以前の授業で、ある学生にサミュエル・フラーの映画『裸のキッス』(1964)を観るように薦めたら、実際に観て、昂奮して、感想を伝えてきてくれた。
どんな映画なのかは、ネタバレになるから言わないが、ほぼ六十年近く前に、アメリカのB級娯楽映画の中で、いまに通じる題材を、鋭く、怒りと共に、描いているのだ。ジャニーズ問題、数年前のアカデミー受賞作『スポットライト』に通じる内容を、この映画がとっくに描いているのだ。あ、ネタバレになったか。ネタばれついでに言えば、幼児性愛者をきっちり告発して描いた映画は、この映画が最初だと思うのだが、そうでなかったら、教えてください。
告発されているのは、愚かな付和雷同者、同調圧力に屈して平気な人たち、相手の本質を見もしないで「差別」する人たち、でも、ある。
この映画のファーストシーンは、多くの映画が模倣している。
模倣もされるし、「初めてやったこと」が、多い。そういう監督なのだ。サミュエル・フラーは。
彼は30年前、日本で映画を撮るべく、動き始めていた。
私とフラー氏の関係については、彩流社から出ている『神々の国の首都/漱石とヘルン』の作品ノートを、読んでください。
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