goo blog サービス終了のお知らせ 

ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

帰港と下艇〜MINEX・掃海隊機雷戦訓練@伊勢湾

2016-02-17 | 自衛隊

というわけで、今回の訓練参加におけるわたし自身の「お約束」というべき
アクシデントも無事に終わり、(っていうのも変ですが)「えのしま」は
取材を終えた人々を乗せて松阪港に入っていきます。




入港作業を待ち受ける岸壁の自衛官たち。
先に入港していた「ししじま」の隊員たちであると思われます。



まず最初のサンドレッドが投げられたのを確保。



早速そおなじみの「もやい持ってダッシュ」が始まりました。



もやいを持ってそのまま力一杯引っ張るように走り、
ある程度のところでもう一度岸壁まで戻って引っ張る。

もやいの扱いの「基本」ですが、わたしがこのやり方に気付いたのは
去年の観艦式における「むらさめ」の出港のときでした。



連続写真を撮ったのであげておきます。
右端がもやいを持つ「先頭」になります。



今赤帽1がもやいの「根本」にたどり着き、



もやいを拾い上げました。
右端の赤帽2がもやいをはなして「根本」に駆け寄ります。



赤帽1が今一人でもやいを引っ張っているところ。



赤帽2と白帽が全力疾走でもやいを取りに行きます。



あれ?白帽はもやい取らなくていいのかな?


 
赤帽2がこんどは引っ張ります。



白帽は・・・・?



太いもやいに変わったのでそれを確保しに行くようです。



輪になった部分をもやい杭に掛ける役目みたいですね。



われわれの「えのしま」はあさ「いずしま」が出港したところに停泊します。
向こうにいるのは「ししじま」さん。



おお、サンドレットが先日から話題になっていますが、ついに
それを投げる瞬間がカメラに捉えられました!(大げさ)

やはり勢いをつけるために片足を大きく踏み出していますね。
左にはサンドレットの紐を収納するカゴをもって行います。



今投げたサンドレットを取って、岸壁ではまた「もやいダッシュ」が行われており、
こちらではそれにつなげる太いもやいの用意をしています。

防眩物を設置するのはその後のようですね。



「ししじま」では入港後、ゴミ出しをしているようです。
(ってこともいつのまにかわかるようになってしまったわたしである)



ちゃんとゴミが仕分け分別できているかもチェックして出します。



この間にも「えのしま」の船体はじわりじわりと岸壁に近づいていきます。



前は御前崎開運所属の貨物船「天鶴」。
「てんつる」ではなく「てんかく」だそうです。

後ろはフジシッピング社の「富士福丸」でした。

この松阪港にはかつて東京に行くフェリーが就航していたこともありますが、
採算が取れなくなったためわずか10年で廃止になっています。

出港前、わたしたちは

「もしかしたらここに船が到着することになるかもしれないので、
そうなったら2時半ではなく4時過ぎまで帰ってこられない」

という情報を得ていました。
わたしとミカさんはどちらかというとその方が嬉しかったのですが、
帰ってすぐに夕方のニュースに間に合わせたい報道陣は気が気ではなかったでしょう。
彼らにとってラッキーなことに、帰港の際のバッティングはなく、
無事に時間通り松阪港に帰ってくることができました。

しかし、そうなったときに自衛隊側がどうして否応もなく
入港を待たされないといけないのか、わたしは一人で怒りに(略)



さて、あっという間に入港作業がすみ、接岸が行われました。
本日のメディアツァー参加者の下艇もあっという間に終わりです。



第41掃海隊司令、そして「えのしま」艇長、お世話になりました。



埠頭を歩きながらふと「えのしま」の船体に浮かび上がる
塗装したの素材の模様に思わずシャッターを切りました。
まるでたくさん紙が貼られているような細かい線が見えます。

FRPとは繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics)のことで、
プラスチックの中に別素材を入れて強度を上げています。
プラスチックだけでは弾性が得られないので、ガラス繊維を挟み込むことで
軽くて強い素材が生まれるのです。

複合素材で強化される、この場合プラスチックを「マトリックス」と呼びます。

たとえば木造の掃海艇の寿命は20年でしたが、それが30年になるなど、
耐用年数が大幅に増え、いいことだらけのFRP素材ですが、問題もあって
素材の分離が困難であるため、リサイクルや廃棄処分が難しいのだそうです。

掃海艇が退役になる時、どうやって処理していると思われますか?
なんと、燃やすんですよ。

FRPは燃やすわけにいかず、廃棄コストはむしろ高額につくとおもうのですが、
「えのしま」以降の掃海艇は30年後どうやって廃船にするんでしょうか。

多分防衛省のことだから何か考えてはいるとは思うのですが・・。



船首部分の船体にはより一層縦のラインが目立ちます。
前回の乗艇では全く気づかなかった部分でした。



ミカさんもわたしも、「えのしま」の出港を見送りたかったのですが、
松阪駅まで送ってくれる地本のシャトルバスに乗らればならなかったので、
名残惜しくもここで掃海艇に別れを告げました。

近鉄で名古屋まで1時間半、新幹線でも同じくらいかかって帰ってきましたが、
ミカさんと掃海隊の話に花を咲かせているうちにあっという間についてしまいました。
こんなに時間が経つのが早かったのは近来なかったことです。



「ぶんご」で食事をいただいた時の箸入れとコースターを持って帰りました。
コースターは今現在、大変お役立ちです。



自衛隊の見学に客として招待されるとき、食事と必ず青い袋にお土産、
というのが「ワンセット」となっているそうです。(ミカさん談)
その青い紙袋に入っていたのは、まず、前回と同じ掃海隊マークのついたタオルと・・、



前回お菓子をいただいたので、今回も箱の大きさからそうだと思っていたのですが、
開けてみたらなんとこんな写真入りのフォトスタンドでした。
訓練見学の思い出となるでしょう。


というわけで、二回に亘る掃海隊機雷戦訓練を見せていただくことによって、
日頃あまり公開されることのない掃海隊の活動を垣間知ることができました。

写真でも見たように、艦艇に大きなダメージを与え、ときには沈没すらさせる
破壊力を持った機雷を無力化、あるいは掃討する方法は、
我々が思う以上に人間の力、特にEODら生身の人間の手に頼るものでした。

失敗すれば一瞬にして自分も粉々にしてしまう凶悪な機雷を相手に、
その瞬間は死と隣り合わせに任務を遂行する寡黙な戦士、掃海隊。

そんな超プロフェッショナルたちが今日も立ち向かう「現場」は、
未だにその危険が時代とともに泥深く埋まっている我が国の領海なのです。 

自衛隊で唯一、実際の戦線で戦っている部隊、掃海隊に
国民の一人としての感謝をあらたにした、伊勢湾での機雷戦訓練でした。



最後に、ご招待くださった関係者の方々にお礼を申し上げます。
ありがとうございました。



終わり。 



最新の画像もっと見る

6 Comments(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
やります! (雷蔵)
2016-02-18 20:45:21
もやいを滑車を通して綱引きします。敵味方が横にいて、同じ方向に向かって引くので、変な感じです(笑)
返信する
皆様 (エリス中尉)
2016-02-18 18:10:00
雷蔵さん
艦艇出身の方には全く馴染みのないこともたくさんあるようですね。
自衛艦と一口に言っても、フネが違えば扱いも慣習も違ってきます。
そんなに艦艇のことを知っているわけではありませんが、それでも
一連の掃海隊訓練見学によってその特性を垣間見ることができました。
危険に対する注意は十分払われていたと思いますよ。
掃海艇甲板は狭いので、皆同じような距離から作業を見ており、
わたしは信号旗置き場を「盾」にするような感じで見ていたのですが、
その「盾」に当たったというところです。

お節介船屋さん
ガット船(砂利運搬船)という名前を聞いたのは初めてだったので、調べてみたら
gatという単語は「狭い運河」からきているようです。
そういうところで作業をしているフネだからなんでしょうかね。

>もうちょっと何とかならなかったのかな。
あ、そうなんですか?
少しでも軽量にするためにギリギリの材料でやっているからだろうと思ってました。

>フジシッピング社
調べてみたらフジシッピングラインズという会社がありました。
倒産後に会社更生法で立ち上がったとか?

昭南島太郎さん
短く持って回しているようにも見えました。
写真を見ても結構岸壁まで遠いです。
難なくやっているように見えますが、初めて投げる隊員は緊張するんだろうなあ。

もやいを使った綱引き大会、いいですね(笑)
船の命であるもやいで遊ぶな!ということになるかもしれませんが。

佳太郎さん
写真立ての写真はシャッターチャンスの賜物ですね。
掃海艇が隊列を組んでいるとこんなにかっこいいのかと改めて思います。

最初に観艦式で掃海艇が白波立ててやってくる様子を見たとき、
小さいけどなんて”いなせ”なんだろう、と体がビリビリふるえる感じがしました。

返信する
お疲れ様です! (佳太郎)
2016-02-18 10:39:23
沖縄の航空機の優先順位は、米軍、自衛隊、民間機と言いますが船ではちがうんですね。
自衛隊の船が待たされるのはやはり国の機関かつ、逆に民間を待たせたら非難轟々だから、なんですかね?でも航空機は違う…

しかし、掃海艇が隊列?を組んで進んでいるのはカッコイイですね。戦前の駆逐隊のようです。こんな写真見たことあります。
掃海艇の記事、お疲れ様でした!
返信する
お疲れ様でした (昭南島太郎)
2016-02-18 09:24:06
ペルシャ湾などにも派遣されましたが、戦争中に日本近海に敷かれた機雷の処理を未だに遂行している掃海隊にとっては未だ戦時中といった感じでしょうか。

高校球児の頃、コントロールつけてボールの遠投には自身ありましたが、サンドレットの投擲(と言うのでしょうか?)、あれは難しそうですね。力任せに投げればいい、と言うようなものでもなさそうですし、やはり訓練必要なのでしょうね。カウボーイみたいにビュンビュン回しながら投げるのかと思ってましたが、そんなスペースないですね(笑)。

もやいを引っ張る写真を見ながら、海自の艦対抗綱引き大会などあったら盛り上がるだろうな、と勝手に想像してました。

一連の掃海隊機雷戦訓練@伊勢湾、有難うございました。また、お疲れさんでした。今後も楽しみにしております。
返信する
ガット船 (お節介船屋)
2016-02-17 20:04:29
天鶴丸(750トン)も富士福丸(499トン)もガット船。
グラブ付クレーンで砂、砂利、石等を搭載、運搬、陸揚げする船です。
広島大崎上島の御前崎海運は国内最大のガット船(約15隻)を持っていますが、フジシッピング社は5年前破産したとの報道がありましたが?

>「えのしま」の船体に浮かび上がる塗装した素材の模様
サンドイッチ工法が私には分かりませんがチョット頂けない仕上がりになっています。
エリス中尉の説明のとおりガラス繊維でブロックとブロックを繋いで補強してあるようですね。
もうちょっと何とかならなかったのかな。
JMU鶴見さん。
返信する
随分違いますね (雷蔵)
2016-02-17 18:58:25
掃海艇には乗ったことがないので、ブログの記事で初めて知ることが多いのですが、もやいの取り方も護衛艦とは違いますね。

一番上の写真では、護衛艦でいう一番(艦首のフェアリーダーから取るもやい)は取らないのですね。

護衛艦だと、一番を最後に離して出港用意のラッパとなるのですが、掃海艇は取らないようなので、恐らく、一番前のもやいが一番なんでしょうね。

掃海母艦のもやいの取り方も別のところで見ましたが、一番の取り方が護衛艦とは違います。

前回の細島の記事で、移乗用のラッタルを掛ける際、エリス中尉はラッタルの延長線上から作業を見ていらっしゃったと思いますが、護衛艦なら危険界とでも言うか、便乗者を入れるのには躊躇する位置です。

仮に、荒天でラッタルが跳ね回ったら、延長線上にいると当たる可能性があるので、そういう危険因子は神経質なくらい、予め排除するのが自衛隊の流儀だと思っていましたが、小さな船で「死なばもろとも」?の掃海艇はそんなことは気にしないのかもしれません。

同じ自衛隊でもいろいろと流儀が違うんだなと思いました。
返信する

post a comment

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。