Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

中村敦夫 + 猪熊恒和 「補陀落渡海記」リーディング at 伊豆

2023-10-15 | Weblog

日本ペンクラブの企画、井上靖原作「補陀落渡海記」リーディング、台本・演出担当として、上演終了。

久しぶりの伊豆である。

中村敦夫さん、素晴らしかった。圧倒的な説得力。僧を演じる、この役のために、剃髪なさった。

燐光群・猪熊恒和も、高度なフレキシビリティーを要求される相手役を、しっかりと、豊かに、演じきった。

音響・島猛の、繊細と大胆。彼にしかできない世界である。

観客の皆さんの集中力も高く、上演を支え、ともに結末までを伴走してくれる、密度の濃いものだった。

 

いってみれば、61歳の主人公が、そこに至るまでの自らの思いと裏腹に、自ら死んでゆくことを余儀なくされる、という話である。

まるで自分の話ではないか、と、61歳の私は、思う。今のところまだ生きてはいるが。未来は誰にもわからないこの世界に存在しているが。

 

この物語が像を結んでゆく時空に立ち会えることが、居合わせた皆の喜びとなった、と思う。

ペンクラブとしても、手応えを感じてくれたたみたいで、ありがたいことである。

リーディングというより完全に朗読劇だが、予想を超える成果を挙げられたと思う。

 

この企画で中村敦夫さんとご一緒できた幸福は、うまく言い表せないが、本当に、嬉しい。私が勝手に、ものすごく励まされた、という事実もある。

極めて厳しい照準の中で、中村敦夫さんという俳優が、祝福される、劇になっていたと思う。

同時に、豊かで、しなやかで、これこそがユーモアだ、という人間のそうするしかない姿を、その場の人たちで共有できたと思う。この厳しい内容を、いっさいの予定調和でなく、段取り抜きに、ライブである形として、可能にできたのである。

この仕事を続けてきてよかった、と思う。

 

合間に、中村敦夫さんと、いろいろなお話をした。

「木枯らし紋次郎」のことばかりじゃないですよ。内田栄一さんのこと、俳優座関連の皆さんのこと、等々……。

 

 

「《ふるさとと文学2023》~異郷としての日本~」

原作 井上靖「補陀落渡海紀」

脚本・演出 坂手洋二 

朗読出演 中村敦夫 猪熊恒和

開催 10月15日 13:00~ ふるさとと文学2023~異郷としての日本~ 

先着600名

会場 アクシスかつらぎ 大ホール

 

第一部は、吉岡忍さん脚本の、映像ライブステージ。

第二部が、私たち。

第三部は、楊逸(ヤン・イー)さん、グレゴリー・ケズナジャットさん、デビット・ゾペティさんら出演のシンポジウム「異郷としての日本」。 

ペンクラブ会長の桐野夏生さんも、いらっしゃった。

 

日本ペンクラブでの、初仕事であった。

と思ったら、そうではなかった。

https://blog.goo.ne.jp/sakate2008/e/eea46fabf51d096c1d2637f857ca0b62?fbclid=IwAR1rfxXZP7T6P0TMyzknqRVaJOm9PkOxsY-HVtIffhsjn44jZ2s6uQtyx20

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« リーディングのお題は、井上... | トップ | 小鮒を釣ったのは、ここだっ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事