『スープとイデオロギー』が公開された。
試写を観て書き込もうと思っていたのに初日を迎えてしまって申し訳ない。
『かぞくのくに』のヤン ヨンヒ監督の新作ドキュメンタリーである。
前半は、とにかく楽しい。高麗人参とニンニク詰めの丸鶏鍋。監督自身の父、母、そして結婚相手。「食」と「家族」の噛み合い方が素晴らしい。至近距離の人間関係をこのように描きうるというドキュメンタリーの自由度について、あらためて感じ入るところ多々であった。
後半、「済州4・3事件」。この歴史はそこで終わったことではなく、日本にも関わるところがある。これから監督のライフワークになっていくのだろう。私は三年前『なにもおきない』で初めてこの件に触れたが、固有性を排除した形であった。これまで「基地の島」沖縄と済州島を比較することもあったが、今後の時代とどう向き合っていくかということでもある。
ドキュメンタリーというものが大きく変わっていく、予感に満ちた作品である。
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