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ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

6インチ47三連装砲〜USS「リトルロック」

2025-04-07 | 軍艦

USS「リトルロック」艦内探訪、見学路はついに
メインデッキの階に戻ってきました。


クォーターデッキの「士官チェックアウトポイント」を出ると、
そこには「リトルロック」の時鐘があります。
時鐘は機能的に今でも現役なので、ちゃんと紐がついています。


ここには「リトルロック」の主砲である、
 6"/ 47 Mk 16 Guns 
があります。

この日、エリー湖沿いは大変陽射しが強くて暑く、
主砲の上にかけられたテントの日陰がありがたくて、
少しここで座って休憩をしました。
左の方にあるバッグも私のものではなく、別の見学者が休憩中です。

この三連装海軍砲は、第二次世界大戦時は主砲でしたが、
「リトルロック」の「ガルベストン」級巡洋艦はタロスを搭載していたため、
前方に1基装備してあるだけとなります。

「リトルロック」CL-92 

これが「クリーブランド」級だったミサイル搭載前の「リトルロック」。
6"/47mk.16三連装砲は前方と後方のメインデッキに2基ずつ置かれました。
(ブルーの◻︎で囲んだ部分)

「リトルロック」CLG-4/ CG-4

1960年に改装されてからの「リトルロック」です。
現在展示されているのと同じように、三連装砲は前方に一基だけとなります。
ここに以下のような説明が二箇所にありました。

マーク16/1 三連装 6”/47砲塔

これは、現存する唯一の米海軍6インチ3連装砲塔です。
各砲(海軍では「ライフル」と呼ばれていた)は、水上&沿岸の標的に対し
1051b.の砲弾を13マイル飛ばすことができました。

1門あたり4.31トンある6インチ砲から、毎分最大6発の砲弾を発射。
仰角は最大60度でした。

発射された砲弾は、最大5インチの硬化装甲板を貫通することができました。
砲塔の前面には6.5インチの装甲板が施されており、
1秒あたり10度という速さで目標を追尾の旋回をすることができました。


6インチターレット

「リトルロック」に搭載されている3連装6インチ47口径砲塔は、
世界で最後の完全な状態のものになります。

砲撃時には20~24人の乗組員がここで作業していました。
砲弾は105~130ポンドで、3~15マイルの距離まで到達しました。

■ 砲塔内部とその仕組み


現地に貼られていた6インチ47口径砲塔の説明その1。
この砲塔(ターレット)の中で20〜24人が仕事を行うわけです。


これが「リトルロック」砲塔内。

■ 装填の役割分担

3基の各砲には、「砲長」砲弾装填手」「火薬取扱手」
そして「火薬装填手」の4名が配置されていました。



火薬取扱手(powder handle)は、左、中央と三箇所にある
「火薬ホイスト Powder Hoist」
から60ポンドの火薬を取り出し、火薬装填手(powder loader)
後ろにある
B「火薬収納トレイPowder handoring Platform」
に入れます。

砲弾装填手(projectile loader)は、左、中央、右にある
「砲弾ホイスト Projectile Hoist」
から、105〜130ポンドの砲弾を取り出し、砲弾トレイに入れます。

すると、砲弾装填手(powder loader)が、装薬トレイから
薬莢(powder cases)を取り出し、砲のトレイに配置します。

一つの砲に一人いる砲長(gun captain)は、それらの作業完了後、
撃鉄(うちがね)を操作して砲弾と薬莢を砲尾に押し込み、
砲尾ブロックを上げて砲を閉じます。

砲塔の潜望鏡である
「ペリスコープ」
で目標の確認を行い、砲撃操作は、
「ターレットオフィサーズ プラットホーム」
に立つ砲塔指揮官の指揮によって行われます。



砲塔内を見学するための階段が付けられています。
これを上がったところが砲塔オフィサーの立ち位置であり、その上部には、


ペリスコープがあります。

砲塔は通常、水上砲列室のコンピュータによって自動的に操作されましたが、
砲塔内からローカル操作することもできました。


このオリジナルの砲塔に入るためのハッチです。
こんな狭いハッチを潜れるくらいスマートでないといけません。
今のアメリカ人なら半数くらいが入れなさそう。



ハッチは1.75インチの厚さの弾道鋼でできています。
「リトル・ロック」が1945年に就役した際には、
6インチ三連装砲が4門(前部2門、後部2門)装備されていました。

1960年にオーバーホールとミサイル巡洋艦への再設計が完了した際には、
この6インチ砲以外のすべてが撤去されました。艦

載ミサイルや航空機の普及により、大口径の艦砲は時代遅れとなったのです。


■照準のために


砲塔左側には照準手(pointer operator)が位置し、
砲塔士官の指示に従って砲の仰角を上げ下げし、照準器に目標を捉え、
或いはローカルモードで砲を発射するための引き金を引きます。

砲塔右側にはトレーナーオペレーター(trainer’s operator)がおり、
砲塔を砲塔士官の指示した方位に回転させ、照準器に目標を捉えます。

ポインターの後ろの3人目のチェッカー(checker crewman)は、
砲の照準を確認します。

ポインタートレーナーチェッカーには、
砲塔の側面から突き出た個別の望遠鏡が装備されており、
標的を観察して方位と仰角を修正することができます。

サイト・セッター(sight setter)はトレーナーの右後ろに位置して、
ポインタートレーナーチェッカーの望遠鏡の焦点距離を調整し、
標的に焦点を合わせるという役目を行いました。

砲塔内の人員配置図です。



■ 砲塔の仕組み

砲塔の厚さは6インチで、全体は装甲バーベットに搭載されています。
バーベットチューブはサードデッキまで伸びていました。

その下から5”バーベット装甲管が第1プラットフォームまで伸びています。
第1プラットフォームデッキは、その下の、
第2プラットフォームの火薬庫と砲弾庫を保護する役目がありました。

第2プラットフォーム階は艦内の最も深い階層で、
その下にあるのは燃料タンク、バラストタンク、水タンクなどです。

■砲塔下部バーベット〜ローラーパス

砲塔のすぐ下には砲パン甲板(gun pan level)があり、
砲の仰角機構が配置されていて、大型の電動モーターで駆動する
油圧伝達装置が仰角ギアを駆動していました。

ここでは大型のスクリュー機構が砲を上下させます。
3門の砲はシンクロしていて、個別に仰角を変えることはできません。

トレイン駆動モーターとピニオンギアも砲パン甲板上にありました。

トレインドライブとピニオンギアは、砲塔機構の回転部分を囲む、
大型の固定リングギアに対して回転します。



砲塔は、訓練用リングギアのすぐ上にある
ローラーパスの84個のローラーベアリングの上を回転します。
このローラーパスは砲塔を持ち上げずローラーを交換することができました。

回転する砲塔の全重量は、3番デッキまで延びる、
鋼鉄シリンダーの上部に取り付けられたローラーパスが支えています。

このシリンダーと砲尾の内壁の間には14インチのスペースがあり、
点検やメンテナンスが可能でした。

「リトルロック」

続く。





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1 Comments(10/1 コメント投稿終了予定)

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アメリカの関税政策 (Unknown)
2025-04-09 11:28:21
お題とは関係のない話で恐縮ですが、トランプ大統領の関税政策で世界中が大変なことになっています。関税を上げれば、アメリカ国内では輸入品が高くなり敬遠され、国産品が売れるだろうという(単純な)見立てでやっているのだと思いますが、実際には、ほとんどのモノには、輸入部品も使われていて、アメリカの主要産業である自動車も、原材料である鉄は多くを輸入に頼っています。
iPhoneはほぼすべてを中国で作っていますが、中国との報復関税合戦で、中国からの輸入品の関税率は100%を越えています。中国から日本に輸入する際の関税率は0%で、日本からアメリカに輸出する際の関税率は24%なので、単純計算では、iPhoneは中国からアメリカに直接輸出するより、日本を迂回して輸入した方が安いことになります。
トランプ大統領の政策には、造船業の復活も含まれています。現在、アメリカ国内の造船業は軍艦のみで商船はすべてが外国で建造されていて、世界最大の造船国は宿敵中国です。これを挽回しようということですが、そもそも、鉄が作れないので、そう簡単な話ではないと思います。
日本製鉄によるUSスチールの買収は、再審査になるようです。かなりの鉄を輸入に頼っている以上、関税政策ではなく、日本製鉄の子会社になってでも、正面突破でアメリカ国内の製造業を強化しないといけないと(私は)思います。
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