いちじくのタルト



















9月のデザートセミナーでは、今の時期とても美味しいいちじくのタルトをつくりました。この半年くらい、深刻なバター不足と夏の暑さのために、大好きなタルトから遠ざかっていましたが、そろそろ我慢も限界? バターも少しずつ手に入りやすくなってきたようなのと、ようやく涼しくなってきたので久しぶりのタルト作りです。

先日訪れた初秋のNYでも、いちじくを使ったデザートは人気があるようで多くのレストランで見かけました。いちじくは不老長寿の果実といわれ、食物繊維も多く整腸作用があり、カルシウム、ビタミン、鉄などを多く含み血液をきれいにし、美容にもよいという、美味しいだけでなく、すばらしい薬効のある果物。夏の疲れが出るこの季節にはぴったりです。コンポートにして使う方法もありますが、せっかくですから今回はフレッシュなままでたくさん盛る仕上げに。

今回のタルトはいままでのデザートセミナーの総集編といってよいくらい、お菓子作りの基本がたくさん詰まったお菓子。これまでに様々なお菓子を通して作ったことのある、基本的なパートを、丁寧に組み合わせてあります。ちょっと手間がかかるかもしれませんが、各段階をひとつひとつきちんとクリアしていけば、おうちでも絶対美味しいタルトが作れますので、ぜひ復習してみてくださいね。フルーツを変えれば様々なタルトに変身させることができます。繊細ないちじくの味を損ねないよう、お茶もやさしい緑茶に。7月にもご紹介したThe des Voyageurs(旅人のお茶)は柑橘フレーバーが爽やかで大好評でした。

テーブルコーディネイトは、この秋注目のグラマラスな秋の果実のカラー、ラズベリーのような深い赤からプラムの紫まで、深くリッチな色合いに。皆さん、ご覧になった瞬間に「秋ですね~!」と早速に秋の訪れを楽しんでくださったよう。いちじくと同じような紫がかったDARKな赤が美しい黒蝶というダリアを中心に、ロワイヤルというバラ、ホトトギス、アネモネ、ワックスフラワー、そしてお菓子にも使った木苺の葉を合わせ、みずみずしさをプラス。木苺の葉はベビーリーフともいい、まさに赤ちゃんの小さな手のようでとてもかわいらしい。とくに人気があったのが可憐な白い秋明菊。ダークな色合いの中にほんの1~2輪挿すことにより逆に存在感が増します。

タルトの楽しさは味もさることながら、最後のデコレーション。土台は同じタルトでも、フルーツの選び方やクリームの絞り方、組み合わせによって、さまざまな表情に変身。同じ材料でも、また同じゴールを目指して盛りつけても、出来上がりにそれぞれに個性が出てきます。思い通りに上手く出来ても、ちょっと失敗してしまっても、どれも自分の子供のように愛おしいもの。楽しく盛りつけた後、おうちで楽しみに待っているご家族の顔を思い浮かべながら大切そうに箱に詰め、リボンをかけている皆さんの表情を拝見するのがとても嬉しいです。


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