先年の大地震の襲来では、家屋はガタガタに揺さぶられた。
「自宅はどこにありますか」
喫茶のお客からたまに問われるが、いま座ってジャズを聴いていた場所に建っていた旧住居を、喫茶の面積の分だけ庭を狭めて移動したことを、業界用語で『引きまえ』工事といっているようだ。
いちいち取り壊して、新築していてはものいりであるので有効利用した。
「誰があの床下にもぐっていくのか、様子をみていたが、俺だったぁ」
休憩の時、職人さんは缶コーヒーを飲みながら、工事の様子を縷々説明してくださった。
太田牛一は、1580年安土城建築の時、数千人で引いたロープが切れて、一個の巨大な石はズルッと予期せぬ方にすべったと信長公記に書いている。
現場でそれを見ていたポルトガル人宣教師ルイス・フロイスは、手紙に、150人ほどが一瞬にして息がなかったと、事故の状況を書いている。
安土の坂を引いた大石は持ち上げてどこに使われたのか、捜してまだ見つかっていないことを考えて、天守閣の重量を支える礎石に地下に埋められているとか。
当方の鄙びた旧住居は、安土城と比べるほどでもないが、引きまえ工事も無事に、その後の大地震でもなんとかそのまま建っている。
ゆかにビー玉をおいてみた。
土台枠の支えに造った構造物は、がんばっているらしい。
地下にもぐって作業していただいた時の写真を見たが、母屋はこのうえに乗って、そこにウサギと住んでいる。
それを一般に、うさぎ小屋というのかもしれないが。
「自宅はどこにありますか」
喫茶のお客からたまに問われるが、いま座ってジャズを聴いていた場所に建っていた旧住居を、喫茶の面積の分だけ庭を狭めて移動したことを、業界用語で『引きまえ』工事といっているようだ。
いちいち取り壊して、新築していてはものいりであるので有効利用した。
「誰があの床下にもぐっていくのか、様子をみていたが、俺だったぁ」
休憩の時、職人さんは缶コーヒーを飲みながら、工事の様子を縷々説明してくださった。
太田牛一は、1580年安土城建築の時、数千人で引いたロープが切れて、一個の巨大な石はズルッと予期せぬ方にすべったと信長公記に書いている。
現場でそれを見ていたポルトガル人宣教師ルイス・フロイスは、手紙に、150人ほどが一瞬にして息がなかったと、事故の状況を書いている。
安土の坂を引いた大石は持ち上げてどこに使われたのか、捜してまだ見つかっていないことを考えて、天守閣の重量を支える礎石に地下に埋められているとか。
当方の鄙びた旧住居は、安土城と比べるほどでもないが、引きまえ工事も無事に、その後の大地震でもなんとかそのまま建っている。
ゆかにビー玉をおいてみた。
土台枠の支えに造った構造物は、がんばっているらしい。
地下にもぐって作業していただいた時の写真を見たが、母屋はこのうえに乗って、そこにウサギと住んでいる。
それを一般に、うさぎ小屋というのかもしれないが。