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三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

防蟻の基礎断熱

2007年11月23日 06時59分21秒 | 住宅性能・設備

関東以南地域では、シロアリの問題が大きな課題。
わが社に寒冷地住宅の研修に来られた鹿児島の方から、
北海道ではシロアリ、どうしていますか?
との質問を受けて、お答えに窮したことがあります。
まぁ、あんまりいないんですよね。
そういう切迫感は薄い。

これまで基礎を断熱する場合、プラスチック系の発泡断熱材を使用することが
多いのですが、それだと、シロアリの食害が見られる。
って、すごいですよね、あんな工業製品を「食べる」んですからね。
まぁ、正確には食べて消化するのではなく、
その先にあるおいしい木材を食べるために、
このプラスチックの防御壁を「突破」するということなのでしょうね。
グラスウールだとシロアリは食害を及ぼさないようなのですが、
基礎にグラスウールを使うのはこれまで保持が大変だったし、
また、吸水性の問題もあったりした。
最近ではその両方を解決するような、撥水性を高めて、ボード状にした
グラスウールボードも出てきています。
一方で、発泡プラスチック系断熱材でも、問題を解決するモノが出てきた。
このあたり、北海道では取材であまり目にしないので、
たまたま、現場で見ることができて、新鮮に感じました。
今のところ、高価なのでこの現場では、土に接する基礎下側半分に
この「防蟻の基礎断熱」を施工していました。
上半分は通常の発泡プラスチック系断熱材。違いが色でも明確。
以下はメーカーのHPより転載。

防蟻性断熱材は、発泡が困難とされていたエンジニアリング樹脂のポリカーボネートを高倍率に発泡させた商品です。優れた防蟻性や施工性はもちろんのこと、安全性や耐熱性、耐衝撃性にも優れた基礎外張りに最適な断熱材です。

ということなのだそうです。
断熱での考え方は、基礎断熱するか、それとも床下断熱するか、
ということになり、高性能住宅ではほとんどが基礎断熱が採用されます。
こうして基礎断熱が普及していくと、
温暖地でのこのような断熱材の需要が増えていくのでしょうか?
というより、メーカーが数社、こういうタイプの商品を
出荷していると言うことですから、
徐々に、高性能住宅というものが温暖地でも普及しつつある
ということを表しているのかも知れませんね。
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棟換気・越屋根

2007年11月21日 06時01分44秒 | 住宅性能・設備

写真は先週行ってきた、新潟県上越市でのショット。
屋根の上に、あきらかに換気用と思われる小屋が乗っています。
これは地方によって、言い方が異なっていますが、
上越で呼び名を聞いたら「越屋根」と言われました。
その後、上州高崎でも同じ言い方でしたので、
まぁ、これが一般的な言い方なのでしょうね。
ただ、信州などでは「うだつ」と呼ぶのではないかと思われます。
よく、「うだつが上がる」という言い方をする場合の「うだつ」で、
家が繁栄してくると、そうやって言うのですね。
古民家などでは、屋根からいろりの煙を外に廃棄する用途だと思われます。
昔は、最初からこれを装置するのが経済的に難しくて
お金が貯まってきてから初めて開けたのでしょうか?

というものなのだそうですが、
北海道ではまず、こういうの、見たことがない。
っていうよりも、屋根自体、フラットルーフという無落雪タイプが
主流になってきているので、このように
屋根にデコレーションを加えるというような発想にいかない。
まぁ、そもそも、暖房の方式が、いきなりストーブから始まった
北海道と、その他の日本の地域、という違いなのでしょうか。
いろりによる暖房、というような考え方があった東北以南では
こういうデザインが見慣れた光景としてあったということでしょうね。
しかし、こうした地域でも一般的に建てられる住宅デザインでは
こういうタイプの屋根は採用されないケースが多いと思います。
一般的には板金屋根で、寄せ棟というスタイルが多いのではないでしょうか?
こうした「越屋根」って、むしろ北海道発祥の
高断熱高気密住宅がその南方バージョンとして、
伝統的住宅建築のひとつの手法に着目して再生させた、という面が大きい。
こうした地方では、夏期の室内にこもる熱気をどう抜いていくか、
という換気対策が、冬場の高気密住宅としての配慮以上の要素になる。
そういう問題の合理的解決策を探ったら、
伝統的なデザインにたどりついた、というところ。

単純に、どうやって開けるんだろうと疑問に思ったら、
スタッフの方が、やってくれました(右写真)。
それ用の長い棒状扱い器で、開ける。閉めるのは勢いよく閉められる。
で、網戸は外側についているので
夏場になると、ほぼ1日中開けっ放しというのが一般的使い方。
太陽光日射で床や壁、室内にこもった熱気が、
上昇気流に乗って、ここから室外に廃棄されるわけですね。
換気の問題を考えるときに、平面的に考えても実際には
それほど換気はうまくいかない、むしろ上下の関係で
空気の通り道を考える必要がある、ということのようです。

温暖化の進行という問題もありますが、
まぁ北海道では、現実的な選択肢に入ってくるとは思えませんね。
なるほど合理的、と思わせられた光景でした。
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断熱ルネッサンス_2

2007年11月18日 05時36分52秒 | 住宅性能・設備

先日取り上げた東京ホームビルダーズショーでの展示から。
世界的に省エネルギーというテーマは関心が高く、
いかにして化石燃料や、エネルギー消費を抑えるかが、
建築に課せられた今日的な焦眉の課題。
こういう趨勢の中で、情緒的なデザインだけに
閉じこもっているような建築関係者は、まさに時代が飲み込んでいく。
とくにヨーロッパは、地球温暖化問題へのいち早い対応などでも
世界の流れのヘゲモニーを握っていると感じられます。
そうしたなかでもドイツの「断熱」への取り組みは先進的。
木造住宅の世界でも、木質系断熱材の開発では世界をリードしています。
今回の展示では、RC建築の外断熱用の断熱技術がありました。

コンクリートとガラスは20世紀を主要に規定した建築材料だと思いますが、
21世紀において、そうした建築がサスティナビリティを高めるのは
まさに、断熱技術の向上しかありえません。
このコンクリート建築でもっとも熱橋が発生しやすい部位が、
バルコニーなど、駆体からハネ出す部分。
ここの長期安定的な支持力保持のためには、どうしても
すっぽりと外側から建物をくるむ、という外断熱層が非連続になってしまう。
やむなく断熱方法としては、内側での断熱を工夫するということになる。
しかし、それでは根本的な断熱にならない。
そんな従来の問題点を解決しているのがこの技術。
特殊に開発した素材による断熱材を外側断熱層と連続するように
バルコニー部分と建築本体との中間に施工する。
この部分を頑丈なステンレス鉄筋で構造的に一体化させて
強度を確保し、同時に外断熱の連続性を実現した、というのですね。

同様の考え方のものは別にも展示されていましたが、
どちらもヨーロッパで開発された技術。
けっこうな人だかりができている展示でした。
聞いたら、ゼネコン関係などの開発者などが興味を持っているということ。
日本のゼネコンや建築研究機関って、
こういう部分では確かに先進的に技術は収集し、実験的レベルでは
びっくりするようなこともやっているのですが、
いかんせん、なぜか、実際の建築現場にそういう技術が活かされることが少ない。
こういう企業の研究者たちに熱意が足りないのか、
それとも、経営層の認識が足りないのか、現場がコスト優先体質に染め上がっているのか、
あるいはそれらの複合的な要因なのか、
まだまだ、ヨーロッパの優位性に追随しているのが現実。
たぶん、日本の建築家、意匠性だけにプライオリティを認める風潮が
こういう現実に繋がっているのだと思います。
そんななかでは、北海道の建築家グループはこういう技術にも
端的な理解と興味を示していました。
やはり、寒い地方がこの地球温暖化への対応では
リードしていかなければならないのではないか、
そんな思いが強く感じられましたね。
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最近の照明スイッチ

2007年11月11日 06時07分55秒 | 住宅性能・設備

表題まんま、なんですけれど、
一昨日取材してきたお宅でふと気付いた次第。
旭川の新住協メンバー・芦野組さんの住宅だったのですが、
照明スイッチの設置高さがすべて低め。
通常の健常者が立って操作することだけを考えた高さではなく、
車椅子になったとしても使いやすそうな位置なんですね。
こういう配慮、細かい部分ですが、きわめて大切。
そう、家は毎日使うものなんですね。
使う人の立場に立って、使いやすさを仕掛けていく、
それが建築会社に求められる姿勢ですよね。

って、いうような意味合いを感じ取ったのですが、
さらに建て主さんが、こうやって使えるんですよ、
と言って、スイッチのタッチ部分を外して、
手元に持って、自由な場所から、赤外線とおぼしき操作で
照明を操作して見せてくれた次第。
恥ずかしながら、こういう設備関係の進歩って、
あんまり取材する機会がないので、感心してしまいました。
こんなことも知らなかった、ってちょっと勉強不足ではありますが(汗)
これって、すごく便利ですよね。
照明って、確かにベッドに潜り込んでから、とくに主照明を切るという作業は
また、起き上がってするんじゃ、辛い。
その点、読書なんかをたっぷりの主照明でゆっくり楽しんだ後、
こういう遠隔スイッチで出来るのは、使い勝手がいい。
わが家は建ててからもう20年近いので、
こういう進歩には疎くなってきていました。

でも、ちょっと気付いたのですが、
これって、聞いたら、やっぱりリチウム電池などが中に入っているのだそうで、
その交換は必要なんだそうです。
しかし、あの電池って、どうなんでしょうね。
電池って、やはりメンテナンスが面倒くさい点はあります。
わが家なんかの場合、いろいろなバッテリーやさまざまな種類の電池を
買い置きしているのですが、やはり切れないように買い置きするのって、面倒。
昔に比べて、大きさなどもずいぶん増えている印象がありますね。
そのうえ、こういう小さい電池って、
分別ゴミでも気を使わなければならない。
できれば、充電式のバッテリーにはできないものでしょうかね。
というのは、わがまますぎるものでしょうかね。
充電式にしたら、えらい高くなるのでしょうか?

ということで、今更ながらの住宅設備商品マメ発見でした。
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薪とペレット両用ストーブ

2007年10月30日 05時36分22秒 | 住宅性能・設備

先日の見学時に見た住宅のストーブです。
最近、高性能住宅を指向する人たちは、同時に自然派でもある感じ。
なので、熱源はオール電化というケースが多いのですが
薪ストーブを設置する人も多い。
高性能住宅の駆体への安心感が、シンプルな暖房形式を楽しむ気持ちを刺激するのでしょうか?
余談ながら、こういう暖房形式での例で、
Q1.0住宅で、しかも太陽光発電パネルも乗っけて売電も試みているお宅では、
オール電化住宅で、1年間の電気料金が、なんと、90000円だったそうです。
しっかり取材したわけではなく、ビルダーさんからの情報ですが・・・。
???、というような思いがするんですが、どうも事実らしい。
しかも、売電した金額が1年間で90000円っていうんですから、
それだと、1年間電気料金がかからなかった、というのと同じ。ちょっとにわかには信じがたい。
ただ、その施主さんって、薪ストーブファンなんですね。
住宅の性能はQ1.0なので、省エネルギーも極限的なんでしょうか、
で、暖房と言うよりは、楽しみながら、薪ストーブを使っているので、
ほとんどそっちがメイン暖房になっている様子。
そういう部分も多少は影響している数字なのかも知れません。

おっと、薪ストーブの紹介でした。
薪ストーブは燃やす材料によって、機種が違いますが、
これは製品として販売されているペレットと同時に
薪も燃やせるタイプということ。
火持ちの点ではやや早すぎるということがあるそうですが、
国内製で、価格が180,000円と言うことで、廉価。
こういう高気密の住宅では、吸気を工夫してやらないと
なかなか上手には火がついてくれない。
ちょうど見に行った前の日から日を入れてみたそうで、無事着火を確認したと言うこと。
薪ストーブは、燃やした後の輻射が、この写真の例のように
後背のレンガに蓄熱されて、じんわりと家の中が暖まるのだそうです。
ビルダーさんたちが異口同音に話していました。
このあたり、実践的なノウハウになるのでしょう。
しかし、こんなストーブって、やはり良い雰囲気を醸し出してくれますね。
朝起きて、薪ストーブに火を入れて暖を取る暮らしって、
やっぱり憧れてしまうし、
そういう季節感が迫ってくる、という感覚も
北国らしい、この時期ならではの郷愁に似た感慨。
北海道は寒いけれど、こういう楽しみって言うのも、いいものなんですよね。
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200mm断熱+ヒートポンプ暖房

2007年10月24日 06時21分51秒 | 住宅性能・設備



きのうは久しぶりに札幌での住宅見学が出来ました。
北海道内の地域工務店グループ・アース21の例会に参加した次第。
立場の明確なグループということで、
忌憚のない意見が飛び交って、まことに参考になるグループ。
全国でいろいろなグループの会合や総会に出席する機会に接するのですが、
やはり飛び抜けて自由闊達な情報交流の場、と感じます。

で、だいたい、例会ではグループ参加の会社の最新住宅を見学いたします。
そのなかから、写真の家。
といっても、写真はヒートポンプの室外機だけなんですけれど(汗)、
壁の断熱厚みは200mm。通常の充填断熱に外側で100mmの付加断熱。
換気は第1種の計画換気を採用しています。ちなみに計算上は
回収される熱エネルギーは70%と想定しているとのこと。
換気装置自体は90%の性能を謳っていますが、
実際の生活上では、開口部の開閉などの条件も加味しているのでしょうね。
窓はすべて3重ガラス入り木製窓。
というような仕様で、熱損失はQ値で0.9を切るレベルのもの。
そのように暖房用消費エネルギーが抑えられるので、
ここでは暖房熱源として、空気熱源ヒートポンプを採用しています。
このヒートポンプ装置で得られる熱エネルギーを
室内に設置した温水タンクに溜めたお湯に伝えて、
それを床暖房や、パネルヒーターの形式で家中に回しています。
北海道電力では、このような利用形態でのオール電化に対して
独自の電力メニューを用意しているため、
深夜電力だけでは十分なエネルギーが得られない場合、
昼間電力による「追い炊き」を想定し、
その場合でも比較的に安い電気料金に収まる工夫をしています。

というようなシステムなワケですが、
こういう革新的な技術を導入した住宅を、
一般ユーザーのみなさんに説明して、同意を得られてから
建築しているわけで、その総体としてのビルダーとしての姿勢に単純に脱帽。
それだけ、認識の高いユーザー層が存在するということも事実。
デザインも上品なものにまとめられていて、
周辺の家並みのなかでも飛び抜けた存在になっていました。
やっぱり札幌の住宅は、平均レベルが高いと思わざるを得ません。
首都圏などでは、住宅といえばマンションが主流であり、
戸建て住宅といっても、その不動産的な価値は語られても、
性能的・デザイン的な価値、というものはレベルが高いとは必ずしも言い難い。
そういう意味では、北海道・札幌の戸建てマーケットは
注目に値するマーケットなのだなと、再認識できますね。
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マンション騒音アンケート~意見

2007年10月12日 06時45分55秒 | 住宅性能・設備

きのうご紹介のマンション騒音アンケートの続き。
自由に記入いただいたご意見の一部をご紹介します。

●1の判決が出たことで、今後マンション住人や販売会社、そして建築主の意識が変わることを期待します。4年前に分譲マンションを購入し、入居後上階に4人家族が入居して以降、子供およびその父親の足音に悩まされています。  すでに3回上階の住人に苦情を言っています。(管理組合、販売会社経由でもそれ以外に各1回) 苦情を言った際、上階住人の意見は「子供なので、走るのはしょうがない」というものでしたが、あきれてしまいました。判決にある通り親は子供をしつける義務があります。どうしても子供をしつけられず、ルールを守れないないのであれば、集合住宅ではなく戸建てという選択をすべきです。
●以前マンション住まいをしていた時に、上の部屋の足音に悩まされました。苦情を言いに言ったところ部屋の中に案内され、そこで見たのは、かかとからドスドスと歩く男性の姿。その男性曰く「できる限り気を遣っている」とのこと…。その後もうるさいままでした。とはいえ、我が家もそのマンションに越してきたばかりのとき、下の部屋から突付かれました(床が下からコンコンと叩かれる)。しばらく空いていた上の部屋に人が入ると、特に気になる傾向があるようです。
●ブログを見ての感想です。
すごく、妥当な集計ですよね。
まさに、サイレントマジョリティの表出。
設問3.なんかは、相手の顔とさらにどんな人間が出してる音なのか、
というつきあいの度合いで、すごく気に障っていた音が急に許せちゃったりするからね。
●騒音被害の苦痛は受けた者にしか分からない。現在1の事例と同様な被害を受けているので人ごととは思えない。
●細かいことを言い出すとキリがないと思います。ある程度はマンションという居住空間のデメリットも理解した上で住まわないとダメかと思います。勿論それは分っているとは思うのですが・・・。今後この判決が基準となり、ウチもウチもとどんどん出てくると考えます。司法に委ねるのではなく、そこに住む人の相互理解が必要と感じます。隣に住んでいても顔も知らないなんてこともよくあることで。売り手もデメリットをよく説明しなくては(していると思いますが)ならないと感じます。   私は一戸建てです。
●確かに子供をしつけるのも必要不可欠ではありますが、マンション建設標準で防音対策を施すべきだと思います。またそうすることにより業者はマンションの付加価値として強くアピール出来るのではないでしょうか。


みなさん、それぞれに貴重なご意見をありがとうございます。
この「住宅クレーム110番」の開設趣旨に、
「住まいについての世論の場」という一節を入れたのですが、
いろいろな意見を知ることで、自分自身の考えや感じ方が広がるものだと思います。
解決策はそれぞれであっても、少なくとも
こうした意見や考えに出会うということも大切ではないかと思っています。
引き続き、多くのみなさんのアンケートをお待ちしています。

マンション騒音緊急アンケート

なお、写真は記事とは無関係です。
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マンション騒音問題~3

2007年10月06日 06時28分54秒 | 住宅性能・設備




ここにきて、マンション騒音、近隣騒音の問題への判決が
相次いで出てきています。
きのうは、200m離れた近隣公園の噴水で、こどもたちが歓声を上げている「騒音」に
耐えられないという訴訟に対して、原告勝訴の判決。
原告はマンションの住人で、部屋の中はその最中で60デシベル程度だったということ。
ちょうど、東京都の騒音条例のページがあったので、
そこからレベルの基準値を抜粋したのが、上の表です。
これでみると、60デシベルというのは、普通の会話レベルということ。
こういう判決は、あくまでもこの周辺的状況をしっかり把握しなければ、
うかつには論議できないとは思いますが、
噴水で遊ぶ子どもの時間帯を合わせて考えると、
公共的な公園のなかでのことでもあり、それを認識した上で
住居を選択した近隣住民としての受忍限度内のことではないのか、
そういう印象も受けられるところだとは思います。
さらに言えば、そもそも200m離れているほどであれば、窓の気密化をしっかりやれば、
たぶん、音をかなりレベルダウンすることは可能なハズ。
そういう方向での解決はなかったのか、いきなり公共の公園が
使用の制約を受けるというのは、ちょっと理不尽な気もします。

しかし、このマンション騒音問題は奥が深い。
きのうも書きましたが、実はわたしも苦い経験があります。
いまから25年以上前なのですが、住んでいたマンションで、
上階の方が、夜中にドラムを叩いていたのです。
ちょうど、わが家の寝室の上が息子さんの部屋と言うことで、
ガンガン響いてくるのですね。
音にはいろいろなタイプのものがあるのですが、
ドラムスの場合は、低音域から高音域まで幅広いので、
ちょっと、どうしようもない、受忍できない騒音でした。
で、お願いに行きまして、そのときは止めていただけるのですが、
何日かするとまた始められる。
何回も苦情を言いに行くこと自体も、やはりストレスは溜まるものなのですよね。
息子さんも音楽をやりたいという欲求はわかるのですが、
やはり、夜の就寝時間にやられると、近隣住民としてはたまらない。
かれはかれなりに、ドラムスをたたける時間の制約もあるのでしょうが・・・。
そんな状況に、「まぁ、こりゃ、マンションは住むものじゃないな」と思った次第。
いくら「区分所有」という、権利を持った不動産資産とは言っても、
近隣関係への音の配慮などは、お互いに言いようがないストレス。
こどもにも、そういう環境はどうなのか、と考えて、
戸建て住宅を指向するようになったのです。
それと、同時期にNHKでマンションの絨毯のダニの問題が特集で放送され、
マンションのフロアを板張りにするブームもあったのが、
こういう生活騒音問題の拡大に影響したという記憶もあります。

そんなことで、わたしどものNPO住宅110番HPのアクセスもうなぎ上り。
みなさん、だいぶ、関心が高くなっているように思われます。
そんなことから、急遽アンケートも実施することにしました。

マンション騒音緊急アンケート

こちらで、みなさんのご意見をお聞かせください。
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マンション騒音_2

2007年10月05日 06時49分12秒 | 住宅性能・設備




写真は最近の「住宅クレーム110番」への投稿リスト。
大体、日に2~5程度の投稿が舞い込むのです。
で、これを読み込んで、その上で、回答アドバイスをボランティアの
建築関係技術者のみなさんにお願いする次第。
場合によっては、NPO住宅110番としての回答アドバイスなどもします。
まぁ、日課にして取り組んでいかないと、溜まると大変になる。

そういうなかでも困ってしまうのが、マンション騒音問題なんですね。
きのうはフジテレビ系列の夕方のニュース番組からインタビューも受けまして、
お答えはしたのですが、たいへん難しい問題。
一応、壁面などの防音対策として、最近アドバイスをいただいたケースでは
以下のような方法がありました。防音対策として
隣室との境界壁に石膏ボードを施工して
さらにGWを充填するという方法を業者さんから提案されたユーザーへの回答です。

アドバイスいたします~(ハウテック)

 そもそも、界壁に石膏ボード(GL工法か?)がちょっと不安ですね。ご懸念のとおり、太鼓現象がお隣側にも張ってあるのであれば、発生するでしょう。室内で大きなレベルで音を発生させる場合は、これを吸収すべく設備を施せば、他に伝播するレベルを下げることができます。簡単なのは部屋の容積に比して、表面積を増やすことです。通常のマンションですと、吸音する何ものもなく遮音性ばかり上げているので、室内で手を叩くと日光の鳴き龍みたいな音が聞こえます。ただ、天井に懐があるとか、二重壁にするとかの室内の余裕がないので、十分な吸音処置はなかなか困難です。となると、オーディオ空間としては悪くなりますが、結局はさらに遮音性を高めて隣戸に迷惑を掛けないのが最善の方法になるかと思います。
 とりあえずは界壁のプラスターボード張りの部分は、言われる通りグラスウールを充填してください。200k以上の密度の濃いものとします。プラスターボードは2枚張りとして間に遮音シートを挟みこんでください。3ミリ以上のものとしてください。天井は直天であれば、軽量下地で組んでこれにプラスターボード壁と同じように遮音シートを挟みこんで二枚張りとします。軽量下地部にはグラスーウールを充填してください。仕上げはビニールクロスではなく高いですが、布クロスを使用してください。吸音率が高まります。カーテンは布の厚い吸音性の高いものにして、室内の椅子などは木製、皮製を避け、布製のものを使用してください。床はフローリングであれば、置き敷き絨毯をしてください。室内出入り口は防音木建具に変更します。給気口があればこれも防音タイプに変えてください。この処置で30dBぐらいの遮音効果が期待できます。ほぼ、周囲に迷惑を掛けずに音楽を楽しめます。工事費はオプション費用で100万もアップしないでしょう。全く同じ工事で、グランドピアノを置く音大生の部屋を2回、マンションでオプション工事をした経験がありますが、クレームはありません。私はこれで十分かと思います。

通常のケースでは、下の階の音がうるさい、
というケースはまれなので、天井面の防音はあまりケースがないと思いますが、
その場合は壁面と同様な工事を行う方法も考えられるでしょう。
首都圏など密集地でマンションにお住まいのみなさんなどには、
おとといの裁判所の判例は、人ごとではない問題。
で、本当にわたしにも人ごとでない経験があります、それはあしたに。
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建築基準法の改変

2007年09月26日 05時54分53秒 | 住宅性能・設備



最近の建築を取り巻く情勢変化のなかで
憂慮すべきなのが、建築基準法の改変があります。
ご存知、耐震偽装の姉歯さんの問題から、
木造住宅でも法の厳格性を高めたような方向になっています。
その意味ではユーザー側からは歓迎すべき方向ではあるといえるのですが、
現実は必ずしもそうはなっていないし、
各自治体の建築申請業務は現場で大混乱していると言われています。
なにせ、法の施行から半年近く経っているのに
適切な判断ガイドラインが明確に示されていないので、
木造3階建てなどはほぼ申請が店ざらしになっているような状態。
建築確認申請が受理されないということは、
建て主にとっても、資金の借入面でも問題になるし、
新築計画の大幅な遅れによって、仮住まいの契約期間が長引いたりする、
具体的な損失が拡大する結果を呼んだりしています。
春から夏にかけて、着工戸数は国土交通省の調査でも大幅減。
中小ビルダーの申請はそれぞれ個別の構造計算書類なので審査に慎重になる一方、
大手ハウスメーカーの物件は、構造計算書が全国一律なので、
通りやすくて、どんどん許可が出る、という状態になっています。
こういう事態は充分予測できたはずなのに、
行政側の対応不備が、建築会社間の競争条件をゆがめているとも言えます。

ところかわれば、品、変わる。
写真は以前見学したスウェーデンの「木造多層階建築」。
地震への配慮が法的にあまり顧慮されていないことからか、
壁や床面の強度を若干高める程度で、木造でもこういうマンションが可能になっている。
当然コスト面では相当に有利になってくるし、
コンクリート建築とは違って、CO2の排出量換算ではたいへんサスティナブル。
地震への対応、日本は本当にきびしい。
でも、こういう試練を超えていくことで、
日本の建築技術は、さらに飛躍していくものなのかも知れません。
願わくば、そのうえでなお、どうしたらコストを抑えることが可能か、
真剣な努力を期待したいところですね。
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