ワールズ・エンド 木之本桜が世界を救う! その2

2014年03月27日 | オタク・サブカル
 「全人類が『カードキャプターさくら』を見たら、アフガン戦争は終わるんですよ!」

 前回(→こちら)は、米軍のアフガン空爆に憤った正義の男シヅキ君が、酔っぱらってそんなことを語り出した。

 『カードキャプターさくら』といえば、たしかNHKでやっていた美少女アニメ。

 私も彼からDVDを借りて、4話くらいまでは見たことはある。

 正直なところ、今はアニメほとんど見ないし、二次元美少女にもさほど興味はないので、1巻でやめてしまったが、それでも素人ながらに、さくらちゃんが人気になるのはわかる気はした。

 たしかに、キャラとしてはかわいいのである。あれはハマる人はハマりそうだが、しかし、あれと戦争がどう関係あるのか。

 これはシヅキ君にいわせると、

 「ブッシュもビンラディンも『さくら』見るべきなんですよ!」

 さらに声をあげることには、

 「《萌え》こそは世界を救うんです」。

 まずます意味不明だが、酔っぱらったシヅキ君によると、《萌え》というのは愛の一種である。

 愛さえあれば、誰も戦う気になどならいない。萌えさえあれば、人殺しなんて思いつきもしないと。

 まあ……それはそうかなあ。いいたいことはわからなくもないが。

 「ヤマトでもいうてたやないですか。《戦う前にまず愛し合うことが大切だ》って!」

 ゴメン、シヅキ君、ボクはヤマト見たことないねん。世代やないしね。

 でもまあ、そういうこともあるかなあ。人間、花とかうさぎとかかわいいモノ見たら、

 「おっしゃ、いっちょ戦場行って、野蛮人どもぶち殺してきたろか!」

 といった戦争に不可欠な士気は奪われそうだ。

 さらに語ることには、

 「《萌え》の心が共有できれば、人類は愛し合えるんです。たとえばボクは、さくらを愛するいうんやったら、どんな国の、どんな文化圏の民族とでも仲良くなれますよ!」。

 まあ、彼ならそうかもしれない。

 「ましてや銃を向けたり、爆弾を落としたりなんてできませんよ! ボクらは仲間なんですから!」

 そっかー。
 
 うーん、とっかかりはアレだが、よく聞くと良いことを言っているような気もする。

 少なくとも、「ジャスティス」言いながらバンバン爆撃するよりは、絶対的に正義であろう。

 「だから、ブッシュとビンラディンも一緒にさくらのDVDを見たら、絶対意気投合しますよ! 敵同士を結びつけるのは美少女アニメ、萌えなんですよ。これこそが人類の共通言語なんです!」。

 ホンマかいなという話ではあるが、なんのなんのシヅキ君は酔っているとはいえ(だからか?)大マジメである。

 友は焼酎梅割のグラスをじっとのぞきこみながら、しみじみと、

 「世界中の人が萌えを知ればなあ。戦争なんて愚かなことする気もなくなって、平和になるのになあ」

 世界を憂うシヅキ君。それが現実かどうかはわからないが、ブッシュとビンラディンがアニメを見ながら

 「サクラタン、イイネー!」
 
 「オー、ミスターブッシュ、ミーとカラオケでニポンのアニメをウタイマショー!」

 とか、仲良くやりあってるシーンは想像するだにおもしろい。

 そんなサミットには、私もぜひ参加したい。古い作品しか知らないけど、それでもいいッスか? 『魔法のアイドル パステルユーミ』とか。

 話としてはおもしろいけど、さすがにそれはないよなあ。

 悪いアイデアではなかったけどなあ。と思いきや、シキヅ君の平和論は実は私のあずかり知らぬところで秘かに実証されていた事実が明らかになることとなるが、その話は次回(→こちら)に。



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