A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記344 「story」

2009-12-01 23:12:22 | 書物
タイトル:野依幸治 Koji Noyori “Story”
発行:YOKOI FINE ART
発行日:2009年
内容:
東京・YOKOI FINE ARTにて行われた<野依幸治“Story”>(2009.10.30-11.14)のカタログ。

図版17点、展示風景写真1点
List of Works
作家略歴

頂いた日:2009年11月5日
頂いた場所:YOKOI FINE ART
ギャラリーの方より頂いた展覧会カタログ。ありがとうございます。
展示を見た人にしかわからないが、カタログ図版の配置は展示とほぼ同じになっている。お伺いしたところでは、先にカタログページをデザインし、展示の際にはカタログを見ながら展示したのだとか。
この奇妙でデジャヴな感覚は野依幸治作品の世界観に近いものを感じる。野依の作品もまた、見えているものを描きながら、どこか現実にはありえない光景を描いているからだ。絵画にはちょっとした仕掛けが施されていて、それに気づいたとき、世界の知られざる相貌が立ちあがる。一見するとぼんやり霧がかかった画面は、白昼夢のような、平和な世界を描いたものに見える。例えば、アメリカのホームドラマやポスターなどに見られるような世界だ。だが、絵画という平面にさらなる奥行きを与えるような要素がひそやかに画面に仕掛けられているのである(しかし、その魅力が野依の絵画をユーモアで終わらせてしまう危険もあり、際どいところではある)。
これまで大きなサイズの作品を見てきたが、今展で展示された小さな作品たちは表現が密になっている気がする。その結果、展示にリズムが生まれ、作品同士がつながりを持って見えるからだろう。つづく。