東京新聞(石井紀代美)によると、新型コロナウイルス感染拡大中の3月、東京都立学校253校(当時)全ての卒業式で「君が代」が斉唱されていたことが、都教育委員会への取材で分かったという。今年3月1日から同月下旬までに卒業式を行った中学、高校、特別支援学校など全校が「国歌斉唱した」と回答していた。
安倍晋三首相が全国一斉休校を打ち出した2月27日までに、自治体から「飛沫感染防止策として歌わないことを考えている」「歌わないと、服務事故扱いになるのか」などの問い合わせがあり、都教委は翌28日、現場の判断に任せる旨の文書を送った上で、直接管轄する都立校には「国歌斉唱を行う方針に変更ありません」と文書で通知。世田谷区や杉並区の学校は歌わなかったが、都立校は全て斉唱した。ある校長は「歌わないことも考えたが、文書が来たので国歌だけ歌った。校歌など他の歌は感染リスクを下げるために歌わなかった」と話しているという。
同月2日から全国一斉休校となり、飛沫感染を懸念する学校もあったが、実施を求める都教委の指示に従っていたことになる。当時はマスクが品薄だったが、参加者の装着状況は把握されていない。
新潟大の世取山洋介准教授(教育政策)は、思想・信条の自由から「君が代」斉唱時に起立しない教職員に都教委が処分を続けてきたことを挙げ、「何百人も懲戒処分してきた結果。歌わないことが合理的なのに、萎縮して判断できない教育現場の思考停止を表している」と指摘している、という。
コロナ感染リスクがあっても、休校していても、「君が代」斉唱なのか。
ことなかれ主義の教職員が「日の丸・君が代」の方針に迎合してきたわけだが、校内・生徒の安全のことなど何も考えていなかったことがわかる。
一斉休校にしている理由が何だったか、まさか忘れていたわけではないだろう。
あらためて、「日の丸・君が代」の方針に反対して失職した教員たちの勇気を思う。
そして、世田谷・杉並が従わなかったことに、あらためて敬意を表したい。
写真は、先週の文部科学省内。
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