Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

核兵器禁止条約。まずは戦争に使わないことから。

2017-07-09 | Weblog
国連本部で7日に採択された、核兵器禁止条約の全文。

共同通信さん、ごめんなさい。
核保有国や日本政府は署名していないこの条文が、公開され流布されることが公益に適うと思うし、
▽第20条(真正の文面)「本条約はアラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語の文面が等しく真正である。」に、「日本語」が入っていないことを恥ずかしく思うので、
あえてここに転載させていただきます。

一人でも多くの人にこれを読んでほしい。
そして、日本政府が署名できない理由を想像してみよう。

先月27日、日本政府の高見沢将林軍縮会議代表部大使は、交渉には核軍縮での協力が不可欠な核兵器保有国が加わっておらず、日本が「建設的かつ誠実に参加することは困難」と述べ今後の会議への不参加を表明。
岸田文雄外相も28日午前、東京で「我が国の主張を満たすものではないことが明らかになった。日本の考えを述べたうえで今後この交渉に参加しないことにした」。

高見沢大使は核兵器とミサイル開発を続ける北朝鮮に触れ、「禁止条約で脅威は解決できない」「現実の安全保障を踏まえずに核軍縮は進められない」と主張しているが、では、彼はかの国と核戦争をしたいのだろうか? あるいは、核戦争をする構えを見せる国に味方したいのだろうか。
「核保有国抜きの禁止条約は実効性がない」と決めつけず、本気の外交努力をしたのだろうか。
この核兵器禁止条約のことを「核兵器国と非核兵器国、さらには非核兵器国間の分裂を広げる」「核なき世界という共通目標を遠ざける」とするが、核拡散防止条約(NPT)強化や核実験全面禁止条約(CTBT)早期発効を求めるなら、この核兵器禁止条約がそのために適したステップであると考えないのか。
「唯一の被爆国」が「核の傘」を肯定してどうするのだ。
未曾有の原発事故も起こしたこの国が、世界に示すべき態度とは、何か。

⋯⋯⋯⋯

写真は、インドネシア・ラマレラの路上に置かれたバイク用燃料。これを置いた目の前の民家の人から買ってタンクに注ぎ、また走る。日中は電気が通じていないこの場所では電気自動車は夢のまた夢。エネルギーの適材適所を考えないとそのツケはいつか来る。

核兵器禁止条約は原子力の平和利用や研究を妨げるものではない。
まずは戦争に使わないことから。
軍事利用しなければ研究の速度は落ちていくだろう。
だがそれは、あって然るべき「道理」なのだ。



 【前文】

 本条約の締約国は、国連憲章の目的と原則の実現に貢献することを決意。

 核兵器の使用によって引き起こされる破局的な人道上の結末を深く懸念し、そのような兵器全廃の重大な必要性を認識、全廃こそがいかなる状況においても核兵器が二度と使われないことを保証する唯一の方法である。

 偶発や誤算あるいは意図に基づく核兵器の爆発を含め、核兵器が存在し続けることで生じる危険性に留意。これらの危険性は全人類の安全保障に関わり、全ての国が核兵器の使用防止に向けた責任を共有していることを強調。

 核兵器の破局的な結果には十分に対処できない上、国境を越え、人類の生存や環境、社会経済の開発、地球規模の経済、食料安全保障および現在と将来世代の健康に対する深刻な関連性を示し、ならびに電離放射能の結果を含めた母体や少女に対する不釣り合いな影響を認識。

 核軍縮ならびに核兵器なき世界の実現および維持の緊急性に対する倫理的責務を認識し、これは国家および集団的な安全保障の利益にかなう最高次元での地球規模の公共の利益である。

 核兵器の使用による被害者(ヒバクシャ)ならびに核兵器の実験によって影響を受けた人々に引き起こされる受け入れがたい苦痛と危害に留意。

 核兵器に関わる活動で先住民に対する不釣り合いに大きな影響を認識。

 全ての国は国際人道法や国際人権法を含め、適用される国際法を常に順守する必要性があることを再確認。

 国際人道法の原則や規則を基礎とし、とりわけ武装紛争の当事者が戦時において取り得る方法や手段の権利は無制限ではないという原則、区別の規則、無差別攻撃の禁止、均衡の規則、攻撃の予防措置、過度な負傷や不要な苦痛を引き起こす兵器使用の禁止、自然保護の規則。

 いかなる核兵器の使用も武力紛争に適用される国際法の規則、とりわけ人道法の原則と規則に反していることを考慮。

 いかなる核兵器の使用も人間性の原則や公共の良心の指図に反することを考慮。

 各国は国連憲章に基づき、国際関係においていかなる国の領土の一体性や政治的独立、あるいはその他の国連の目的にそぐわない形での武力による威嚇や使用を抑制すべき点を想起し、さらに国際平和と安全の確立と維持は世界の人的、経済的資源を極力軍備に回さないことで促進される点を想起。

 1946年1月24日に採択された国連総会の最初の決議ならびに核兵器の廃棄を求めるその後の決議を想起。

 核軍縮の遅い歩みに加え、軍事や安全保障上の概念や教義、政策における核兵器への継続的依存、ならびに核兵器の生産や維持、現代化の計画に対する経済的、人的資源の浪費を懸念。

 核兵器について後戻りせず、検証可能で透明性のある廃棄を含め、核兵器の法的拘束力を持った禁止は核兵器なき世界の実現と維持に向けて重要な貢献となる点を認識し、その実現に向けて行動することを決意。

 厳密かつ効果的な国際管理の下、総合的かつ完全な軍縮に向けた効果的な進展の実現を視野に行動することを決意。

 厳密かつ効果的な国際管理の下での核軍縮のための交渉を誠実に追求し、結論を出す義務があることを再確認。

 核軍縮と不拡散体制の礎石である核拡散防止条約の完全かつ効果的な履行は国際平和と安全を促進する上で極めて重要な役割を有する点を再確認。

 核軍縮と不拡散体制の核心的要素として、包括的核実験禁止条約とその検証体制の不可欠な重要性を再確認。

 国際的に認知されている非核地帯は関係する国々の間における自由な取り決めを基に創設され、地球規模および地域の平和と安全を強化している点、ならびに核不拡散体制を強化し、さらに核軍縮の目標実現に向け貢献している点を再確認。

 本条約は、締約諸国が一切の差別なく平和目的での核エネルギーの研究と生産、使用を進めるという譲れない権利に悪影響を及ぼすとは解釈されないことを強調。

 平等かつ完全で効果的な女性と男性双方の参加は持続性ある平和と安全の促進・達成の重要な要素であり、核軍縮における女性の効果的な参加の支持と強化に取り組むことを再確認。

 あらゆる側面における平和と軍縮教育、ならびに現代および将来世代における核兵器の危険性と結果を認知する重要性を認識し、さらに本条約の原則と規範の普及に向けて取り組む。

 核兵器廃絶への呼び掛けでも明らかなように人間性の原則の推進における公共の良心の役割を強調し、国連や赤十字国際委員会、その他の国際・地域の機構、非政府組織、宗教指導者、国会議員、学界ならびにヒバクシャによる目標達成への努力を認識。

 以下のように合意。

 【本文】

 第1条(禁止)

 一、締約国はいかなる状況においても以下を実施しない。

 (a)核兵器あるいはその他の核爆発装置の開発、実験、製造、生産、あるいは獲得、保有、貯蔵。

 (b)直接、間接を問わず核兵器およびその他の核爆発装置の移譲、あるいはそうした兵器の管理の移譲。

 (c)直接、間接を問わず、核兵器あるいはその他の核爆発装置、もしくはそれらの管理の移譲受け入れ。

 (d)核兵器もしくはその他の核爆発装置の使用、あるいは使用するとの威嚇。

 (e)本条約で締約国に禁じている活動に関与するため、誰かを支援、奨励、勧誘すること。

 (f)本条約で締約国に禁じている活動に関与するため、誰かに支援を要請し、受け入れること。

 (g)領内あるいは管轄・支配が及ぶ場所において、核兵器やその他の核爆発装置の配備、導入、展開の容認。

 ▽第2条(申告)

 一、締約各国は本条約が発効してから30日以内に国連事務総長に対し以下の申告を提出。

 (a)本条約の発効前に核兵器あるいは核爆発装置を所有、保有、管理していたかどうかや、核兵器計画については核兵器関連の全ての施設を廃棄もしくは後戻りしない形で転換したかどうかを含めた廃棄の申告。

 (b)第1条(a)にもかかわらず、核兵器もしくは核爆発装置を所有、保有、管理していたかどうかの申告。

 (c)第1条(g)にもかかわらず、領内やその他の管轄・支配している場所において、他国が所有、保有、管理する核兵器やその他の核爆発装置があるかどうかの申告。

 二、国連事務総長は受領した全ての申告を締約諸国に送付。

 ▽第3条(保障措置)

 一、第4条の一項、二項に当てはまらない各締約国は最低限でも、将来採択される可能性がある追加の関連文書にかかわらず、本条約が発効した段階で国際原子力機関の保障措置上の義務を守る。

 二、第4条の一項、二項に当てはまらず、国際原子力機関と包括的保障措置協定を締結していない締約国は、包括的保障措置協定について合意し、発効させる。協定の交渉はその締約国について本条約が発効してから180日以内に開始。協定はその締約国の本条約発効から18カ月以内に発効。それゆえ各締約国は将来において採択される可能性がある追加の関連文書にかかわらず、義務を守る。

 ▽第4条(核兵器の全廃に向けて)

 一、2017年7月7日以降に核兵器もしくは核爆発装置を所有、保有、管理し、また本条約の発効前に全ての核兵器関連施設の廃棄もしくは後戻りしない形での転換を含め核兵器計画を廃棄した締約国は、核兵器計画が後戻りしない形で廃棄されたことを検証する目的のため、第4条の六項で指定する法的権限のある国際機関と協力。その機関は締約諸国に報告。そうした締約国は申告済みの核物質が平和的な核活動から転用されていないことやその国全体で未申告の核物質・核活動がないことについて信頼に足る確証を与えるため、国際原子力機関と保障措置協定を締結。協定の交渉はその締約国について本条約が発効してから180日以内に開始。協定はその締約国の本条約発効から18カ月以内に発効。それゆえ各締約国は将来において採択される可能性がある追加の関連文書にかかわらず、これら保障措置の義務を守る。

 二、第1条(a)にもかかわらず、核兵器やその他の核爆発装置を所有、保有、管理する締約国は、それらを直ちに核兵器システムの稼働状態から取り外し、破壊する。これは、全ての核兵器関連施設の廃棄もしくは後戻りしない形での転換を含め、検証可能かつ後戻りしない形での核兵器計画廃棄のため、法的拘束力があり時間を区切った計画に沿ってできるだけ速やかに、ただ締約諸国の最初の会議で決めた締め切りより遅れてはいけない。その締約国は本条約がその国で発効してから60日以内に、本計画を締約諸国や締約諸国が指定した法的権限のある国際機関に提出。本計画は法的権限のある国際機関と協議される。国際機関は手続き規則に従って承認を得るため、その後の締約国会議か再検討会議かいずれか早い方に本計画を提出。

 三、上記二項に当てはまる締約国は、申告済みの核物質が平和的な核活動から転用されていないことやその国全体で未申告の核物質・核活動がないことについて信頼に足る確証を与えるため、国際原子力機関と保障措置協定を締結。協定の交渉は二項で言及した本計画の履行が完了する日までに開始。協定は交渉開始から18カ月以内に発効。それゆえ締約国は最低限、将来において採択される可能性がある追加の関連文書にかかわらず、これら保障措置の義務を守る。三項で言及された協定の発効後、その締約国は国連事務総長に第4条での義務を遂行したとの申告を提出。

 四、第1条(b)(g)にもかかわらず、領内やその他の管轄・支配している場所において、他国が所有、保有、管理する核兵器やその他の核爆発装置がある締約国は、それら兵器についてできるだけ速やかに、ただ締約国の最初の会議で決めた締め切りより遅れることなく、迅速な撤去を確実にする。そうした兵器と爆発装置の撤去に関し、締約国は国連事務総長に第4条の義務を遂行したとの申告を提出。

 五、第4条が当てはまる締約国は、第4条での義務履行を遂行するまで、締約国会議と再検討会議に進展状況の報告書を提出。

 六、締約諸国は核兵器計画の後戻りしない形での廃棄のための交渉と検証のため、法的権限のある国際機関を指定。検証には第4条の一項、二項、三項に従って、全ての核兵器関連施設の廃棄や後戻りしない形での転換を含む。第4条の一項、二項が当てはまる締約国に対する本条約の発効前に上記の指定が済んでいない場合、国連事務総長は必要な決定のため締約国の特別な会議を開催。

 ▽第5条(国家の履行)

 一、締約国は本条約の義務履行のために必要な措置を導入する。

 二、締約各国は、個人またはその管轄・支配にある区域で行われる本条約の禁止行為を防止し抑制するため、刑事罰の強制を含め、全ての適切な法律上、行政上あるいはそれ以外の措置を導入。

 ▽第6条(被害者支援と環境改善)

 一、締約各国は、核兵器の使用や実験に伴って悪影響を受けた管轄下の個人に関し、国際人道・人権法に従って、医療ケアやリハビリ、心理的な支援を含め、年齢や性別に適した支援を十分に提供。社会的、経済的な面についても同様。

 二、締約国は管轄・支配下の地域が核兵器の実験や使用に関連する活動の結果、汚染された場合、汚染地域の環境改善に向け必要かつ適当な措置を受け取る。

 三、上記一項、二項の義務は国際法や2国間の取り決めの下で負う他の国の責務や義務には関係しない。

 ▽第7条(国際協力と支援)

 一、締約各国は本条約の履行を促進するため、他の締約国と協力。

 二、本条約の義務を履行するに当たり、締約各国は他の締約国から、それが実行可能なら支援を求め、受け取る権利がある。

 三、それが可能な締約国は、本条約の履行促進のため、核兵器の使用や実験で悪影響を受けた締約国に技術的、物質的、財政的な支援を与える。

 四、それが可能な締約国は核兵器その他の爆発装置の使用と実験に伴う被害者に対する支援を与える。

 五、第7条の下での支援は、とりわけ国連機構、国際あるいは地域、各国の機構や機関、非政府の機構や機関、赤十字国際委員会、国際赤十字・赤新月社連盟、各国の赤十字・赤新月社、または2国間の枠組みで提供される。

 六、国際法でのその他の責務や義務にかかわりなく、核兵器やその他の核爆発装置を使用、実験した締約国は、被害者の支援と環境改善の目的のため、被害に遭った締約国に十分な支援を提供する責任を有する。

 ▽第8条(締約国会議)

 一、締約国は、関連の規定に従い本条約の適用や履行、核軍縮のさらなる措置において、検討や必要であれば決定のため、定期的に会合する。これには以下を含む。

 (a)本条約の履行と締約の状況。

 (b)本条約の追加議定書を含め、核兵器計画の検証可能で時間を区切った後戻りしない廃棄のための措置。

 (c)本条約に準拠し、一致したその他の事項。

 二、最初の締約国会議は本条約が発効してから1年以内に国連事務総長によって開かれる。その後の締約国会議は、締約諸国による別の合意がない限り、国連事務総長によって2年ごとに開かれる。締約国会議は最初の会議で手続き規則を採択。採択までの間は、核兵器を禁止するため法的拘束力のある文書を交渉する国連会議における手続き規則を適用。

 三、特別な締約国会議は必要と見なされる場合、締約国全体の少なくとも3分の1の支持がある締約国の書面要請に基づき、国連事務総長が開催する。

 四、本条約が発効して5年の時点で、締約国会議は本条約の運用および本条約の目的達成の進展状況を再検討するため会議を開く。国連事務総長は、締約諸国による別の同意がない限り、その後の同じ目的のための再検討会議を6年ごと開催。

 五、本条約の非締約国ならびに国連システムの関連機関、その他の関連国際機構と機関、地域機構、赤十字国際委員会、国際赤十字・赤新月社連盟、関連の非政府組織は締約国会議や再検討会議にオブザーバーとして招待される。

 ▽第9条(費用)

 一、締約国会議と再検討会議、特別会議の費用は、適宜調整した国連の分担率に従い、締約国および会議にオブザーバーとして参加する非締約国によって負担する。

 二、本条約の第2条の下での申告、第4条の下での報告、第10条の下での改正の通知のために国連事務総長が負う費用は適宜調整した国連分担率に応じて締約国が負う。

 三、第4条の下で求められる検証措置の履行や、核兵器その他の核爆発装置の廃棄、さらに全ての核兵器関連施設の廃棄と転換を含めた核兵器計画の廃棄にかかる費用は、当該の締約国が負う。

 ▽第10条(改正)

 一、締約国は本条約の発効後いつでも改正を提案できる。国連事務総長は提案文書の通知を受け、全締約国に配布し、提案を検討するかどうかの見解を求める。仮に締約国の多数が、提案の配布から90日以内に国連事務総長に対し、提案のさらなる検討を支持する旨を示せば、提案は次に開かれる締約国会議か再検討会議のいずれか早い方で検討される。

 二、締約国会議と再検討会議は締約国の3分の2の多数が賛成票を投じることで採択される改正に合意する。寄託者は採択された改正を全ての締約国に通知する。

 三、改正は、改正事項の批准文書を寄託したそれぞれの締約国に対し、採択時点での締約国の過半数が批准文書を寄託してから90日後に発効する。その他の締約国は改正の批准文書の寄託から90日後の段階で発効する。

 ▽第11条(紛争解決)

 一、本条約の解釈や適用に関し締約国の2カ国間以上で紛争が生じた場合、関係国は交渉や、国連憲章33条に従って締約国の選択によるその他の平和的な手段を通じ、紛争を解決するために協議。

 二、締約国会議は紛争の解決に向け貢献できる。本条約や国連憲章の関連規定に従い、あっせんの提示、関係国が選択する解決に向けた手続きの開始要請や、合意手続きの期限設定の勧告を含む。

 ▽第12条(普遍性)

 締約国は本条約の非締約国に対し、全ての国の普遍的な支持という目標に向け条約の批准、受諾、承認、加盟を促す。

 ▽第13条(署名)

 本条約はニューヨークの国連本部で2017年9月20日、全ての国の署名を受け付ける。

 ▽第14条(批准、受諾、承認、加盟)

 本条約は署名国による批准、受諾、承認を必要とする。本条約は加盟を受け付ける。

 ▽第15条(発効)

 一、本条約は50カ国が批准、受諾、承認、加盟の文書を寄託してから90日後に発効する。

 二、50カ国の寄託が終わった後に批准、受諾、承認、加盟の文書を寄託した国については、その国の寄託から90日後に本条約が発効する。

 ▽第16条(留保)

 本条約の条文は留保を受け付けない。

 ▽第17条(期間と脱退)

 一、本条約は無期限。

 二、締約各国は本条約に関連した事項が最高度の国益を損なうような特別の事態が発生したと判断した場合、国家主権を行使しながら、本条約脱退の権利を有する。寄託者に対し脱退を通告する。上記の通告には最高度の国益が脅かされると見なす特別な事態に関する声明を含める。

 三、上記の脱退は寄託者が通告を受け取ってから12カ月後にのみ効力を発する。しかしながら仮に12カ月の満了時点で、脱退しようとしている国が武力紛争に関わっている場合、その締約国は武力紛争が終結するまで、本条約および付属議定書の義務を負う。

 ▽第18条(別の合意との関係)

 本条約の履行は本条約と一致した義務であれば、締約国が加わる既存の国際合意に関して取る義務に影響を与えない。

 ▽第19条(寄託者)

 国連事務総長は本条約の寄託者である。

 ▽第20条(真正の文面)

 本条約はアラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語の文面が等しく真正である。
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『湾岸線浜浦駅高架下4:00A.M.(土、日除ク)』開幕。本日は同作品のアダルト版リーディング。

2017-07-09 | Weblog
『湾岸線浜浦駅高架下4:00A.M.(土、日除ク)』。開幕。
本日は同作品のアダルト版をアフター・リーディング。午後2時開演。

写真は、「男体盛り」。出し惜しみしません。ネタばれ、気にしません。はい。戯曲通りです。
左から、杉山英之、宗像祥子、橘麦。お皿になって寿司を盛られているのは、東谷英人。撮影・姫田蘭。

そして終演後には、『湾岸線浜浦駅高架下4:00A.M.(土、日除ク)』アダルト・バージョン上演。
本篇と同じ作品を、アダルトメンバーの出演でお送りします。

本篇は1時間20分ですが、リーディングは1時間程度を予定しています。

配役は以下の通りです。

ヨシオ 杉山英之 リーディングでは鴨川てんし
ヒデキ 東谷英人 リーディングでは猪熊恒和
カツユキ 荻野貴継 リーディングでは川中健次郎
マサコ 橘麦 リーディングでは都築香弥子
ナオミ 高野ゆらこ リーディングでは円城寺あや
セイコ 和田光沙 リーディングでは中山マリ
ゴロウ 武山尚史 リーディングでは山村秀勝
トモミ 宗像祥子 リーディングでは樋尾麻衣子、11日(火)16日(日)のリーディングでは小野寺ずる
ヒデミ 田中結佳 リーディングでは大島葉子
ミキ 高木愛香 リーディングでは中瀬良衣
ト書き リーディングでは和田光沙

   


⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯


さて、以下は、『湾岸線浜浦駅高架下4:00A.M.(土、日除ク)』当日パンフレットに載せている文章である。
「ネタばれ」といえば「ネタばれ」であるが、まあ「その先」を実際の舞台でお見せするわけだし、今回の上演の根幹について記した演出ノートであるので、構わないだろう。
関心のある方はぜひ読んでください。



二十年前。「劇作家協会新人戯曲賞」の二次審査でこの戯曲に出会ったさい感じたのは、どうしようもない連中の、でもけっこうまともな青春群像劇だということである。今回の稽古過程で、その印象が立体的になってきて、一人一人の役柄に実体が与えられ、それぞれの存在を互いに感じる「リアル」が充実すればするほど、彼らのコミュニティの「外の世界」に対する謎めいた緊張感が増し、まさにその部分にこの戯曲の根っこがあるということに気づかされた。

深津篤史という劇作家の中で、阪神・淡路大震災が大きなトラウマとなっていることは、よく指摘されている。震災で彼の芦屋市の実家が全壊、家族は無事だったが、仮設住宅に住むことになる。深津は自分だけ京都の下宿にいて難を逃れたことにその後ずっと後ろめたさを抱きつづけていたという。
彼は同時に、自分が抱えるその「偽善的な罪の意識」を疑い、また、報道によって伝えられるステレオタイプな震災イメージへの憤りを隠さなかった。

『湾岸線浜浦駅高架下4:00A.M.(土、日除ク)』は、深津さんの作品の中で、代表作の一つとして扱われたことはないと思う。
ただ、私は20年前に読んだときの印象が強いこともあってか、その後接することになる他の深津作品よりも、自分に近しいものを感じていた。
難しいし、わかりにくいが、登場人物たちの行動は具体的である。少しずつ、実際にやってみることで、理解していくしかない。
ある夜、稽古が終わって後、しばらく残って、この芝居についてあれこれ話していた時、あらためてある直観が迫ってきて、ちょっと、ぞぞっとした。どうやらこの感覚をこれからの指針にしないといけないな、と思った。

どういう直観かといえば、それは、端的にいえば、この劇の登場人物たちが、みんな死者かもしれない、ということである。
彼らは、この街を出ていけない。
「私は帰る」と言っても、どこにも帰れない。
いなくなるときは、ただ消えるだけだ。
震災で多くの鉄道の線路や高速道路の架橋は破壊され、じっさいに崩れた駅の高架もある。そこで下敷きになった人たちがいるとしたら、と、私たちは考える。
彼らが目撃する高架下に横たわる死体らしきものは、革靴を履いているから男なのか、あえて革靴を履いた女なのか、わからない。性別不明。年齢も特定できず、顔も見えない。
おそらくその「死体」の一部分だけを見ながら皆が想像するのは、「あれは、ひょっとしたら自分自身かもしれない」という、震えを伴う実感である。自分自身が死んでいるという認識を忌避し続ければ、それは逆に、一種の謎や予感のようなものとして、潜在意識の中に留まっているのかもしれない。
じっさいにあの地震が起きたのは、午前5時46分52秒である。
この劇が月曜日から金曜日まで五日間、その午前四時からの一時間数十分を描いているのは、死者たちが「有り得たかもしれない、最後にそこにいた時間」を繰り返し体験しているのを、我々観客がたまたま目撃しているとも考えられる。
劇中に登場する「幽霊電車」とは、言うまでもなく、死者を乗せた電車であり、その音を聴くことは、実は自分たちがこうしてここにいるのは本当ではないという、認めがたい事実が、彼らに迫ってきていることのメタファーなのである。

二度にわたるオーディションワークショップを経て参加しているメンバーを含め、出演者たちは、それぞれ気合いが入っている。全員が自分の代表作になるはずだと思っている。はずである。
簡単に結論は出さない。彼らとともに、作者・深津篤史の、「夢の中」に入っていきたいと思う。それは、今もここにあるのだから。


………………………………


深津篤史作・坂手洋二演出『湾岸線浜浦駅高架下4:00A.M.(土、日除ク)』

「深津演劇祭」参加。

7/6(木)〜19(水)ザ・スズナリ。


○出演者

杉山英之 東谷英人 荻野貴継 橘麦 高野ゆらこ
武山尚史 山村秀勝 宗像祥子 田中結佳
和田光沙 高木愛香 中瀬良衣

照明○竹林功(龍前正夫舞台照明研究所)
音響○島猛(ステージオフィス)
舞台監督○森下紀彦
美術○じょん万次郎
衣裳○小林巨和
演出助手○村野玲子
文芸助手○清水弥生 久保志乃ぶ
衣裳協力○ぴんくぱんだー・卯月
イラスト○山田賢一
宣伝意匠○高崎勝也
制作○古元道広 近藤順子

深津篤史は、「桃園会」を主宰。関西演劇の耽美・不条理派の中軸を担う劇作家・演出家として活躍。
『うちやまつり』で第42回岸田國士戯曲賞を受賞、『動員挿話』等で読売演劇大賞優秀演出家賞受賞するなど高い評価を得ながら、2014年に46歳で亡くなる。

深津演劇祭は、2016年9月から2018年3月まで、10を越える団体により、深津戯曲を上演するフェスティバル。関西を中心に開催される。
燐光群は本作によって、東京から唯一、参加する。

深津氏との出会いを、振り返る。
1997年、深津篤史は燐光群のアトリエである梅ヶ丘BOXにて、中国のノーベル文学賞作家・高行健作『逃亡』を演出(龍の会・世界初演)。これが深津の東京デビューであり、他者の戯曲に取り組む初めての体験であった。
その直後、坂手洋二は「劇作家協会新人戯曲賞」の二次審査で深津作『湾岸線浜浦駅高架下4:00A.M.(土日除ク)』に出会い、「こんなけったいなもの書く奴は他におらん」と言いつつ、強く推す。
1998年、深津は燐光群アトリエ公演『ロウチ氏の死と復活』(トマス・キルロイ作)のチラシを見て、山田賢一によるイラストに惚れ込む。橋渡しされ、以後、山田が桃園会・深津作品の宣材のイラストを描くようになる。
1999年、燐光群主催による梅ヶ丘BOX「ウィークエンドワークショップ」講師を、深津が務める。
2004年、開館した精華小劇場の[オープニング事業]を、桃園会『熱帯夜/うちやまつり』と燐光群『ときはなたれて』の連続公演で飾る。
2006年、桃園会の江口恵美が、燐光群『スタッフ・ハプンズ』『チェックポイント黒点島』に出演。



10日(月)19:00 の回のアフタートークゲストに、土田英生(劇作家・演出家 MONO代表)さんに加えて、関西演劇界の大先輩、小堀純(編集者)さんが登壇して下さることになりました。
13日(木)19:00 の回のアフタートークゲストは、深津さんを演出家として新国立劇場に招いた宮田慶子(演出家 新国立劇場演劇芸術監督)さんです。
そして、深津作品リーディングの出演者が決定しました!

スペシャルゲスト=
円城寺あや 都築香弥子 大島葉子 小野寺ずる HiRO

本公演に出演しない燐光群劇団員(中山マリ 鴨川てんし 川中健次郎 猪熊恒和 樋尾麻衣子 秋定史枝)に加え、
本公演出演者も一部出演します。(和田光沙 荻野貴継 高野ゆらこ 武山尚史 山村秀勝 中瀬良衣)

ショート・リーディング上演作品は、 『四季一会』『カラカラ 改訂版』『月灯の瞬き』『夜毎の鳩』。

そして、『湾岸線浜浦駅高架下4:00A.M.(土、日除ク)』アダルト・バージョン上演は、本篇と同じ作品を、アダルトメンバーの出演でお送りします。
【終演後の特別企画! 氏名は出演者】 それぞれの回で、終演後にそのままご覧頂けます。リーディング前に若干の休憩あり。

8日(土)14:00 【 R 】 ショート・リーディング『四季一会 春の章・夏の章』 約25分
都築香弥子 秋定史枝 荻野貴継 山村秀勝 中瀬良衣
9日(日)14:00 【 S 】 スペシャル・リーディング『湾岸線浜浦駅高架下4:00A.M.(土、日除ク)』アダルト・バージョン 約60分
円城寺あや 都築香弥子 大島葉子 中山マリ 鴨川てんし 川中健次郎 猪熊恒和  樋尾麻衣子 山村秀勝 中瀬良衣 和田光沙
10日(月)19:00 【 T 】 アフタートーク
土田英生(劇作家・演出家 MONO代表)・小堀純(編集者)+坂手洋二(劇作家・演出家 燐光群主宰)
11日(火)14:00 【 S 】 スペシャル・リーディング『湾岸線浜浦駅高架下4:00A.M.(土、日除ク)』アダルト・バージョン 約60分
円城寺あや 都築香弥子 大島葉子 小野寺ずる 中山マリ 鴨川てんし 川中健次郎 猪熊恒和 山村秀勝 中瀬良衣 和田光沙
12日(水)19:00 【 R 】 ショート・リーディング 『カラカラ 改訂版』 約20分
鴨川てんし 円城寺あや 大島葉子 小野寺ずる 中山マリ 猪熊恒和 荻野貴継
13日(木)19:00 【 T 】 アフタートーク
宮田慶子(演出家 新国立劇場演劇芸術監督)+坂手洋二(劇作家・演出家 燐光群主宰)
14日(金)19:00 【 R 】 ショート・リーディング『月灯の瞬き』 約25分
都築香弥子 円城寺あや 鴨川てんし 猪熊恒和 和田光沙
15日(土)14:00 【 R 】 ショート・リーディング『夜毎の鳩』 約35分
円城寺あや 都築香弥子 中山マリ 鴨川てんし 川中健次郎 猪熊恒和
15日(土)19:00 【 R 】 ショート・リーディング『四季一会 秋の章・冬の章』 約25分
HiRO 小野寺ずる 秋定史枝 高野ゆらこ 武山尚史
16(日)14:00 【 S 】 スペシャル・リーディング『湾岸線浜浦駅高架下4:00A.M.(土、日除ク)』アダルト・バージョン 約60分
円城寺あや 都築香弥子 大島葉子 小野寺ずる 中山マリ 鴨川てんし 川中健次郎 猪熊恒和 武山尚史 中瀬良衣 和田光沙


P(プレビュー) 7月6日(木)・7日(金)→受付終了しました。
全席自由・一律2,500円・人数限定・劇団予約のみ扱い。
スペシャル・リーディングありの、9日(日)・11日(火)・16日(日)は、一般前売4,000円 ペア前売7,400円 当日4,300円
スペシャル・リーディングなしの回 一般前売3,500円 ペア前売6,400円 当日3,800円
U-25(25歳以下)/大学・専門学校生前売2,000円 高校生以下前売1,000円

受付開始○開演の40分前 開場○開演の20分前
開演直前・直後は(一時的に)ご入場を制限させて頂く場合がございます。
未就学児のご入場はご遠慮下さい。

■ ショート・リーディングとアフタートークは、別の回をご覧になる方でも、そのチケットをお持ちか、予約されていれば、ご入場頂けます。
■ スペシャル・リーディングも、同条件でさらに500円を当日劇場でお支払い頂ければ、ご覧頂けます。



《タイムテーブル》
7月
6日(木)19:00 プレビュー
7日(金)19:00 プレビュー
8日(土)14:00 【 R 】
9日(日)14:00 【 S 】
10日(月)19:00 アフタートーク
11日(火)14:00 【 S 】
12日(水)19:00 【 R 】
13日(木)19:00 アフタートーク
14日(金)19:00 【 R 】
15日(土)14:00 【 R 】/19:00【 R 】
16日(日)14:00 【 S 】
17日(月祝)14:00
18日(火)19:00
19日(水)14:00

特別企画で、【S】【R】の付く日は、終演後にリーディング公演があります^_^(出演者は本公演とは異なります。)
【 S 】 スペシャル・リーディング
9日(日)11日(火)16日(日)
いずれも『湾岸線浜浦駅高架下4:00A.M.(土、日除ク)』アダルト・バージョンとなります。
*他の回と料金が異なります。
【 R 】 ショートリーディング
8日(土)12日(水)14日(金)15日(土)


http://rinkogun.com/wangansen.html
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