アメリゴ・ベスプッチと誕生日が同じ人

2014年03月09日 | 日記
 私はアメリゴ・ベスプッチと誕生日が同じ人である。

 と書き出すと、朝からなんのこっちゃいといぶかしがられそうだが、本日3月9日は私の誕生日。

 おお、なんとめでたい日であることか。ハッピーバースデイ、バイ・マイセルフ。

 独身貴族の身では特に祝ってくれる人もいないので、自給自足でお祝いしたい。私は子供のころから、「自分のことは自分でしなさい」と、しっかりしつけられた世代なのである。

 そんな私とアメリゴを結びつけることとなったのが、ある友人の誕生日(4月14日)。なにげなく皆でニュースを見ていると、

 「今日が誕生日の有名人はこの人たちです」

 そこで紹介されるのが、ミュージシャンのリッチー・ブラックモア、今井美樹、漫画家の大友克洋に、桜田淳子に中谷彰宏といった面々たち。

 へー、オマエって中谷彰宏と同じ日に生まれたんや。こらおもろいと、そこにいた他の友人たちの誕生日を聞いてネットで調べてみると、皆けっこうたいした人物と同日生まれなのだ。

 たとえば、6月20日生まれの友人ミナミ君は俳優の石坂浩二と、8月2日生まれの友人モトコちゃんはテニス選手のアーロン・クリックステインと同じ誕生日。

 こういうのはたいてい「あいうえお」順なので、一発目に「あ」や「い」の人が来るわけだが、ウケるのはここで勝負が決まると言っていい。

 なんといっても同日誕生日の有名人など山ほどいるのだ。全部は見きれないから、最初の5個くらいまでしかチェックは届かない。

 となれば、先頭打者のインパクトがものを言うのだ。これがアーネスト・ヘミングウェイ(7月21日)とか石森章太郎(1月25日)のようなビッグな人ならいいが、「アホの坂田」だったりすると目も当てられない。

 そこで、「じゃあ、次はオレな」と、自慢できる偉人よ出てこいとグーグルで「3月9日生まれの有名人」と検索してみると、一発目にでてくるのが堂々の、

 「アメリゴ・ベスプッチ」

 これである。イタリアの偉大な探検家。実はかの「アメリカ」という名前は、このアメリゴがなまってアメリカになったのが由来。

 つまりは、もし彼の名前を発音する人がなまっていなかったら、彼の国は

 「ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリゴ」

 だったかしれないのである。

 その他、『キャプテン・アメリカ』もキャプテン・アメリゴ。映画『アメリカン・ビューティー』もアメリゴン・ビューティー。ザ・ハイロウズも「これがアメリゴ魂」と歌っていたはずなのだ。

 アメリゴンって、『スペクトルマン』あたりに出てきそうな、B級怪獣みたいだなあ。

 3月9日生まれは他にもカルロス・ゴーンとかチェスのボビー・フィッシャーなど色々いるんだけど、なんせものが「あいうえお」順なので、どのようなサイトで見ても、一発目はどれもたいがいが「アメリゴ・ベスプッチ」になる。

 アメリゴ・ベスプッチ。やったことは偉大だが、そのイメージを取ってみたら、日本人的にはどうにも、

 「名前のおもしろい人」

 である。「ベスプッチ」という響きがいけないのか。なんだか、新種のお菓子みたいだ。グミとかにありそう。「UHA味覚糖の新キャンディー、ベスプッチいちご味」とか。

 これが、我が友たちに妙に受けたというのか、ほとんど「出オチ」みたいに出てくる「アメリゴ・ベスプッチ」に皆大笑い。ノリ的には、バリ島の聖なる山「キンタマーニ」やオランダの街「スケベニンゲン」でよろこぶ中学生みたいなものか。

 それからすっかり、私は友たちの中で、

 「アメリゴ・ベスプッチと同じ日に生まれた人」

 というあつかいになり、誕生日の話になると、まずそのことでイジられるようになったのである。

 うっかり今日生まれたばっかりに私なんかと同列に語られて、アメリゴも草葉の陰で砂を噛む思いであろう



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