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三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

北海道らしい建築

2007年08月23日 05時29分51秒 | 住宅取材&ウラ話



きのうは十勝にて仕事しておりました。
で、札幌から帯広に向かう国道沿いに、たいへん巨大な建築があります。
この写真の建物なんですが、名前は
「川西農業協同組合麦等大規模乾燥施設」という建物です。
川西というのは地名。その文字の上には、
「昭和55年度地域農業生産総合振興事業」という文字も。
まぁ、要するに麦などの生産穀物を集中的に乾燥させる施設なんですね。
農水省による公共事業案件として建った経緯がわかります。
という、機能性のみを追求した施設なんですが、
なんというか、現代的な巨大サイロとして、
十勝全域のランドマークとして立派に機能していると
わたし、個人的に強く心引かれているものなんです。
最近はまわりにGSなどの無粋な看板が並んでしまって、
ごちゃごちゃしてきたんですが、
それでも、この巨大さで、車のなかから、
「おう、また十勝に来たぜぃ・・・」という気にさせてくれる。
だいたいが青空が広がっている十勝の空。
そこにガルバリウムとおぼしき耐候性の高い外装。
単純で巨大な容姿。
いかにも農業関連施設としての機能性の表現。
などなど、ちょっと類例のない「北海道らしさ」が伝わってくる。
もし北海道らしい建築、というようなコンクールがあったら、
わたしとしては20世紀代表でこれに一票、入れてやりたい気持ちがあります(笑)。
「ここは十勝だ、農業で食っているんだ、文句あっか?」
みたいな、堂々たる主張性が明快で、まことに潔い。
っていうようなことをいうと、みんなニコニコするのもいい。

で、このもう少し札幌側に進んだところには
甜菜から砂糖を作る巨大円形サイロもあって、
どちらも、地域らしさを圧倒的に感じさせてくれるんです。
どうも、感じ方が単純に出来ているんでしょうか。
みなさん、この建物、どう思われるでしょうか?
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玄関前の敷石

2007年07月14日 07時13分52秒 | 住宅取材&ウラ話


写真は、北海道開拓の村、旧松橋家住宅のもの。
今回見学に行って、一番感じたのが、
「札幌軟石」のさまざまな利用のされ方だったのですが、
この家では、立派な玄関先(右写真)に敷き込まれて使われていました。
で、左側は「勝手口」側なんですが、
こちらは、どうも基礎工事などでこの地盤面を掘り返したときに
出てきたゴロタ石を取っておいて使った、という感じ。
こういう明確な素材の分け方って、
物事への判断基準が明確に峻別されていることを表していて、
一種、生きる上での哲学の明確さを伝えてくれます。
この敷石で言えば、正面玄関を通って入ってくる
「ハレ」の存在への畏敬の表現というものと、
日常使いのものへの質素の強調、とでも言えるでしょう。

こう見てくると、現代の住宅建築で、
こういう社会規範要素が設計上の与条件になる、ということは少ない。
ちょっと、飛躍してしまうかも知れないけれど、
床の間とかは、「家の格式」とか、生きていく規範を
住み暮らすものの意識に植え込んでいく装置ともいえたもの。
いまや、そういう存在に建築的敬意を払う、という習慣はほぼなくなった。
北海道では、和室自体、予算的に無駄、と計画されない家が多い。
歴史的に言えば、封建的な価値観の廃棄とでもいえるのでしょうか?
ただし、このような「しきたり」に属するようなものは
どんな年代の古民家にも共通するものであって、
狭い意味での「封建」というような価値観ではくくられないと思う。
家、とか家族、の基本的な存続に関わるような規範性でもあったと思う。
そういう考え方から、このようなハレと、日常の
「秩序感覚」もおのずと育まれてきたものなのだと言えます。
そして、その考え方には、かなり合理性もあったのだと思えます。

勝手口、というようなハレと日常の隔て装置はいま、ほとんど意識されない。
敷石の果てまで、そのような秩序感覚が貫徹しているのと
秩序感覚がほぼ消滅したような社会。
どちらのほうが、「文化的」といえる社会なのか、
ちょっと、考えなければいけないポイントなのかも知れませんね。
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挫折の履歴書

2007年07月05日 06時43分19秒 | 住宅取材&ウラ話

こういう種類の興味というのは、どういうことなのか?
自分でもよくわからないのですが、
いろいろな土地を訪れるたびに、崩壊寸前のような建物を見るのが、
習いのようになっています。
素晴らしい建築を見るのとはまったく違う意味合いで、
こういう種類の、いわば挫折の履歴書のようなものが、
その土地のさまざまなことを語ってくれるように思えるのです。

写真は、6月のはじめに赤井川村を通過したときに
以前から気になっていた、うち捨てられた家屋を撮影したものです。
赤井川村は、札幌市に隣接する村ですが、
札幌からのアクセスは、高い山々が遮っていて、
峠越えの、急峻な道を通って約1時間くらい掛かる地域。
この道が通る前には、小樽や余市を回ってしか行けない村。
産業らしいものがあるわけでもなく、
この家の持ち主は、たぶん開拓農家として入植したのでしょう。
どのような経緯があったかは、知るよしもありませんが、
結果は、こういう崩壊する家屋がすべてを語ってくれています。

最近の小泉改革以降、
地方という経済基盤は大きく揺らぎ、
その打開方向というのも、まったく見えてこない現実があります。
首都圏や、中京、関西といったメガシティ以外の地域は、
中核的な都市部という、ごく一部を除いて、
生き延びていく方向性をなかなか持てない。
というような雑感を、どうしても感じてしまう次第です。
そういうなかで、どのように地方に生き延びていく仕事や、
地域社会を作っていけるのか、
地方零細企業としては、勇気を持って取り組まなければならない課題ですね。
ま、しかし、みんなで知恵を絞るしか、ないのでしょうね。
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ニセコひらふのリゾート建築

2007年07月03日 06時34分16秒 | 住宅取材&ウラ話

先日のオージー企業によるニセコ訪問時の写真。
いちばんスキーゲレンデに近い位置の滞在型物件です。
このデザインは、オーストラリア人の基本構想に踏まえてまとめられたもの。
手前側がゲレンデ側。片流れの屋根で手前側に高窓が開けられています。
なので、一見、3階建てなんだけれど、
メゾネットタイプの2階建て。
外観の色合いは黒っぽい、シンプルなもの。

一方、こちらは内部の様子。
2階の大きな居間空間に、ごらんのような太い梁が走っています。
無垢の材料だったのですが、長さも太さもちょっと、規格外っぽい。
どうやってこんな材料、仕入れられたのか、
このあたりがポイントになっていましたね。
当然、日本国内では難しいでしょうから、外材でしょうけれど、
それにしても太さが半端ではないものでしたので、
ロシアなどから探してきたものでしょうか。
長さも大型トラックでギリギリっぽい。
まぁ、こういう素材だけで、ドーンと見せてしまおうというインテリア。
この居間空間を持つ部屋はベッドルームが4つくらいあったので、
8人くらいでシェアする滞在型の造り。
大きめのキッチン設備などもあって、居住性が高い。
1週間以上、2週間程度の長期休暇を取ってスキーリゾートを利用する
こういう、かれらのリゾートスタイルにとっては、
温泉観光型の日本人型のリゾート施設は、価格も内部空間も適していないんですね。
どうしても、既存のホテル群や、民宿などは、
1泊2日の短期滞在型にあわせて、盛りだくさんの据え膳、っていうスタイル。
価格も、1週間分を土日で稼ごうとするものになる。
どうも、スキーリゾートというのは、そうではないようなんですね。
オーストラリア観光客は、絶対に地元の施設を利用しない、
ということの理由が明白でした。
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ふるさとの風景

2007年06月28日 05時45分19秒 | 住宅取材&ウラ話


わたしは北海道空知郡栗沢町の生まれなんですが、
最近の市町村合併で、いまは岩見沢市になった、とごく最近聞きました。
というのは、ご覧の写真のワイナリーに先日、訪れてから。
3才までのふるさとなので、あまり記憶はありません。
しかし、たとえば、夏の日射しを厳しく浴びた土の色とか、
冬前の野焼きする焼ける草の臭い、などというような
いわば感覚脳の領域では、鮮明な記憶があるようです。

そんな記憶を、このワイナリー周辺では強く記憶再生してしまった次第です。
生家からごく近く、やはりそういう記憶感覚の中にいる自分を発見します。
ということなんですが、
でも、よく考えると、このワイナリーの建築が媒介している気がします。
このワイナリーの建物は、小樽にあった倉庫建築を移築してきたものだそうです。
こういう移築再生では、やはり地元の武部建設さんがお手の物。
古い雰囲気をほぼイメージ的には完全に再生させながら、
建築としては、構造的にも、断熱気密的にも
最先端の技術レベルで、建てられています。
古さを持った建築には、ひとびとの、それぞれの生きてきた記憶脳に
訴求するような、ある、強烈なメッセージ力があるのではないでしょうかね。
わたし自身、この建物とはなんのゆかりもありませんが、
前記したような、記憶が激しく揺さぶられるような思いを抱いたのでした。

っていうようなこともあって、
つい、ワインを3本も購入してしまいました(笑)。
ふるさとにほど近い、こういう場所で、
生き抜いていこうという人に接していて、
とても親近感を抱いてしまったと言うこともあります。
まぁ、でも、それよりは単純に、おいしそうだったと言うことなんですね(笑)。
こんど、大勢でパーティする機会でもあったら、
ぜひ、味わってみたいと思ったわけなんです。
みなさんも、一度、行ってみてください。とても素敵な建築でしたよ。ヴィアグレスト宝水。
場所は、道道三笠・栗山線を栗山方面から走ってきて、
上志文を過ぎ。毛陽への信号も過ぎて行くと、
両側に山が連なる沢のなかに入ってきます。
右手に「雉が森カントリー」をみてすぐの左の山裾に、
ぶどう畑が広がっているのがわかります。
そのぶどう畑を上から見下ろすように、
計画されたワイナリー、です。(武部さんのHPhttp://www.tkb2000.co.jp/takebe/より)
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木肌の味わい

2007年06月26日 06時35分06秒 | 住宅取材&ウラ話


先日紹介した岩見沢市での武部建設さんの施工事例の外壁。
住宅を見に行ったあと、カラマツ外壁を乾燥しているところも見学。
切断する厚みと長さは一定なのですが、木の太さやねじれや曲がりに沿って、
不定型な張り方、表情になっています。
まさに自然な風合いが感じられる仕上がりになっていますね。
カラマツの間伐材利用と言うことなんですね。
こういうデザイン的な発見に満ちた素材の活用って、
たいへんすばらしいことだと思います。

いま、諸外国からの木材輸入の先行き不安が大きくなってきて、
北海道の木材を高値で本州大手企業が買い占めてきている実態があります。
永年、北海道の木の素晴らしさをアピールして
実際の住宅建築に「北海道らしい」素材として活用してきた
地元工務店に、地元産材が回ってこなくなっているのです。
お話を聞けば、大量購入で、高値の指し値、という
経済原則そのものの現実が進行しているのです。
まぁ、日本企業お得意の集中豪雨型の投資の実態。
こうした危機感から、地元の山そのものを
工務店のグループで購入・管理しよう、という動きも出てきています。
このままでは、早晩、北海道の森林環境は
破壊的な局面に立ち至る可能性もあります。
こうした実態を、多くのユーザーのみなさんも知っていただきたいと思います。

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再生家具ショップ人気

2007年06月21日 06時07分34秒 | 住宅取材&ウラ話


写真は先日伺った、伊達市・須藤建設さんのショールーム。
RCのビルの1階を展示コーナーにしている。
で、なにげに見ていた家具なんですが、
良く聞いてみたら、これらは再生家具なんだそうです。
脚や、骨組みなど、立派なんだけど、
カバーや表面などが汚れたり、傷ついたりしている家具は多い。
そういうのを集めてきて、というか、
販売単価などを見ていると原材料としての古家具は
どう考えてもただ同然で仕入れているとしか考えられない
という値段で、販売されているのだそうです。
伊達に来たのですが、この家具のショップは札幌にあるのだそうで、
情報って、なかなか、面白いものですね(笑)。
展示されているのは、種々雑多なデザインや材質。
こうやって、新品のように再生させられるのですが、
やはり使い込まれたような、いわば親和感のようなものが感じられます。
新品では出そうと思っても出せない味わいなのかも知れません。
きっと、木の表面に細かく付くだろう傷が
表面にやわらかい光の屈折をもたらして、
人の目に優しい印象を与えるのではないだろうか、などと
勝手な思いこみがわき上がってきます。

こういうところに目を付けるというのは面白いですね。
商売でも最近は、新しいものによりも、
古いものや、リサイクルに関連したようなものが人気だ、という説がありますね。
こうやって実際にこういうモノを見ると、
真に迫ってくるような感じがいたしました。

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北海道の住宅視察同行

2007年06月20日 06時44分22秒 | 住宅取材&ウラ話


一昨日より盛岡からの北海道住宅視察に同行しています。
東北と北海道との架け橋のような活動をしているので、
こういう機会が必然的に増えています。
そんなことから、あらためて地元に建てられている住宅を再認識したりもするので、
こちらにとってもたいへん有意義な経験が出来ますね。
北海道の住宅、札幌を中心とした地域の住宅は
日本で一番、インターナショナルデザインに近いと思います。
実際に建てられている住宅を見て回ると、
その性能面やデザイン面、どちらもレベルが高いと再確認することが多い。
一昨日は、札幌でも高級住宅街とされる地域を案内したのですが、
日本的住宅文化の伝統から自由な外観デザインが
実にバラエティ豊かに展開していると思います。
敷地割り自体が、開拓期にアメリカの影響を受けているからか、
それとも、積雪寒冷地ということからか、
ゆったりとしていて隣家との距離がしっかりとられています。
なので、いろいろ個性的な建物が適度な間隔の中に建てられていて、
バラバラともいえるけれど、
非常に自由にデザインを楽しんでいるという感じでしょうか。

写真は、札幌近郊の地方都市・岩見沢に建てられている住宅。
スイスの住宅デザインにインスピレーションを得て、
カラマツの間伐材を、その自然な形態・風合いをそのまま活かすように
実に印象的に使っています。施工は地元の武部建設さん。
設計は京都在住の設計者ということですが、シンプルなかたちと、
さまざまな表情が飽きることのない美しさを放っている外壁の魅力で、
一気に、見るものの気持ちを鷲づかみしてくれます。
こういう住宅がさりげなく建てられているというあたり、
視察のみなさんも驚かれていました。
こんど、内部もしっかり見てみたいな、と思った住宅です。
みなさん、いかがでしょうかね。

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札幌の建築家住宅のルーツ

2007年06月18日 05時37分25秒 | 住宅取材&ウラ話


写真は、コーヒー店として移築保存使用されている旧小熊邸。
札幌の創成期の建築家として知られる
故・田上義也氏の代表的な個人住宅です。
何回か、リプラン誌面でも取り上げてきていますが、一応、その紹介。
以下、リプラン誌面より<
この建物は古くから札幌に残る歴史的建造物で「さっぽろ・ふるさと文化百選」にも選定されている「旧小熊邸」です。老朽化のため解体消失が危惧されていましたが保存運動により、平成10年秋、藻岩山ロープウェイ乗り場近くに建築当初の姿で復原移築され、喫茶店「ろいず珈琲館」として甦りました。
この建物は昭和2年、札幌市中央区南1条西20丁目(当時は円山村だった)に、北海道帝国大学農学部小熊桿(元北海道大学理学部学部長)博士の自宅として、建築家・田上義也氏(故人)の設計により建てられました。設計者である田上義也氏の初期の頃の作品で、氏はアメリカ建築界の巨匠、建築家フランク・ロイド・ライト(日本での代表作品に「東京帝国ホテル」がある)に師事しその影響を受け、平面構成や深く張り出した軒先、サッシの幾何学的な割付など印象的な作風で、北海道の近代建築の草創期を代表する建築家です。

 構造には、ツーバイフォー工法の基本となったバルーンフレーム構造を一部に採用(復原では全面的にツーバイフォー工法が使用された)。外観では、田上氏の作品に共通する屋根の破風妻面を途中で切ったような破れ破風、外壁の腰部分は横羽目板張りとし、低く抑えられた階高、張り出した軒先、軒先に上端を揃えた窓など、水平性を強調。また、応接間として使われた部屋の亀甲型の大窓は印象的です。内部では、長押や斜めに走る押し縁、幾何学的な照明器具、造り付けの長椅子や菱形小窓、各所にくみこまれた窓飾りなど、インテリアもとても印象的です。

田上義也 プロフィール
1899年 栃木県生まれ
1913年 青山学院中等科入学
1915年 早稲田工手学校(夜間)入学
1916年 早稲田工手学校卒業
1918年 帝国ホテル現場事務所勤務。 アメリカの建築家、フランク・ロイド・ライトの数少ない日本人弟子のひとりとなる。
1923年 北海道へ渡る。
以来、建築のプロフェッションを強く意識し設計活動を行った、北海道近代史上におけるフリーアーキテクト(自営建築家)の先駆者の一人。

というようなことなのですが、先日、久しぶりに行ってきました。
こういう建築物が、一般的に利用可能なかたちで保存利用されているのは
すばらしいことなのではないかと思いますね。
いっとき、時間を忘れて北海道の建築の歴史を想起することができます。
みなさん、ぜひ、一度利用されてみてください。

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オージー向け別荘タイプ投資物件

2007年06月15日 06時48分18秒 | 住宅取材&ウラ話


このコンクリート住宅は、オージー企業の投資物件。
敷地が約70坪ほど、延べ床は30坪内外と思われました。
コンクリート打ち放しのシンプルなボックス。
手前側の大開口が、2層分の高さに渡って大きく開いています。
この建物は、わたしたち北海道の建築技術の先端グループの企業による建築。
こういう開放的なデザインを、寒冷地であるニセコで
長期的な資産価値を損なうことなく、
投資に見合う耐久性能とデザインを持たせているというのがポイント。
オーストラリア人や、香港などの投資家にとっては、
投資金額本体の回収は、数年で完了させられ、しかも、
ニセコヒラフという魅力的なスキーリゾートが世界的に価値が高まっていけば、
売買による投資利益も期待できるものになります。

そして、ニセコヒラフが世界のリゾート地間の競争の中で
ほかとは違うユニークな存在にしたいと考えるときに、
かれらオージーたちにとっては、
この建築が、インターナショナルにわかりやすく、
しかも「現代日本的」なデザイン性を訴求するものである必要があります。
そういう視点で見たときに、このコンクリート建築は
十分にその用を満たして、さらに超えるような魅力を持っている、と語っていました。
わたしたちにしてみると、この建築はインターナショナルには思えますが、
日本的、と言われると、やや場違いな感じを否めません。
しかし、ディテールには随所に日本的なテイストは感じられましたし、
建築としての性能、ということで考えれば、
寒冷地住宅技術では、まさに世界の最先端とまったく遜色はない。
そもそもインターナショナルな感覚に一番近い日本といえる北海道が、
現在生み出し続けている建築デザインにそういう側面があるのだ、
とも言えるのかな、という印象を持ちました。
確かにこの建物は寒冷地住宅としての性能要件は
ほぼ、今現在の日本と世界の技術の最高水準に近く、また、デザイン面でも、
インターナショナルと日本文化の融合的な北海道の感覚をあらわしているとも言えます。
壁厚なんと、380mmという2層構造のコンクリート外断熱の性能とデザインは
世界の投資家にとっても、たいへん強いメッセージを伝えるものだと思います。

そういうことで、北海道以南の日本よりも前に、
海外のシビアな選択眼・審美眼が
北海道の住宅建築の真の価値を見いだしてくる、
きっかけを与えるのではないかと思います。
そうした意味から、こうした海外からの投資の動きを、
北海道の企業家はもっと着目すべきだと思われてなりません。
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