跋扈するものだが、果たして我が学舎となった千里山大学(仮名)もそうであった。
工学部にある空き教室に友人たちとつれていかれて、いしいひさいちさん(大学の先輩)のマンガをコラージュして作った資料(間違いなく無許可で使用)を使って、あれこれと神の道を語られたものだ。迷惑千万である。
ただひとつ不思議なのは、勧誘員さんは最初は笑顔で一所懸命
「神は皆を愛しています」「一緒に美しい世界を実現しましょう」
なんて語っているのに、少しするとだんだんと声が落ちてきて、やがては自分から誘っておきながら、テンションががた落ちになる。全然気持ちがのってないのだ。
現に、一緒につれてこられた友人には連絡先を聞かれたり、次会う約束をなんとか取ろうとしているのに、私だけはそういう対応がいっかなない。
いや、もちろん誘われても困るんだけど、それにしたってまったく無視というのはいかがなものか。そこで、あえてこちらから、
「次とか、ないんスか?」
そう水を向けると、
「はい、大丈夫です」
居心地悪そうに断られた。
我が大学はオウム真理教から大量の勧誘員を送られていたことで有名で、かくいう私もキャンパスでかわいい子と知り合いになり、友から、
「おまえ、スゲえな。色事師やんけ!」
との賞賛の声を誘ったが、よく話を聞くとオウムの放った勧誘ガールなのであった。
さすがは私、こういうところははずさない。なにかこう、ACミランの本田圭佑選手のごとく、「オレ、持ってる」と言いたくなるではないか。
そんなオウムも、まだサリン事件の前ということで、好奇心にまかせて道場まで遊びに行ったりもしたものだが(行くなよ)、やはり他の友人が、
「修行しチャクラが開けば、空中浮遊できますよ」
「すべてはフリーメーソンの陰謀なんです」
なんて熱心にオルグされている中、私だけひとり蚊帳の外で、
「あのー、僕にはその『NASAがプラズマ兵器で攻めてくる』っていう話を聞かせてくれないんですか?」
そう問うならば、やはり勧誘員さんは、
「はい、大丈夫です」
いよいよ、ちっとも相手にされない私である。
なぜなのか。私がよほど不信心な顔をしているのか、入れても戦力にならないとはなから相手にされてないのか。
その手のカルトにくわしいサブカル系の先輩に聞いてみたところ、
「ああいうのは、マジメで、それゆえの悩みとかかかえてて、心のスキをつけそうな子を狙い打ちするもんなんや」。
つまるところ、私は「玄人の勧誘員」から見れば、
「神様の難しい話してもなーんも理解できないであろう極楽トンボ」
と判断されたということであろうか。ハハハ、当たってますやん。て、自分で認めてどうする。
こういう能天気なところが、私とカルトの相性が悪いところなのだろう。プロはよう見てますわ。