階段っていうと、どんなイメージを持たれるでしょうか?
一般的にはひたすら機能性であって
「階段室」という区切られた壁の中を直線的に、あるいは回り込みながら
上下階をつなぐ、という役割を果たす存在。
日本の古い家屋では、けっこうな旧家でも
まるで「はしご」に近いようなものも散見される部位です。
一方では、欧米文化世界では
入り口を入ってすぐに優美な曲線を見せる「アップステアーズ」っていう雰囲気の
「見せる階段・装飾的な階段」っていうようなものもあります。
日本では構造強度的に2階建てというのはごく近年まで発展せず、
一方、欧米では木造がツーバイフォーで構造が安定して、
安心して2階建てを建てる建築文化が発展したので、
こういう「見せる階段」文化が生まれたものでしょうか?
で、最近、こういう流れとは違って、
間取りがオープン化してきて、
ある必然性を持って、階段が重要なファクターに変化してきていると感じます。
というのは居間の拡大傾向。
大型テレビの影響で居間が面積拡大し、
その分、他の部位を取り込みつつあって、
その流れから、「階段室」というような面積的ゆとり部分が
真っ先に目を付けられて、居間に取り込むという形が増えていると感じます。
で、そういうふうに変化してくると、
階段のデザインっていうのが、かなり問題になってくる。
写真は、十勝地方の高性能住宅の階段。
熱損失が究極的に少なくなってくると、
家中の仕切り壁というのも必要性がなくなってくるというか、
大きな一体空間の方が熱環境的に合理的なので、
勢い、階段が面白い位置を占めるようになります。
この家では、階段の半ば、踊り場がちょうど手前側・食堂に
面して配置されています。
「ごはんができたよ~」
「は~い、あ、きょうはカレーだ」
「そうよ、早く階段で止まっていないで、降りてきなさい(笑)」
みたいな、家族の会話にワンポイントが加わってくると思います。
食べるという行為が、より家族関係を円滑にする仕掛けになる。
階段の位置で、こんなライフデザイン変化が生まれてくる可能性がある。
動線と、ゾーン配置の変化が微妙な面白さを作り出すのではないでしょうか。
どうなっていくか、楽しみな部分だと思っています。
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