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避雷針の効果試験

2014年08月18日 09時00分00秒 | 雷日記
こんにちは、落雷抑制システムズの松本です。

PDCE避雷針を検討する中で実験をしたいと言う事はたまにありますが、そのための貸し出しは全てお断りしています。どうしても実験したい場合には購入していただくことにしています。 なぜか? 弊社としては、フランス工業規格(NF C17)による放電実験、パッシブ製品がアクティブ製品に影響を与えない証明、CEマークのためのEMC試験まで既に行っているからです。

実験と言うのは、そのセットアップ(試験装置、試験方法)が重要であり、それを恣意的に行えば望む結果を出せるものなのです。実験=科学的=客観的というものではありません。ですから、メーカやお客様が個々に勝手に行うのでは無くて、キチンとしたルールに則り行わねばなりません。弊社の場合、そのルールと言うのは自分で決めたものではなく、一国の工業規格に基づいた試験をしている訳です。日本で試験すると言ってもどのような試験をするのか? JIS規格には避雷針の効果測定をするような規格は無いのです。製品にとって、試験とは裁判のようなものですから、これを裁く法律が国家で決めたものなのか、市民が勝手に決めたものなのかは大事なことです。公正な裁判なのか魔女裁判なのかの様なものです。

これはPDCE避雷針だけではなく通常の避雷針についてもいえることですが、二つの避雷針の比較はできますが、避雷針単体での効果を実験で検証することは原理的に不可能なのです。なぜなら、付けた場合と付けない場合の2ケースを同じ条件で比較せねばなりませんが、避雷針を付けた建物と付けない建物を同一の地点に立てることはできませんから、位置的に異なる場所(それで自然の状況も全く同じではなくなる)での比較になってしまいますし、同一建物に付けた場合と付けない場合で比較すれば、条件が異なってしまいます。電界、風雨、エアロゾル(空中を漂う塵埃)の状況など、自然界に2度と同じ状況はあり得ません。再生ボタンを押せば同じ条件で何回でも再生できるという単純なものではありません。

では、フランスの工業規格では何を試験しているのか? 地面と雷雲に見立てた平面電極の間に電圧をかけ始め、放電に至るまでの時間を測定し、どの避雷針が最も早く放電を始めるかで、放電を早く始めた避雷針の方が性能が良いと判定されます。時間を測定する試験ですから、放電開始に至るまである程度の時間をかけながらの試験です。ところが、日本にある試験装置はほとんど保安器の試験のためですから、大きな容量のキャパシタに電荷を蓄え、それを一気に印加するものが多いのです。そのような試験装置では保安器の試験はできますが、自然界を模した試験を必要とする避雷針の試験には不向きです。

殆んどの場合、実験をしたいという方は上記に述べた事実をご存じないまま実験をしたいと望まれます。PDCE避雷針のみならず、260年も使用されている通常型の避雷針についても、実証試験は原理的に不可能であり、長い時間をかけての統計的な解析しか手はないのです。通常避雷針の場合、260年の歴史でその取付が法律的に定められてきたので、誰もその効果について疑わず使用してきましたが、PDCEのような新しいものについては実験をしたいと言われるのです。そこで、以上の事を説明してほとんど納得していただけますが、そういう説明を聞くこともなく試験することを予算化してしまった場合もあり、そういう場合には購入して試験していただきます。まあ、あまり意味のない試験なのですが、購入手続きの中で「試験」と言うのが必須項目のようになってしまっているのでしょう。手続の形骸化による予算の無駄使いのようなものです。

2つの比較であれば、厳密に言えば同じ条件ではありませんが、1mの隔離距離を置いて通常避雷針とPDCE避雷針を実際に落雷の多い鉄塔の上に設置したフィールドでの比較試験は進行中です。フランス工業規格に基づいた放電試験も行っています。避雷針の性能試験について何の工業規格もない日本で、これ以上何を試験するというのでしょう? NATO軍で標準装備になったものを日本で試験すると言うのですから、おこがましいとしか言いようがありません。 まあ、自由は全ての根底ですから、試験の自由まで束縛する気は毛頭ありません。どうぞ試験してみてくださいと思いますが、その試験方法によっては、ガベージ・イン、ガベージ・アウトの世界なので、実験をするということの意味をキチンと勉強し、理解していただくことを願っています。

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