ロイス ジャズ タンノイ

タンノイによるホイジンガ的ジャズの考察でございます。

ベートーヴェン『皇帝』

2011年11月11日 | レコードのお話
ベートーヴェンのピアノ協奏曲『EMPEROR』は『5』を背番号に持って、生涯の1曲にめぐりあう者に、五線譜から身を起こしオーケストラホールのステージに起つ。
なかでもこれが一番というGULDA、VIEN・PHIL盤をわざわざ重量盤で購入し聴いたところ、文句無く素晴らしく、ほとんど疑問もわかずお蔵入りになった。
気になるのは、いぜん門馬氏だけが強く推薦していたゼルキンのピアノをバーンスタインの指揮で録った孤高の存在があって、はたしてアダージョも含めどんなあんばいなのかまだ未聴である。
バーンスタイン氏もゼルキン氏も、タンノイで聴く当方に縁が遠かったのは、聴いてみるとすぐにわかるレコード録音のなにがミスマッチか原因がよくわからない盤で、高域がやかましい。
クラシック録音では、どちらかといえばフィリップス盤やEMI盤が当方の耳に触り善く、これが同じ五線譜からときおこされた曲とは、どうなっているのだ。
最近になって、日本の若いピアニストが『EMPEROR』に新境地をひらいたところをたまたまラジオで聴いて、急にゼルキン氏ならあの部分がどうであったのか?
倉庫からついにCBS盤を探し出して、いよいよ針をのせて聴いてみた。
やはり装置の変貌したROYCEに、バーンスタイン氏もゼルキン氏もいささか変貌を遂げている。
タンノイから聴こえるサウンドと旋律がジャズ風に圧倒的大暴れで慶祝、しかも一瞬のめくるめくアダージョには予想外にぎょっとして、最後まで針をあげることができなかった。
ピアノの音姿も、当方の部屋ではアップライト型のように砂かぶりの眼前に広がり、とくにベーシストの弦の鳴りが、松ヤニをよその規格よりは三倍塗っている鋸を挽くような音を起て、その結果、何人かの団体がニューヨークフィルの右手から圧倒的存在感を突然のようにくり出している。
たまたま奥の部屋で背を向けて聴いていて、思わず、ダ誰だ、と振り返ってしまうほどである。
そうこうしているとき、「ワインを一本、おねがいします」
と現れたのはシャコンヌ氏で、先日のダブルの上着の姿はやはりそうとう似合っていたが、夫人の前ではふれないでおいてあり
「こんど拉げた川崎の代わりのホールに『FAURE』を聴きに行きます」
と申されるので、前祝いに、フルネ指揮のアーメリングとクリュイセンの盤を聴いてみた。
はたして『EMPEROR』の完全盤は、この時間の先にあるのか。







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