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三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

今年度「北海道建築賞」審査員特別賞

2007年11月09日 06時04分36秒 | 住宅取材&ウラ話



先日、ことしの「北海道建築賞」の受賞作発表会がありました。
これは、公共的な建築から住宅まで幅広い建築を顕彰するもので、
第1回が1975年、という歴史のあるものです。
今回は、たまたま、リプラン誌面でも取り上げていた
小室雅伸さんの「当別田園コート」が表題の賞に選出されました。
写真は、その建物の正面外観(リプラン誌面より)。
えらい、左右に横長い住宅なんですね、これが(笑)。
この建物は比較的に交通量の多い幹線道路から、セットバックはあるとはいえ、
遠景することが出来るもので、車を思わず止めて、
あるいはいったん通り過ぎてから、わざわざ、バックしてきて(笑)
見ていく人が多く、それをまた建て主さんが室内から見て面白がっている
というような住宅ということです。

なんでこんなに左右に長いのだろうか、というのが素朴な疑問なんですが、
プラン的には単純明快で、正面を向いているこちら側が
南側になっていて、敷地にゆとりがあるので、
できるだけ採光と日射取得を有利にするために、このようにしたのですね。
さらにこの家は2世帯での利用が考えられているので、
その意味でも、出来るだけプライバシーを離している、
というポイントもあると思われます。
でもまぁ、まるで汽車が走っているように見えますわな、こりゃぁ(笑)。
玄関を入ってまっすぐ見通せる先に緑豊かなピクチャーウィンドがあります。
「ダルビッシュが冬に来ても、練習できる」と
設計者が説明していましたが(笑)、まったく同感。

設計者の小室さんとは、長い付き合いになっています。
わが家は小室さんと同じ設計事務所のOBに設計してもらったので、
その設計手法や考え方が、通じている部分があり、共感できる設計者。
かれが造る住宅はまったくシンプルになるのが特徴。
しかし、そのシンプルさに、実に奥深くさまざまの考え方が込められているのですね。
それで、そういう部分に気付けば気付くほど、
実に大胆な設計手法だなぁと、感心させられる。
それと、住宅の性能への探求心は刮目するレベルで、
そういう意味からも、「ひとつの北海道の住宅の典型を見せた」という
今回の受賞理由には同感するものです。
まぁ、単純に実に「北海道らしい」建築設計ではないかと思うのです。

小室さんは、近日発売の
「北海道の建築家たち・住宅特集、北のくらしデザインします.8」
では、性能とデザイン、というコーナーで
若手建築家の五十嵐淳さんと対談したり、住宅が紹介されたりしていますので、
ぜひ読んでいただけると幸いです。
たくさんの興味深い話題が展開して、北海道の家づくりの
基本的な部分が明瞭に見えてくるような内容になっています。
って、宣伝なのですが(笑)、ぜひと、オススメいたします。
11月下旬発売、北海道内有名書店と、
今回は、東京の建築関係書籍に力を入れている有力書店でも発売いたします。
値段は1冊、2000円。ちょっとウチの本としては高めですが(汗)、
損のない内容と自負しております。


って、すっかり話題がそれましたが、
またこの家の写真、ご紹介したいと思います。ではでは。
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札幌らしい建物の色

2007年11月08日 05時47分46秒 | 住宅取材&ウラ話


写真は北海道開拓の村に移築されている
旧北海中学校の校舎です。案内には、

この校舎は、明治41年(1908)から翌年にわたって建築された本館部分である。創立は明治38年(1905)で、前身は札幌農学校第三期生らが中心となり明治18年(1885)に設立した私立北海英語学校である。外観の意匠は、明治半ばから大正期の官庁や学校の木造建築によく見られる様式である。

とあります。まぁ、札幌の街には擬洋風建築と呼ぶべき
デザインが多かったので、そういう系譜のなかの建物でしょう。
で、気がついたのは、建物の内外装の色。
この空色掛かったクリーム色、と表現すべき色、
札幌の多くの建物に使われていたなぁ、と思ったのですね。
ちょうど、先日見てきた北大植物園内の建物群でも
同様な彩色が施されていました。
これって、示し合わせてこのように決定してきたモノなのでしょうか?
あるいは、単純に偶然の一致なのでしょうか?
このように建物に色を施すというのは、
それまでの日本の建築には強くない発想。
開拓期以来の洋風尊重の姿勢の成せる技だったろうと思うのですが、
それにしても、色まで特定させていたものなのかどうか、
たいへん、不思議に思います。
このように塗装をするというのは、
外装材の風化予防という意味が強いものですが、
単純に色は、この色がたくさん出回っていて、価格的に安かった、
というような想像は無理があるでしょう。
だとすれば、ある了解事項に基づいて、選択されたと思われます。
その了解事項の決定動機って、さてなんだったのか?
この間から、機会があれば調べてみたいと思っていて、
そのまんま、なんですね(笑)。

スウェーデンなんかの住宅の色のなかに赤い独特の色がありますが、
あれなんかの場合は、彼の地で採れる鉱物資源の再利用だということ。
地域で産出する材料を無駄なく使った結果が、
あのような地域独特の色合いとして存続したのですね。
札幌や、日本の都市では、そこまでの決定的な色って、
なかったのではないかと思うのですが、
写真で見るこの色には、どうも惹かれるものがあって、
「札幌らしい」という色合いに近いのではないか、と思った次第なんです。
みなさん、どのような印象を持たれるでしょうか?
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無落雪屋根住宅のデザイン

2007年10月29日 05時59分50秒 | 住宅取材&ウラ話


写真は先日のアース21札幌例会での住宅視察のひとこま。
札幌の住宅って、日本の中でも特異な進化を遂げてきた存在ではないかと思います。
現在でこそ、首都圏などの住宅デザインでも
インターナショナルなモダンデザインへの指向が強くなっていますが、
そういうなかで、シンプルなボックスデザインというものに挑戦する例があります。
そういうのって、デザインが動機になって生み出されているものですが、
札幌での場合は、ちょっと違って、
積雪という条件がまずあって、その後に敷地条件が狭くなっていくなかで、
やむにやまれぬ選択として、屋根から雪を落とせない、ということになっていった。
いまでいえば、「陸屋根」という呼ぶよりも、
「無落雪屋根」と呼ぶ方がポピュラーかもしれないけれど、
この言葉自体も、たぶん温暖地では聞き慣れない言葉なのでしょう。
まぁ、雪を落とす敷地のゆとりがなくなり、
同時に「お互い様」というような隣近所関係も希薄になっていくなかで、
建築的に雪を屋根に載せたままに出来る作戦が考えられたのですね。
しかし、そうなると、日本の住宅デザインの系譜のなかには
こういうボックスタイプでのデザインの歴史などはないことに気付く。
そこから、苦しいなかでの住宅デザインの模索が始まってきた。
屋根でデザインできない、という現実のなかで
逆に言うと、屋根でどれだけデザインというものが押し隠されてきたのかも
必然的にあらわになってきたとも言える。

まぁ、そんなような雑感が沸き起こってきます。
現在は、シンプルモダンというような言い方がでてきて、
こういうボックスの潔さ、のようなものが浸透してきている。
しかし、札幌でのこういうタイプの住宅のデザインの工夫は常に進化している。
屋根がないなら、壁と開口部、その配置によるデザイン、という
明確な目標が定まってきているので、
表現のバリエーションは少ないけれど、やりようはある感じがしますね。
そういうなかで、この住宅。
外壁の素材をいろいろに変化させていて、モンドリアンの絵のようです。
四角く縁取りを固めて、開口部の配置と大きさで勝負しています。
よく見ると、外壁素材もいろいろなバリエーション。
窓は、樹脂なのだけれど、枠がほっそりと見せられていて、
現代風のシャープさが訴求されています。
最近は、むしろシルバーのアルミっぽい素材感が受けているのだそうです。

こういうデザインの住宅、どう思われますか?
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個人の私的権利と社会的子育ての狭間

2007年10月25日 06時59分46秒 | 住宅取材&ウラ話



ふたたびマスコミからの問い合わせが来ていました。
今回は日本テレビからの取材協力要請。「こどもの声や遊ぶ音が騒音となって困っているケースが無いか?
或いは増えているといった現状を探しております。」ということです。
直接のきっかけは、読売新聞の以下の記事ということ。

●子供の声「騒音」の時代、自治体への苦情増加
 「部活の練習がうるさい」「児童館で遊ぶ声が騒がしい」――。学校や公園などで、子供の声を巡って、周辺住民との摩擦が生じるケースが増えている。読売新聞が全国の県庁所在地、政令市、東京23区の計73自治体を対象に調査を行ったところ、各地の自治体が、子供の声や部活動で生じる様々な音に対する苦情の対応に追われている実態が浮かび上がった。 今回の調査では、48自治体で何らかの苦情が寄せられていた。
東京都北区の小学校で今年7月、ブラスバンドや合唱など、日ごろの練習成果を発表する音楽会が行われた。会場の体育館には冷房がないため、窓を開け放っていたところ、体育館裏に住む人から苦情の電話があり、窓を閉めて続行した。松山市の中学校には2、3年前、「野球部員の声やボールを打つ音がうるさい」と苦情が寄せられた。住民との話し合いの結果、声出しはやめることになった。野球部は今も黙々と練習しており、住民は「以前よりは静かになった」と納得しているという。放課後の子供の遊び場である児童館も、例外ではない。東京都練馬区ではこの1年間に、住宅地にある児童館2か所について、「子供の声が響いてうるさい」という苦情があった。窓やカーテンを閉め、子供たちに「館内では静かに遊びましょう」と指導し、子供が大声を出す度に、職員が注意しているという。今年6月、福井市内の公園の使用について、住民から市にメールが送られた。「サッカーボールで遊ぶ音に悩まされている。(自宅の)敷地に入ったボールを取りに、子供が勝手に入ってくるのも迷惑」との内容。担当者が公園に行ってみると、ボールが金属製のフェンスに当たる音が響いていた。市ではフェンスの手前にネットを張り、フェンスに向けてボールをけらないよう呼びかける看板を設置した。こうしたトラブルを未然に防ごうと、東京都の杉並区教育委員会では、小、中学校を改築する際に、周辺住民から要望を募っている。中にはこんなものもあった。「プール授業がうるさい。地下のプールにしてほしい」「体育の先生は小さい声で指導を」「校庭での球技はうるさいから禁止してほしい」。区教委では「抑えられる騒音は抑えるよう努力する」としながらも、困惑顔だ。 通学時の子供の声について住民らから指摘されることがある世田谷区教委の担当者は、「昔は学校ということで地域の人たちも寛容だったが、最近はそうもいかなくなった」と話している。
(2007年10月22日14時39分 読売新聞)

さて、いよいよ、私的権利とはなにか、というような問題にまで
踏み込んだ論議が必要になってきた気がします。ちょっと危機的。
マンション騒音問題の広がりと同時に、こういう問題が浮かび上がってきています。
ことがらは、子育ての本質的な問題まで問われてきているように思います。
子どもたちが野球をするときの掛け声を騒音とするのか?
こういうものにまで、近隣住民の私的権利を認めては
たぶん、社会として子育てもできにくい状況を生み出しはしないか。
非常に疑問に思います。
みなさん、いかがお考えでしょうか。

写真は記事とは無関係です。皇居のお堀。
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壁厚50cm超の実験住宅

2007年10月20日 08時42分00秒 | 住宅取材&ウラ話


きのうは、以前から訪問したかった仙台市北方の富谷にある
「北州」さんの本社建物に行って参りました。
北州さんは建材販売をスタートに、
2×4(現在は標準で2×6)住宅のハウジング部門も持つ企業。
東北を代表する建築会社ですが、ハウスメーカー的な志向性の強い会社。
住宅性能面へのこだわりを持つ会社ですが、
まぁ、言ってみれば北海道からスタートしたスウェーデンハウス的な志向性の強い
東北の住宅会社といえるでしょう。
昨年5月に環境共生型のオフィスを新築して、そういった賞ももらっています。
今回は通気層を持たない外張り断熱の展開を始めるにあたって、
その工法的な特徴などを発表されたのですが、
その会見当日はこちらの都合がつかなかったので、
お願いして、特別に対応していただいたものです。
この工法については、少しまとめた上で、雑誌の方で取材記事として
まとめたいと思っていますが、
敷地のなかには、写真のような「実験住宅」もありました。
東北大学工学部の吉野教授との共同研究と言うことで、
この住宅はなんと、壁厚が500mm超もあるんだそうです。
ほぼ無暖房住宅のレベルになるものだと思いますが、
ちょうど伺ったときには、社員研修中で詳細なお話は出来ませんでした。
この住宅を教材として、ユーザーへの説明の仕方などを
研修している最中でした。

北州さんというと、そのデザイン性も注目されます。
牧子さんという設計者がすべての住宅について監修しているので、
どういう住宅であっても、「あぁ、北州だなぁ」という雰囲気が感じられます。
聞いたら、設計のスタッフはいろいろなポイントを叩き込まれるんだそうで、
そのあたり、なみなみならない企業努力を傾けているように思います。
写真の住宅などでも、三角の面のある妻側の壁の黒っぽい塗装仕上げなど、
ユーザー心理をしっかり捉えるデザインのポイントが伺えました。
ヨーロッパ北方、とくにドイツに関心が高いのではないか、
というようなデザインの傾向がありますね。
ただし、北州さんは現在、宇都宮まで商圏を南下させていて、
そうなってくると、ヨーロッパで言えば、イタリアンの感覚に近い
関東圏マーケットのユーザー心理、デザインの好みの違いもありますね。
北関東までは、ぎりぎり北州さんらしいデザインでいけても、
南関東地域では、もうすこし軽快感のあるデザインに流れるのかも知れません。
しかし、そうなると、北州というイメージを壊す部分も出てくる。
そのあたりで、難しいポイントがでてくるのでしょうか?

さてさて、ヒルマン監督、大リーグチーム・ロイヤルズの
監督に就任とか、おめでとうございます!
今回の辞任劇、いろいろな考え方は出来るでしょうが、
ハッキリとした出処進退と、その理由の明確な開示ということで、
こころからおめでとうと言えるものだったと思います。
どうも、相手は2年連続で中日の可能性が高まりますが、
最後、日本一まで駆け上がって欲しいものだと思います。
がんばれ、ヒルマン。がんばれ、北海道日本ハムファイターズ!
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築後45年住宅の柱の縮み

2007年10月09日 07時48分16秒 | 住宅取材&ウラ話




きのう、家の近くで築後45年という住宅の再生工事の見学会を見てきました。
まだ、写真撮影の了解をいただいていなかったので、
写真は撮影してこなかったのですが、
いろいろと面白かった住宅でした。
というか、やはり大規模なリフォーム工事って興味深い。
写真は、以前撮影したリフォーム工事の写真ですので、参考まで。
まず面白かったのが、使用している建材、柱の寸法。
この家では、予算の関係からか、
わざと2階の1部屋だけ45年前のままにしてありました(笑)。
まぁ、予算的にはそれほどのことはないだろうと思うので、
新築ではなく、再生型リフォームにこだわったという
建て主さんの希望だったのではと推測します。
で、その部屋に残されていた柱の寸法が何となく気になったので、
建築会社の方にお願いして、寸法を測ってみた次第。
そうすると、幅が9.5cmほどでした。
柱は、現在、というか基本的に、規格として10.5cmが基本寸法。
このことは45年前とは言っても変わらないはずなので、
この期間に、柱がやせ細った、ということができるのです。
10.5cmというのは、木材が乾燥して縮小するのを見越して定められているもの。
規格としては10cmを維持することを想定しているのです。
そういうことから、さらに0.5cm構造材が縮んでしまったのです。
約10%も縮んでしまうのが現実なんですね。
それでいて、そう大きな狂いは生じていなかったと言うこと。

まぁ、知識としては自覚しているのですが、
現実にここまで縮んでいるのを見て、乾燥のすごさと、
生きている材料なんだという驚き、それでいて、
大きな問題にはならなかったという、いろいろな意味でびっくりしたところです。

工事関係者の方にお話を聞いて、
他にもいろいろ面白いお話が聞けました。
これから、札幌でもこういう住宅だけれど、再生して使いたい、
というような需要が本格的に出てくるような気がします。
昔とは違って、住宅性能技術が向上し、一般化してきたので、
新築住宅と遜色ないレベルまで居住性能は高めることが出来る。
親が残した資産を、建築再生の工事費だけで活用できるワケなので、
新たに郊外に宅地を求めて新築するよりも、割安だし、
自分が生まれて住んでいた住宅への愛着も延命できる。
昨日触れたような人口減少局面でも、価値が高い選択と思えますね。
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優美な曲面のR壁

2007年09月22日 08時38分16秒 | 住宅取材&ウラ話




先日のブログで書いた曲面の壁、内部の様子写真です。
細かく切り込みを入れたツーバイ材を切り込み方向に曲げて、
造作したR壁を持つ部屋です。
建物の増築時点では、事務所兼用だったので、
この場所はわたしの執務室として使っていました。
現在は事務所を別に建てたので、書斎のように使っています。
って、わたしのデスクはこの面の反対側に造作。
なだらかで優美な曲面壁は、見て楽しんだ方がいい、という心理。
実際、ちょっと後退距離があると、
家にいるときの心理的句読点になってくれています。
こういう、自分なりに気に入った場所、って、うれしいです。
収納の造作棚も壁面に合わせているので、全体のバランスが調和が取れている。

なので、現在はごらんのように神棚や
父母との祈りの空間にしている次第です。
わが家は仏壇のない家ですので、いまのところはこういう簡易な
コーナーにしているのですが、そこそこ気に入っている「仏間」。
パイプ椅子に座布団、というキッチュな構成で、ちょっとお恥ずかしいのですが(笑)。
どうなんでしょうね、わが家の場合はわたしが死ぬことで
仏壇を持つかどうか、ということになるわけですが、
わたし自身は、そのような伝統的スタイルをとるか、
ちょっと、考えがまとまってはおりません。
最近は散骨というようなものも認められてきているということなので、
そんなこともいいのかな、とも考えたりしてはいます。
本家ではないので、父母の死にあたって、位牌のようなものは作らず、
掛け軸状のものをお寺さんにお願いして、弔っている次第。

なんか、仏さんのことにテーマが振れてしまいました(笑)、
本日のテーマはR壁の部屋ということです。
ただ、こういう他の部屋とちょっと違う空間っていうのも、
日本の伝統的な「床の間」というものとも繋がってくる気がします。
いかがでしょうか。
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水中ミクロコスモスの趣味

2007年09月02日 06時44分52秒 | 住宅取材&ウラ話




たいへん趣味世界の豊かな、というか
自分自身の暮らし方へのきわめて明確な建て主さんを訪問しました。
住宅の良さというのは、結局は住む人の力だと思います。
家を建てるのには、サポートする人が必要ですが、結局決め手は建て主さん。
現代以前には、一部の金持ち層が数寄屋なり趣味っぽい家を建てることが出来た。
ほんとうの意味での「注文住宅」というのはそういう世界に限定されていた。
大多数の一般庶民は、住み暮らすための入れものとして
規格的な住宅を、寸法精度が要求される部分くらいだけプロに依頼し、
それ以外の人手がかかる部分は自分たち素人だけで施工した。
街で暮らす場合には、大部分が土地持ちが経営する賃貸規格住宅「長屋」に住んでいた。
つい、半世紀ちょっと前くらいまでは、そういう現実だった。
ですから、本格的注文住宅という文化が根付いてきたのは
歴史的にも、きわめて新しいことなのではないかと思われます。

どうも、横道にそれてしまった。
ようするに、建て主さんの明確な暮らし方への想像力の問題。
この宮城県大崎市古川の住宅では、まさに、豊かな想像力がありました。
写真は総工費20万円ほどで実現している水槽世界。
この水槽のなかに、さまざまな生物や自然形成条件を考えながら
サスティナビリティを考え、発展させていくというような楽しみをされていました。
なかには熱帯魚ばかりではなく、エビなども飼育されているのです。
食物連鎖の相性なども研究しながら、
共存可能な生物たちを組み合わせ、生育密度なども考えてコントロールするんですね。
まさに、このミクロコスモス世界では、神のごとく思考できる。
愛情を持って、生き物たちの行く末を案じながら、手も考えていける。
で、この水槽、なんと、トイレの一方の壁面、
ちょうど、座った目線の壁に置いてあるんです。
なんとも大きさといい、ぴったりでして、神のごとき瞑想的空間にふさわしい。
こういうプランニング、建て主さんのアイディアなんだそうです。

こういう暮らし方への明確な考え方を伺うっていうのは、
冒頭に横道に行ってしまったような部分で、たくさんありそうだけれど、
実はあんまりないっていうのが、現実だと思う次第なのです。

ものすごく自由な建て方を出来る時代になっているけれど、
必ずしも、そういう暮らし方への想像力って、
そう、大きくなってきているのかどうかは、楽観できないのです。
なので、やはりこういう自由な発想を持つ事例の紹介というのが、
きわめて重要な要素になっていくのかなぁ、と思えるのです。
さて、どうなんでしょうかねぇ?
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窓の開け方を考える

2007年08月30日 05時39分18秒 | 住宅取材&ウラ話





首都圏在住の方と話していて、
ふと気付いたのが、表題のこと。
わたしは北海道をベースにして住宅を考えているのですが、
無意識のうちに、この土地では一体、どのように窓を開けたら
気持ちのいい暮らし方が出来るのだろうか、
と、考え始めるように思います。
家を建てるには、その土地の環境条件が決定的だ、という由縁だとも言えるでしょうか。

ところが、首都圏地域を始め、多くの都市部の戸建て居住者にとっては
まずは、社会的なハードルを達成することが最優先。
過密社会である首都圏などで、地べた付きの戸建て住宅をゲットする
ということの社会的困難さのほうが、大きい。
そのためには激烈な成功競争を勝ち抜くことが最優先事項。
まぁ、確かに当たり前ではあるのですが、
そのような前提条件での困難を乗り越えることのみに
意識が集中して、いざ、家を建てる段階では、
最初に考えるような「窓の開け方」などということに考えも及ばなくなっている。
まずは社会的過密の方が前提であって、
窓を開けると言っても、とりあえずは「開けられるところに開ける」
というようにしか考えられないのが実際のところなんだ、ということですね。

そういう意味で、改めて北海道で家を建てる、
ということの楽しみ方、というものも見えてくるのでしょうね。
こんなに条件の良い悩みを考えられる幸せを
もう一度、深く思い至ることが必要だとも思いますね。
写真は札幌の街を見下ろす大倉山にある市営のレストランからの眺望。
周囲は自然豊かな森であって、同時にこのような眺望を得られる。
まことに贅沢きわまりない家の建て方を楽しめているのですね。
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カンディハウス

2007年08月27日 05時04分18秒 | 住宅取材&ウラ話




北海道内の企業でありながら、
視野は広く世界に持って、優良企業として活躍している企業も数多くありますね。
そんななかでも、インテリア関係企業として元気なのが、
旭川のカンディハウスさんです。
創業者の長原さんは家具職人としてヨーロッパで修行し、
そのとき、北海道の優良な原木が高級家具の材料として
ヨーロッパに輸出され、職人の手業が加えられて高級家具に生まれ変わって、
ふたたび日本にも出荷されていくプロセスを目のあたりにして、
北海道で高級家具生産を一念発起して起業したフロンティア。
企業家としてのそういう姿勢は深く尊敬していたところです。
そう思っていたら、数年前にわたしの高校時代の同窓生である友人、渡辺直行氏が
なんと、2代目社長に就任しています。
ふしぎな巡り合わせにびっくりしているのですが、
ときどき、顔を合わせる機会にはいろいろな情報交換をさせてもらっています。
とはいっても、先方は幅広く世界を相手に高級家具で戦っている企業。
ほぼ、一方的に情報をいただいている、というところ。

今回もいろいろ話を聞いてきましたが、
とくに面白かったのが、欧米での「日本ブーム」の様子。
日本文化全般への関心が高まっているそうですね。
「いちばん理解していないのは、日本じゃないかなぁ・・・」ということ。
アメリカのIT成功者たちのなかでも1,2を争う大富豪の、
オラクル社の創業者が、なんと、桂離宮をアメリカでそっくりに建てたんだそうです。
施主本人が身長が高い人なので、
実際の桂離宮より寸法が大きくなっているのだそうですが
日本から宮大工を招いて、現物と同じような設計プランで作ったのだそうです。

なんで桂離宮のような建築まで、と疑問を感じますが、
サスティナブルということを考え始めてきた欧米人にとっては、
木と石と、紙や土などといった素朴そのものの素材で、
千年を超える審美眼に耐え抜いてきた日本文化は、まさに生きた未来透視図なんですね。
相当のレベルまで、本物の日本文化性がかれらに活かされようとしている。
その意味で、やはり省エネルギーとか、サスティナビリティということが
まさに現代の最先端的な興味分野になってきているのだなぁと
実感させられますね。

写真は、同社製品に囲まれた、あたたかく心地よさの感じられる社長室です。
たいへん、人をフレンドリーにさせる雰囲気でした。
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