こんにゃく座 新作オペラ 『神々の国の首都』 は、歌役者の皆さんの充実に加え、素晴らしいスタッフの皆さんの御陰で、幸福な吉祥寺公演千秋楽を迎えることができたと思っています。
美術・堀尾幸男さんの「堀尾スペシャル」(私らが勝手にそう呼んでいるのです)が今回も炸裂。ドロップの奥に出現する、八重垣神社の森、セツとハーンたちの心象風景、墓場、等々、最後はこの世ならぬ異界の姿を、表出。亡くなった子どもたちが積む石のオブジェと、その変容した姿。そしてラストシーンの海と空、世界を包み込む青の世界。さらに全体の緻密な調整。学ぶことばかりです。
宮本宣子さんは、演劇版の1998年新国立劇場のオープニング企画での上演とアメリカ四都市ツアーの時も衣裳を担当してくださいましたが、今回のオペラ版では、衣裳スタッフの皆さんの日々の尽力もあって、さらに素敵な世界観を提示してくださいました。
美術や衣裳がその存在を示すことができるのも、竹林功さんの照明あってこそです。1993年の演劇版初演以来、一緒にこの『神々の国の首都』の世界を、練り上げ、磨きあげてきました。演劇版では国内三度のツアーでのべ二百ステージ以上、さらに三度の海外ツアーのべ7カ国11都市の公演、すべてを一緒にやって来ました。
山田うんさんとの仕事の楽しさは、言うまでもありません。うんさんが稽古場にいらっしゃる日は、活気が溢れます。直観力と、演者の個性やそれぞれの状態に即してつくっていく柔軟さ。頼りにしています。
久寿田義晴さんは、心から信頼できる舞台監督です。こんにゃく座のことは知り尽くされていて、私との打ち合わせも最低限の時間ですみますし、実に合理的です。こんかい、飲みに行けなかったのだけが心残りです。
演出助手の城田美樹さんは、ほんとうに頼りにしています。こんにゃく座の皆さんも城田さんのことを信頼しています。音楽劇ですから可能な限り音楽監督・萩さんのやり方を尊重したいと考えている私ですが、城田さんの介在で、いろいろなことが適確になってゆきます。このところ、演出家として気づいたことを演出助手に言ってメモを取っていただくという形を、とらないようにしています。演出サイドのもう一つの目として見ていただくことのほうが有効だと気づいたからです。
制作担当は田上ナナ子さんでした。ほんとうにお世話になりました。広報に記述がないのであえてお一人お一人のお名前は挙げませんが、こんにゃく座さんの制作チームの皆さんの連携にも、いつも感心させられます。
そして、あらためて、こんかい出演しないけれど実力ある歌役者の皆さんが、裏方としていろいろな仕事をして下さるのは、ほんとうにありがたく、こんにゃく座の劇団力に感心させられることばかりです。
演出サイドとしては、とくに音楽の仕切りをされていた小林ゆず子さんに、とくにお世話になりました。
皆さん、ほんとうにありがとうございました。
※写真は各部署で力発揮する座員(歌役者)スタッフたち(こんにゃく座 Web より)
音楽助手:小林ゆず子、演出部:壹岐隆邦・小田藍乃・吉田進也、衣裳部:鈴木裕加・熊谷みさと・高岡由季、チケット係:沖まどか