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三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

冬の風物詩・つらら

2008年01月18日 06時27分41秒 | 住宅性能・設備

最近はすっかり目にしなくなったものですが、
わたしが子どもの頃には、どの家も、といっていいくらい下がっていたのが氷柱(つらら)。
断熱ということに無自覚に建築を建てていた時代なんですね。
家並みの軒先まで雪が堆積し、
その軒先からは、氷柱が「しばれ」とともに成長し続けている。
というのが、ごく当たり前の冬の札幌の街並み。
札幌は道路幅がゆったりとした街割りなのですが、
冬になると道路幅が、東北以南地域とそう大差がないほどに狭くなった。

きのう書いた「視覚記憶」ということでいえば、
この氷柱だけは、なかなかお目に掛かることがなくなっています(笑)。
これはやっぱり、良くなっていると言うことなのでしょう。
そんななか、時々通る道沿いにあるのがこの工場。
冬場になると、みごとな氷の芸術(笑)を見せてくれています。
氷柱は、建物内部から上昇気流に乗って暖気が屋根面を暖め、
屋根上の雪を融かし、それが屋根板金の隙間を通って軒先に滞留して
やがて、軒先から落ちるときに氷点下の空気で冷やされてできる。
ちょうどすがもりと同時に起きる現象。
断熱ができていなくて、雪と寒さが厳しい、という条件があれば、
ほぼ間違いなく発生する。
この時代の暖房は、豊富にあった石炭が主流。
より火力が強い「コークス」というのも流通していた。
そういう暖房方式も同時に氷柱生成に大いに寄与していた。
こういった氷柱が、たまにくる暖気のときに、
屋根雪崩と共に通行人を襲う、という悲惨な事件を引き起こしてもいた。
そんなことから、雪止めを設置したり、屋根の落雪方向を良く検討してください、
というようなキャンペーンがあったと思う。
現に、わたしたちの通学路でも、氷柱の近くを通らないように
というような先生たちからの生活指導があった記憶があります。
そんなことから、「無落雪屋根」という画期的な工法が開発された。
なぜか、毎年のように増改築工事をしていたわが家では
そういう情報をもたらしてくれる建築業者さんが来ていた記憶があります。
まぁ、しかし、家の中の寒さは、暖房が消えている朝方など、
想像を絶するレベルだったものです。
家風呂がある家庭では、たいてい、朝になると風呂の湯が結氷して
大きく盛り上がっている、というのが一般的だったもの。

ここのところ、1週間くらいでしょうか、
北海道全域、本格的な寒波の襲来で、
札幌でも最低気温がマイナス12度まで下がっています。
各地から、マイナス20度超という話題が飛び交ってきています(笑)。
おりからの灯油の大高騰。
住宅相談の投稿にも、灯油の節約はどうしたらいいか、
というような切実なものも増えてきています。
いろいろ、考えていかなければならない問題は続きますね。

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寒い仙台

2008年01月11日 09時06分52秒 | 住宅性能・設備

仙台で賃貸住宅でそこそこ断熱されている物件を探すのは難しい。
仙台のスタッフを拡充して、札幌から転勤いたしましたが、
一昨日、着任。その様子を聞きました。
借りた賃貸住宅の寒さにびっくりしたという印象を語ってくれています。
札幌から来ると、やっぱり信じられない寒さに対して無防備な建物しかないのです。
不動産屋さんにも、そういう常識理解がないから、
「あたたかい建物の賃貸住宅」とリクエストしても
「なに言っているんだこの人、冬寒いのはどうしようもないでしょが・・・」
という顔をして、ほとんど話を聞いていない。

事務所はちょっと古い建物でしたが、その分、
自由に改造しても良い、という許可を取って、
アルミサッシ1枚ガラスだけの開口部に、ペアガラスの樹脂の内窓を付加。
暖房も、きちんとFF式ストーブを設置して
2年近く経過していますが、そこそこの居住環境が得られています。
その当時のことを思い出しておりますが、
そのように断熱強化と暖房の強化を図らない段階では、
むしろ外の方が建物の中にいるよりも暖かいという実感でした。
後で考えてみると、太陽日射の輻射熱が得られる外が暖かく感じられ、
ひたすらにヒートブリッジになる無断熱RC駆体から熱が奪われていく
建物内部では、やはりその方が寒いというのは理にかなっている事実。
関東以南のように年平均気温が16度前後ならばいざ知らず、
12度程度の仙台では、無断熱、もしくは無理解な建物に冬住むのは、やはり無謀。
なんですが、そういう賃貸を探すのは大変難しい。
ちなみに札幌は年平均で8度ほど。
札幌では断熱し、暖房を基本仕様として考えるのが当然なのに、
仙台では、そのような常識が一般レベルでは理解されていない。
年平均気温で4度も違う、関東以南の「常識」に制圧されているのですね。
そのうえ、暖房設備としてはエアコンなので、
あの吹き付ける空気暖房の過酷さ、体への無配慮さもたまらない。
建物自体があたたまって、遠赤外線的に、というか輻射熱的に暖められないと、
「体の芯からあたたまる」感覚が得られないのですね。

そうは言っていても仕方ないので、
生活的に対応しなければならないので、カーペットを敷き込むとか、
厚手のカーテンをつけるとか、窓周りの気密化を図るとか、
暖房を熱源輻射的なものを考えるとか、
いろいろな「できる工夫」でしのいでいくしかありません。
北東北地域であれば、このあたり、北海道的な常識も通じるのですが、
こうした断熱常識が通用しない、最北端地域が仙台なのかも知れませんね。
最北の、厳寒の、「温暖感覚地域」ともいえるかもしれません。
こういうテーマで考えるというのも、かえって実践的でいいかもしれません。
寒い賃貸住宅をどうすべきか、重要なテーマである気もしますね。

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日本人のハレ空間

2007年12月31日 07時27分16秒 | 住宅性能・設備

大みそかになりましたね。
ことしも1年、なんとか休まずブログを書き続けてこれたのは、
500~600人くらいの定期読者のみなさんのおかげです。
日頃からお付き合いいただき、ありがとうございます。
先日、なにげに発見したのが写真の説明図。
今どき、なかなか、和室の各部についてその名称を正確に言える人は少ないと
たぶん、多くの人が思っているから、こういう写真図を作成したと思われたモノ。
でも、お正月などのハレのときには、
こういう空間の凛とした雰囲気もやっぱりいい。
写真の床の間とかの装置って、さてどんなものなのか、
Wikkipediaでひもといてみると、

<床の間(とこのま)とは、日本の住宅の畳の部屋に見られる座敷飾りの一つ。ハレの空間である客間の一角に造られ、床柱、床框などで構成されている。掛け軸や活けた花を飾る場所である。
中世の押し板が起源であり、典型的には近世初期の書院造、数寄屋風書院において完成した。書院造においては、上座に座る人物の格式を示すものであったが、その後の和風住宅では、客人をもてなすために季節に合わせた掛け軸や花を飾り、住まい手の心配りを示す存在であった。(もっぱら家族が使う茶の間などでは床の間を造る必要はない)
床の間のある部屋においては、床の間側を上座とし、その部屋の中心となる。(室内空間に方向性を与えるという点では、洋間のマントルピースに相当するともいえる)
江戸時代には、庶民が床の間を造るのは贅沢だとして規制されていたが、明治時代以降になると客間に床の間を造るのが一般的になった。現在では掛け軸をかける習慣が衰え、畳の部屋でも床の間を省略することも多い。既に床の間がある部屋も、最近は床の間を潰してクローゼットにすることが多い。和風旅館では床の間がテレビやセーフティボックス(要は金庫)を置くスペースになり下がっていることもよく見受けられる。>

ということなのだそうです。
現代生活的には、こういうハレの部分ではなく
むしろ、テレビを中心とした居間、台所・風呂・水回りといった
より動物的快楽性に近い「快適性」が、テクノロジーの進歩もあって進化した。
まぁ、写真のような精神性を強調した装置も
歴史的な文化産物ではあるので、
生活文化が変遷していくことで、廃れていくことになること自体は
ちょうど、言葉が移り変わっていくのと同じなのではないかと思います。
ただ、先人がこうした空間を作ってきた精神的な背景とかは
正しく知っておく必要はあると思います。

ことしも今日でおしまい。
大みそかまで、お越しいただき感謝いたします。
また、新年も書き続けていきますので、どうぞよろしく。
みなさん、良いお年をお迎えください。ではでは。

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温水ルームヒーター

2007年12月25日 06時37分29秒 | 住宅性能・設備

北海道では、まず見たことがない暖房システムとして
この写真の「温水ルームヒーター」があります。
大体が灯油を熱源とするボイラーを屋外に設置して、
そこから温水を、室内に4カ所ほど設置したヒーター装置接続場所に送るのですね。
で、ごらんのように接続して使用する。
間歇的な暖房として使えるのですが、同時に簡易なセントラルヒーティングとして
使用できるというメリットのある暖房システム。

ときどき、南東北地域で施工例を見かけることがあります。
必要な部屋だけに暖房が欲しい、というような需要に対応しているモノ。
ただし、室内で複数台を設置すれば、ある程度のセントラル暖房装置にはなる。
実際には、冬場で冷え切ってしまう床面などへの送風立ち上がりが早いので、
留守中に暖房しない場合、重宝されているそうです。
ある程度の工事は必要だけれど、
エアコン並みの工事で済むので、家電量販店ルートなどで気軽に買える。
まぁ、建築的ではない暖房、「採暖」的な暖房ということになりますね。
その意味では、逆に高断熱高気密で住宅性能がしっかりしている
そういう建物で、日射の熱取得がかなり期待できる、というような地域では、
省エネな暖房選択としてあり得るのではないか、とも考えられます。
しかし、最近は温暖地では需要が伸び悩み、
寒冷地では灯油の異常な値上がりということから電化に押され、
マーケット自体が縮小してきているのだそうです。
それと、エアコンのような室外機がセットであるわけで、
積雪寒冷地では、ボイラーも室内に置くケースが多いので、
そうしたことへの対応も、まだ十分とは言えないようです。

メーカーさんのお話を伺っていると、
やはりオール電化の需要の伸びが顕著で、
なかなか、対抗策に苦慮されているのが現実のようです。
いまや熱効率と費用のバランスでも、電化の方が安いというような現実だそうで、
そのうえ、火のない安全性ということも考え合わせれば無理もないところかも知れません。
世界的なエネルギーコストの上昇局面は
どう考えても今後、劇的に変化することはなさそうで、
こうした暖房機もユーザーの厳しい選択眼に対して
どのような打開策を打ち出せるのか、苦慮されるところですね。
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暖房をおまけで考える国、建築的に考える国

2007年12月20日 09時36分07秒 | 住宅性能・設備

きのうはある暖房メーカーの方が来社。
いろいろとお話を伺って興味深かったです。
といっても、暖房メーカーさんは東京が本社の会社で、
これまでは主に、温暖地域で販売をされてきたということ。
今回、北海道での販売の可能性を探りたい、ということでした。

まぁ、その内容は別の機会にしたいのですが、
話をすればするほど感じるのが、タイトルに書いたようなこと。
北海道での「暖房」ということの意味合いがなかなか十分には伝わらない。
寒冷地では「暖房」というものは独立的には存在せず、
住宅建築事業者にとって、それこそ建築の工法をどう決定するのかと
ほとんど同等くらいの比重をかけて考えなければならないポイント。
自分自身も寒冷地での「居住者」であり、
その意味で、リアルそのもののテーマなんですね。
なので、建築を考えていくのに、常にこのことがらが決定要因にからんでくる。
間取りを考えるにも、デザインを考えるにも、
設備を考えて行くにせよ、つねに暖房や断熱のことが組み合わせのキーワードになっている。
よく温暖地の設計者から
「断熱などは、設備の問題だ」というような声が投げられることがある。
デザインとは無縁の事柄である、という認識なんですね。
そういう考え方からは、暖房は「おまけ」であって、
建築の基本要素ではない、という考えが導き出されます。

それで済ませているのなら、それでどうぞ、
と言わざるを得ませんが、地球温暖化の問題や、エネルギーの高騰、
というような「環境の世紀」の抱える問題は
そういった態度からは解決に立ち向かえません。
寒冷地が地道に考え、解決してきた道筋が、
エネルギーをコントロールする、という目的に対する実戦的な手法に繋がると思います。
そしてこの問題への対決こそが、
志の部分での「建築家」の時代への責務なのではないでしょうか?
限りあるエネルギーを有効に活用し、無駄にしない
建築的な工夫や努力を正しく評価できるような社会システムが求められていると思います。
いかが、お考えでしょうか?

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紙による境界分けの文化

2007年12月11日 06時17分44秒 | 住宅性能・設備


写真は先日訪れた「いわき」市での古民家の様子。
日本では通風を旨とする家づくりが行われてきて、
そうすると基本的には柱と梁と屋根の概念だけがあって、
「壁」というような概念があいまいだったのではないかと思います。
壁を造作するというのは、たぶんいちばん手間とお金がかかった。
なので、重たい板戸で寒い時期は閉めきるというふうにやり過ごし、
基本的にはこの写真のように紙の建具で採光から
一定の閉鎖性まで演出してきた。
こういう住宅では、確かに「プライバシー」という観念は育ちにくい。
室内での音の問題などはまったく考慮されていませんね。
紙の建具だけで仕切っていくのでは、外部に対しても内部に対しても
プライバシーを保持するのは不可能に近い。
こういう環境でDNA的に過ごしてきた日本人が、
戦後数十年の中で、マンションというような空間に住み始めて、
音の問題に対して、「常識を持て」と突然言われても
すぐに対応できるかどうかは、やはりわかりません。

京都の町家などでは隣家と壁を共有して家が建っているわけで、
そういう壁では竹で下地を作って土を何層も塗り固めるような重
厚な壁を作ったわけですが、
そうとはいっても、壁1枚で仕切られているだけ。
視覚的な境界感覚は、非常に微妙な部分まで感受性が育ったけれど、
こと、音の問題で考えると、
むしろ、気配とかに対しての敏感な感受性を発達させて
「他者への思いやりと配慮」のような精神性を育みはしたけれど、
音的に遮断する、他者との関係性を切る、という方向には行かなかったのではないか。
そんな思いが強くしてきています。
マンションの騒音問題などを考え合わせるとき、
こういう部分からの日本人の精神分析的アプローチも必要なのではないでしょうか?
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軒の出と縁側ー2

2007年12月07日 06時06分48秒 | 住宅性能・設備

きのうの続きです。
ことし越谷市に抜かれるまで、日本最高記録の気温を誇っていた
山形市での、高断熱高気密住宅の事例。
断熱気密性能に配慮しながら、どのように夏の暮らしを設計するか?
という大きなテーマで建てられた住宅です。

きのうの写真は外部から居間から張り出す縁側と
軒の出の様子を見ていただいたのですが、
今日の写真は居間の側からの写真です。
軒の出は、夏の高い日射角度に対して遮蔽する働きをします。
巻き上げられていたすだれは、その働きを促進しますね。
縁側は、内側とも外部ともつかない、
日本独特な、あいまいさのある空間。
全開放された居間から、わずかな温度変化を体感できるように
仕掛けられた装置と言えますね。
きのう書いたように、このお宅の建て主さんは北海道出身者。
こういう夏の過ごし方について、
DNA的な羨望の思いがあったのではないかと推察します。

北海道の夏は、内地の夏と比べて
その湿度と温度がまったく違う。
いつも、内地の夏のような夏を求め続ける思いが北国の人間にはある。
そうした思いが、こういう装置を背景とした高温多湿な夏に
込められ、ようやく実現した、という感じがある。
はだしの素肌に心地よい木の床と、空気が調和した夏。
大きく開かれた居間と縁側で、内外あいまいな暮らし方。
こういうものに、北海道では感じることができない
「日本の夏」を思うことができるのですね。

しかし、そういう夏を満喫しながら、
窓を閉め、内外を遮断すれば1台のエアコンで心地よい環境も作り出せる。
また、冬の寒さへの対応もしっかり実現できている、
という安心感が、やっぱり基本性能として満たされていなければならない。
そういうような部分が、写真の中に隠されているディテール。
開放的でありながら、気密性に配慮された木製建具。
その木製建具を建物本体とつないでいる構造的な工夫。
冬場の冷輻射を抑える床下からの暖気上昇装置。
ガラス面からの冷輻射に対して有効なハニカムサーモスクリーン。
こういうようなさまざまな工夫が、こういう全開放型の
しつらいの裏側で、意図されているのですね。

さて、師走も第2週。いよいよ年末進行まっさかり。
みなさん、風邪など引かず、がんばりましょうね。
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軒の出と縁側ー1

2007年12月06日 05時53分23秒 | 住宅性能・設備

写真は、ことし取材した住宅の中でもかなり大きな感銘を受けた建物。
山形市での住宅で、中村廣さんという建築家の物件。
氏は省エネ住宅賞も受賞する高断熱高気密住宅のプロですが、
ことし抜かれたとはいえ、日本最高気温を長く記録保持していた
山形市で、夏の過ごしやすい住宅を考えたものです。
高断熱高気密住宅の基本を応用しながら、
主に「寒さ」対策を中心としてきたなかで、
どうやったら、省エネルギーな夏の暮らしを作り出せるのか、
正面から取り組んでいました。
高性能住宅が、省エネというテーマ性で温暖地から求められつつある中で、
どのような具体的な提案が可能なのか、
いろいろなポイントが見られてきわめて興味深かった次第。

しかも、このお宅の施主さんは北海道の出身者なのですね(笑)。
冬は暖かい家に住みたい。
けれど、夏は思いっきり開放型の暮らしで、
しかも、ひたすらエアコンに頼るような暮らしではなく、
日本の夏の情緒も楽しみながら、暮らしたい。
そんな思いを実現できるような建物を希望されたのですね。
このあたりの心情は、大いに理解できる(笑)。
北海道人って、冬寒いのはまず、ダメなんですね。
からっきし、こらえ性がないというか。
思うに、昔の生活ぶりをわたしのオヤジくらいの世代に聞くと
非常に安価に入手できた、場合によってはタダで入手できた
石炭を「ガンガン」鋳物ストーブに「くべて」
外の寒さとは別世界のような室内環境を造っていた。
ストーブに当たる側は服を着ていられないくらい暑くして
一方、背中側は常にすきま風が吹き渡っている、という環境。
エネルギー多消費型の、「力づくの冬の征服」のような
暮らし方が身についている部分があるんですね。
建物の性能を上げて温度差のない室内環境を造るより以前は
このような豊富な石炭を使った冬の過ごし方が一般的。
なので、あんまり「冬の寒さを耐える」文化はない。

そういうふうに過ごしてきている北海道人は
いわばDNA的な記憶で、本州以南に行くと暖かい、と信じている。
ところが、最近よく聞くのが、
冬にいちばん暖かいのはむしろ北海道だ、という説。
ようするに室内環境のことですね。
冬に温暖地といわれる地域に行くと、びっくりするほど寒い。
九州のホテルで、あまりの朝晩の寒さに面食らう。
素寒貧な、冷え上がった木の床に閉口させられます。
で、すこし暖房を入れると大きな窓は一面結露。
布団にくるまっていても寒くて、夜もふるえて過ごす、なんて体験もする。

本題からどんどんずれてきていますね(笑)。
でも、こういうテーマ、面白そうなので(勝手に)続けたいと思います。
長くなりそうなので、本日は1部で、明日以降、2部にします。
申し訳ありません、急遽、連載企画になりました(笑)。ではでは。
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美しい洗面ボウル

2007年12月05日 05時59分47秒 | 住宅性能・設備

ちょっと、お、って思わせる洗面に出会いました。
いわゆる「見せる」という意味ではステキな洗面。
スッキリした木質だけで構成してある中に
陶器製の洗面ボウル。
いいよなぁ、たまには・・・。
というような生活装置ですね。
だけれども、よく考えたら毎日使う空間では
こういうふうにポンと
乗っかっているようなのはどうなのかなぁ、と。
まぁ、こういうのも楽しみ、生活の句読点と考えると良いかもしれませんけれど。

住宅のデザインって、平面のデザインとは違う。
そして、工業デザインとも少し違う、と思うのですが
しかし、工業製品のデザインの持っている「機能性の究極的な理解」力は必要。
この写真は、どっちかというと、ビジュアルデザインの感覚に近い。
こういうのに、どうしても目が行きやすいけれど
「まてよ」と立ち止まれるかどうか、
というようなことが重要なのではないかと、最近感じます。

逆に言うと、機能性を究極的に考えているデザインって、
深々と人を包み込んでくるような包容力を感じさせる。
使い勝手の中での遊びの部分というようなものが面白く感じる。
いずれにせよ、見るものではなく感じるもの、なのかも知れませんね。
だから、住宅って現物の迫力がなにより説得力を持つのかも。
住宅を写真とルポルタージュで伝える仕事をするものとして、
いつも心がけていかなければならない部分だと思います。

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和風ポリカーボネイト建具

2007年11月29日 05時39分04秒 | 住宅性能・設備


最近、ここ5~6年くらいになりますか、
ポリカーボネイトがいろいろなところで建材として使われています。
佐呂間町で建築家の五十嵐淳さんが自宅外壁をこれで、構成したのが
いちばん、びっくりした記憶があります。
この素材は熱伝導率が低く、化学製品で気密も取れるということから、
けっこう、寒冷地などでも有力な素材として
重宝に使われてきているものです。
とくに建具の素材として注目されています。
ガラス入りのサッシを使うような場所で、
採光だけが取れれば、透過性は必要ない、という場合は
「半透明な壁」として、使われるケースが多い。
五十嵐淳さんの自邸では、これを2重に張った壁内部に
白いグラスウールを入れて、ちょっと名状しがたいデザイン要素になっていました。

写真は、この素材をまったくの和風建築で建具材料として使用した事例。
外観写真が左手で、このように見ると障子のようで
紙が張られているように見えますよね。
右側が内部側からの見え方。
大変デザイン的にはスッキリと仕上がっているというか、
似合いすぎに似合っている。
気をつけなければ、見過ごしてしまうような純和風の佇まい。
開口部のデザイン手法として完全に定着してきたような感じがしますね。
こういう素材の使い方でも、北海道って、
他の地域にとっては、実験場的なところがありますよね。
「北海道でも使って大丈夫なんだら・・・」
というような心理が働くのでしょうね。

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