Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

安田純平さんの11年前の「拘束」について。

2015-07-29 | Weblog
現在行方不明となっている安田純平さんは今年6月、ツイッターで以下のように発言した。

「いつ帰ってこれるか分からなくてもいいなら行けるよ」と言われたときに、1カ月、2カ月程度で帰らなければならない日程組んでる時点で現場なめきってるってことだなと思った。

つまり、今回は、相当覚悟していったということがうかがえる、発言だ。

6月23日にトルコから友人への電話で、シリアに入国する計画だと語ったのが、共有されている最後の消息だ。
イスラム過激派によって身柄を拘束された可能性が高いとの見方を示す人もいる。

安田さんのツイッターへの投稿じたい、6月20日以降途絶えている。最後の投稿で、

これまでの取材では場所は伏せつつ現場からブログやツイッターで現状を書いていたが、取材への妨害が本当に洒落にならないレベルになってきているので、今後は難しいかなと思っている。

としている。

岸田外相は2015年7月10日、外務大臣会見にて安田さんについてシリアで拘束の疑い事案として質問を受けたが、「少なくとも今現在邦人が拘束されたという情報には接してはおりません。」と回答している。

安田さんは埼玉県出身。一橋大学社会学部卒。(私の息子の学部の大先輩に当たる)
1997年信濃毎日新聞入社、松本本社配属。2002年3月、休暇をとりアフガニスタン取材、同年4月、文化部に異動、同年12月に休暇をとりイラク取材、2003年1月に信濃毎日新聞社を退社、フリーに。同年2月からイラクに滞在しナジャフ県、バグダード、サマーワなどを取材。この間イラク軍やイラク警察に数度拘束されていたらしい。

2004年4月14日、先に拘束された高遠菜穗子さんら日本人3名の消息と米軍による虐殺の真相を掴むため、ファルージャに向かう途中、地元にあった武装集団の検問に引っかかり、渡辺修孝さんとともに拘束された。当時はイラクを米軍が包囲している状況。ジャーナリストの取材だとわかり、スパイ容疑が晴れ、3日後には解放された。
拘束したのは、渡辺さんによれば、武装集団といっても「地元のコミュニティ」に近く、会話が通じる相手。見張り役も「農家のおじさん」といった感じで、近所からはたくさんの子どもが見物に来ていたという。

同時に拘束されたその渡辺修孝さんは当時37才。元陸上自衛官(習志野第1空挺団特科部隊に所属、一任期2年で退職し、「反戦自衛官」となっていた。「米兵・自衛官人権ホットライン」のメンバーであり、その渡航については、私も支援していた。

渡辺さんは、拘束した人たちから「日本人はイラクに来ないでほしい。自衛隊にはイラクから出ていってほしい」とのメッセージを受けけている。関係者によると、犯行グループは、服装などからイスラム教スンニ派の中で最も戒律が厳しいワッハーブ派とみられる。当初は2人を米軍のスパイと疑っていたらしい。

東京で安田さん・渡辺さんらの帰国報告集会を、ジャーナリストの広川隆一さんらと開催した。

安田さんはその後、2005年1月、スマトラ島沖地震で被災したアチェを取材。同年、ヨルダン、シリア、イラクを取材。内戦状態で取材が困難となったイラクに入国して取材するため、2007年、基地建設現場や民間軍事会社事務所などイラク軍関連施設で料理人として働きながら取材をし、『ルポ 戦場出稼ぎ労働者』を記す。2012年及び2013年にはシリア内戦を取材。
ジャーナリストとして、本当にしっかりと、独自の地位を築いていた。

2004年、渡辺さんが拘束されるまでの間、イラクからメールで送り続けた現地レポートと、帰国後の報告をもとに、私は「戦場イラクからのメール」という短篇戯曲を書き、2004年の夏期、燐光群で、『私たちの戦争』というタイトルのアンソロジー集の一篇として、『だるまさんがころんだ』と二本立てで、全国で上演した。
愛知県などで公共の立場から「共催取り消し」などの対応を受けたりもした。

安田さんの行方不明状態が続く今。
もう11年前になる、安田さん・渡辺さんが拘束された、あの時のことを、もう一度人々にわかってほしい。

そんなわけで、戯曲「戦場イラクからのメール」を、ブログで公開することにした。

戯曲 戦場イラクからのメール(上)
http://blog.goo.ne.jp/sakate2008/e/bd0127b9a06a997db8c33ffa872471dc
戯曲 戦場イラクからのメール(下)
http://blog.goo.ne.jp/sakate2008/e/350b77c2de2123d58e6f0d8bff7accd7

安田さんの安否を気遣う人たちと、思いを共有したい。
本当に、一刻も早く、帰ってきてもらいたいのだ。

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