ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

海軍士官に変身体験

2012-06-22 | 海軍

今移動中なので、小ネタです。
呉に行ったとき、いつも(といっても過去二回だけ)泊るホテルのロビーに、いきなりこんなものが!



なんだなんだ?二種軍装参謀飾緒付きと第三種軍装。
近づいて見てみると、どうやらこの軍服は本物らしい。

提供中田商店。軍服マニア御用達の横須賀にあるミリタリーグッズのお店ですね。
チェックインもそっちのけで喰らいつくエリス中尉(笑)

呉にとって海軍は「観光資源」でもあるんですね。
このホテルには、中田商店から借りてきた海軍士官の軍服を着る「変身プラン」があるのです。
よく、横浜異人館とか、明治村とか、先日はどんな意味があるのか熱海の温泉ホテルで、
レトロなロングドレスを着て変身写真を撮りませんか?って企画を目撃しましたが、
あれの男性版ですよ。

「変身願望」はどんな人にも多少はあるもののようで、
そういう願望をお手軽に叶えられる変身スタジオは根強い人気があります。
昔宣材のための写真を撮るのに、この変身系のスタジオで一度撮ってもらったことがありますが、
皮膚呼吸が困難と思われるくらいファンデーションを塗りたくられ、映りが自然に見えるメイク、
というふれこみの不自然なメイクをばっちり施され、できた写真は「まるで人形」。
今ならフォトショップがありますから、ここまで準備段階で作り込む必要はないんでしょうけど。

それにフォトショップは「加工」ですが、変身は「取りあえず自分には違いない」わけで、
このあたりの高揚感が決定的に違うところです。



まん中の偉そうなおじさん、右の若い人も、よく似合っていますね。
もしかしたらモデルは支配人とフロント係、婚礼担当のお嬢さんたちでしょうか。
一式を借りるだけなら1500円。
ただし、これを着てホテルの外に出ることはご遠慮ください、ということなので、変身しても
そんなに広くもないホテルを練り歩くしかすることはありません。
そこで、当然のように別料金で写真室の記念撮影、というのが提案されているわけですが、
ただ一式を借りて、携帯で写真を撮って盛りあがって終わり、という楽しみ方も自由です。

わたしは当然のように写真室に撮影を申し込みました。




パンフレットをご覧になってお分かりかと思いますが、夏場であるせいか、
借りられるのは二種軍装と三種軍装だけです。
このプランは、昨年暮れに「聯合艦隊山本五十六」が公開されたときに始まったのだそうです。
そのときは第一種軍装も着ることができたのかな。

飛行機までの時間を利用してこの変身ごっこをすることになり、フロントで申し込みました。
実は自分が着たいわけではなく、息子に着せたかったのですが、当の息子は

「ぜ っ た い に い や だ」

とにべもなく母親の頼みを拒絶したので、仕方なく自分とTO二人での参加を決めました。
TOはねえ・・・。
なんか似合う気がしないの。軍人から雰囲気がほど遠いんですよ我が夫ながら。
まあ、技術中佐、ってところならそう見えないことはない、ぎりぎりのレベル。
わたしは勿論のことそんなもの着たところで仮装大会にしかならないし、息子の不参加で
かなりやる気が失せましたが、・・・・といいつつ、二種三種、どちらも借りてしまった(^^ゞ

「こちらが白い方、こちらが緑です」
渡された一式は異常な重さ。
そうでしょうとも、どちらも短剣からベルトから靴まで入ってるんだもの。

取りあえず三種軍装から着替えてみました。
これ、確か映画の「大空のサムライ」で、笹井中尉役の志垣太郎さんが着てたっけ。
ラバウルで。

・・・なわきゃーない、と思わずいまさら突っ込みを入れてしまったエリス中尉でした。
暑いよこれ。
ラバウルでは笹井中尉は(おそらく)その暑さのせいで飛行服姿を残していないというくらいなの。
長袖ワイシャツにネクタイ、ウールの上着。
こんな恰好で熱帯のラバウルをうろうろした日には、戦わずとも熱中症で玉砕だ。

というくらい、暑かったです。

取りあえず最終装備を付ける前に自分で写真を撮ってみました。
見てお分かりのように、サイズが大きいんです。
身長160センチの男性もいないはずはないのですが、やはり肩とかウェストとかは、
女性が着ると余りまくりでした。
しかし、この三種軍装がなかなか好評(つっても家族と写真スタッフだけに、ですが)でした。

スタッフの
「宝塚みたいですね~」
この一言を聞いた途端、

宝塚歌劇新作ミュージカル「聯合艦隊司令長官山本五十六」
グランド・レビュー「トラ!トラ!トラ!」

飛龍の甲板で所狭しと踊りまくる水兵姿のタカラジェンヌ。
迫力ある戦闘シーン。
いよいよ最後のとき、羅針儀に身体を縛り付ける山口多聞司令、加来止夫艦長。
(いずれもトップスター競演による)
飛龍に味方の魚雷が撃ち込まれる最後の瞬間、二人のデュエットが響き渡る。

「愛、それは~気高く~」「愛、それは~哀しく~」

瞬時にこれだけの情景が脳裏をよぎったエリス中尉でありました。


・・・さて。

写真スタジオで撮ったものはまだ送られてきていないのですが、わたしのもっていたカメラで
スタジオの人が写真を撮ってくれました。



お調子者夫婦。
夫婦漫才コンビ「山本五十五、五十六」(いそこ、いそろく)デビュー!
ってか?

TOは、お腹の貫録だけは将官レベルです。
やっぱり似合っていないとわたしは思ったのですが、パソコンのモニターで確認したところによると
スタジオでカメラマンが撮った写真だとそれなりにそれらしく見えていたから不思議です。
やっぱり男性って基本的に軍服が似合うものなのでしょうか。
わたしは・・・どう見てもサイズが・・・。
参謀飾緒が肩から外れかかってるし。

それにしても、これ、キャンバスのような素材で、なにしろ無茶苦茶暑かったです。
先日観た「太平洋の嵐」で、二種軍装を着こんだまま軍艦の中で宴会をする士官たち、
というシーンがありましたが、あれは絶対無いね。
クーラーもないのに、こんなもん着こんだまま狭い船室で酒飲むなんざー考えられん。

でも、短剣吊りベルトの仕組みも分かったし、二種軍装の下にはYシャツを着なくてよい
(襟に学生服のようなカラーがつけてある)ことも分かりました。
写真だけ見て今まで絵を描いていたわけですが、むしろそちらの勉強になって良かったです。



というわけでエリス中尉(襟の階級は大佐w)三種軍装立ち姿。
皮の薬莢入れ、銃のホルダー、おまけにメッセンジャーバッグのような皮のカバンも小道具に
付いていましたが、カバン以外を適当に身につけてみました。
ガンのホルダーがなぜか右腰にあるということは、写真を撮ってから気づきました(笑)

で、この飛行靴が付属でついてきたので、飛行士官のようないでたちになってしまったわけですが、
この靴が何とサイズ27センチ。
写真室まで歩くのも一苦労(脱げるから)でしたの。

スタジオの方にお聞きしたのですが、このプラン、なかなか開始以来好評のようで、
今でも結構利用者があるとのことです。
陸軍士官の恰好だってもしできるならやってみたい、なんて思う人はきっと多いと思うのですが、
少なくともそういう企画は今まで見たことはありません。
「ここは海軍の街」っていう観光的イメージがあるので海軍軍人ごっこはできますが、
陸軍となると、理由がないというか、いろいろ面倒なことが起こってくるんでしょうか。

まだしばらくやっていると思うので、特に男性の方、呉に行ったらトライしてみてね。
あなたの中の何かが変わるかも?
わたしは・・・
旧軍軍服は男のためにこそあるもので、女が着ても似合わんということだけは確認できました(笑)

因みにホテルは呉駅前、呉阪急ホテルです。(ステマ?)


ところで、本日の宝塚歌劇妄想ネタについて一言。
戦中、宝塚歌劇はわりと似たようなことをやっていたんですね。
坊主頭のカツラを被って、兵隊の恰好をさせられて・・・・・嗚呼。







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2 Comments

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Unknown (さくら)
2012-06-22 12:14:07
「五十五と五十六」に笑ってしまいました。
エリス中尉のユーモア?大好きです。

女性が軍装をしたらどうなるんだろう、と疑問に思っていたのですが、
エリス中尉の御写真を見ると、確かに「宝塚」と言う文字が浮かびます。
好評と言うことは今でもはやり「海軍さんの格好」はかっこいいんでしょうね。
陸軍さんの格好は靖国で見かけたことがありますが(笑

ところで、コメント欄の賑いが楽しそう!
と思ったのですが、見事出遅れて、
結局楽しそうと思っているだけで終わってしまいました…


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軍装 (エリス中尉)
2012-06-22 15:22:21
以前、軍人を演じる俳優についての「冥利」について書いたことがあります。
日本の俳優にとって旧軍軍人の役をするということは特別な昂揚を感じることではないのか、ということを書いたのです。
松林監督作品などで三船敏郎や池部良、鶴田浩二や忘れちゃいけない平田昭彦なんて俳優たちはもう、板につくなんてものじゃない似合いようで、むしろ皆誇りと至福にに満ちて軍人を演じているように見えますよね。

一般人においても、例えば超駄作ではありましたが「愛と青春の旅立ち」で、「海軍士官の男に惚れない女はいない」みたいな台詞があったように、軍服には女性は勿論、全ての人を惹きつける力があります。

日本では戦後の戦争アレルギーが、軍隊というものをたとえ軍装というような形骸的なことであっても賛美することを禁じてきたので、どういうわけか罪悪感を伴わずにはこういうことを言えない風潮があり、だからこそ「海軍の街呉の観光イベントとしての軍装体験」は、後ろめたさなくこういうことができる素晴らしい企画だと、わたしは絶賛するものです。(大げさ?)

コメント欄、今現在もそれなりに(当社比)賑わっていますよ。
出遅れてなんかいませんから、どうぞ何かコメントがあったら遠慮なく送ってくださいね。
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