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自衛隊観艦式観覧記~「艦の上の懲りない人々」

2012-10-25 | 自衛隊

カテゴリーを「自衛隊」にしていいものやら迷いましたが、
2012年観艦式における「ひゅうが」艦上での出来事ですのでそうしました。

甲板は手すり沿いに一列だけパイプ椅子が固定されて並べられ、
速く乗艦した人はこの椅子を確保する、というのが
「観艦式リピーター」の「観艦式を快適に観る為の秘訣」だったようですが、
椅子が確保できなかった大多数の人々は、「海軍毛布」を一枚借りて、
それをピクニックのように甲板に敷き、お弁当を食べたりします。



マット持参の方もあり。
しかし、後々のことを考えたらマットはいらないかも・・・。
この方はマットだけでなく毛布ももらっていますね。


冒頭写真は甲板右舷側で、パイプ椅子のある「観覧側」と反対の方向。
もうすでにプログラムは終了してあとは帰るのみ、と言う頃です。
男性二人、実にいい雰囲気です。
背景をそのままワイキキのビーチに置き換えてもいい感じでしょう。

「兄貴、感動したっすね!俺コーフンしちゃいました」
「おお、そりゃよかった。二人で来れて良かったな。
このあと中華街で何か食べてくか、サブ」

などという会話が聞えてきそうじゃ・・・ないですかそうですか。

しかし注目していただきたいのはサブと兄貴ではなく、
彼らの後ろに見える艦艇です。

真横に見えるのはその特殊な形から、この観艦式中ずっと真横を走行していた
「あすか」ではないかと思いますが、他の艦、全て同じ方向に向かっています。

「観艦式は終わった後、艦隊を組んで帰って行く様子に風情があるんですよ」

そう仰った方がいましたが、朝の出航の張り切った感じ、昼の観艦式の華やかさ、
全てが終わって今帰って行くフネのすがたは、「祭りの後」という言葉を感じさせ、
この方の仰る「風情」が理解できたような気がします。

それはともかく、これら一連の観艦式の模様は、予行練習の直後から、
写真は勿論YouTubeにも、これでもかというくらいアップされました。
自分の撮った写真やビデオを観て欲しい、と言う人々がこんなにいたのかと驚きます。

ここでお話ししなければいけないことがあります。

インターネットに投稿する会心の作品、その一瞬をカメラにおさめるためには、
たとえば子供の運動会のカメラの場所取りでけんかして会を中止させたり、
入ってはいけない線路内に入り込んで逮捕されたり、まあそういった
「レンズを覗いていると理性が吹っ飛ぶ」人々が、ここにもたくさんいたということです。

 

たとえば皆さんに訓練展示の項でお見せしたこの写真ですが、
実はトリミングする前がこれ。
入り込んでしまってるんですね~。「カメラマンな人」が。

掃海母艦「ぶんご」に当日乗り込んださくらさんによると、「ぶんご」では
一番前に人が立つと、後ろの、背の低い子供や女性は海面が見えなかったようです。

「ひゅうが」では甲板が広いので、どこか必ず見える場所には立てるのですが、
ネットが張ってあり、その2メートルくらい内側にパイプ椅子があります。
パイプ椅子の前のスペースにも人は入っていいのですが、そこで立たれると、
座っている人が全く見えなくなるので、そこにいる人たちには自衛官たちが
「椅子の前の方は座ってくださ~い!」
と声をからして叫んで歩いていました。(ご苦労様です・・・・)

しかしこの「カメラマンな人」たちは、全く聞く耳持たないんだなこれが。



たとえばこんなシーンも、チャンスは一瞬で終わってしまいます。
そういうとき前に立ち上がられたりすると、これは皆頭に来ますよ。



このUターンの瞬間も、絵になるシーンは一瞬で過ぎ去ってしまいます。
この真ん中にいるベースボールキャップのおじさんは、この貴重なシーンに
実はずっと立ち上がったまま。
「あああ、せっかくのタイミングに!」
といらいらして、しかし何も言えないままやきもきしていたら、横にいたOさんが
「そこ、座って!」
と一喝してくれてなんとかこの画像が撮れました。



三脚立てちゃってますから。
後で写真を見ると、このおじさんのカメラが映り込んでいる写真、多数。
このときは訓練展示も一通り終わったというときだったのですが、
展示や観艦式の時は、この三脚どうなっていたんでしょうか。



放置されているし。
動かぬ証拠として撮っておきましたが、こうしてみると、
これはこれで一つの作品としてgoodかな、と・・・・・・。



カオスです。
この写真は、わざとこの「懲りない人々」を晒し上げするために撮りました。
(ヒトが悪いって?)
今はかがんでいる黒いジャンパーの女性は、いいシーンになると我慢できず、
立ち上がってしまって、後ろの椅子席からてんでに

「おねえさーん、どいて!」
「黒のおねえさん、座って下さい!」

と声のかかる人気者?だったのですが、それでも立ち上がるのでついには

「せーの」と誰jかがいうと、そこにいたほぼ全員が
「すわってくださ~~~~い!」

もう・・・・小学生かよ。
この写真はそれを聴いて彼女が座った瞬間。
彼女は振り向くと「おねえさん」というには若干無理のあるお歳だったのですが、
怒り心頭、といった調子の男性が、

「今度やったらババアって呼ぶからな!」

と青筋立てて口走っていました。
まあ、気持ちはわからなくもないけど、何もそこまで言わなくても。
楽しくやりましょうよ。せっかくの観艦式なんだから。

それに、この「おねえさん」の派手なアクションに皆気を取られていましたが、
この手前のカメラ男も、実はかなりの邪魔だったんですよ。
だいたいね、この人、脚立に乗ってるのですよ。折りたたみの。
で、この人の頭部だけがどれにも入ってくるの。(T_T)

何枚この人の頭部をトリミングしたことか。



こんな風に。
「おねえさーん」の後、誰が言うともなく

「あの脚立の人も邪魔よね」

などと本人に聞えるように、口々にブーたれていました。

しかし皆にいかに怨嗟の声を上げられようと、憎しみの目で見られようと、
これらの人々に共通しているのは、
「そんなこと知ったことか。自分さえいい写真を撮れればいいんだよ」
と言いたげな、平然、いや、傲然とした態度。
そして必ず、見るからにプロ仕様のカメラを持っていること。

いや、本当にプロなのかもしれません。
こんなフネにアルミの脚立を持って乗るなんて、まずフツーの人ではないでしょう。

観艦式直後からインターネットに溢れるほど出てきた素晴らしい写真。
人の迷惑も顧みず、人を押し分け押しのけして撮ったものだけではないでしょうが、
そのうちどのくらいが、このような人たちの利己的行為の賜なのでしょうか。

中川昭一さんのお葬式で、有名人を探しながらパチパチやるカメラマン、
暇なときにニヤニヤ笑いながら雑談している連中を見て、
どうしてこの手の連中はこんなSHIT揃いなのかとムカムカしたものです。

「ファインダーを覗く」という行為には、日頃常識的な人間でさえも
なにか、理性とか判断力とか公共心とか譲り合いの精神とか、
そういったものをどこかに置き去りにする作用でもあるのかとふと思ってしまいました。

カメラを趣味にしておられる方、自分が他人の邪魔になっていないか、
ときどきは後ろを振り返ってみてくださいね。



写真といえば、こんな人もいました。

この右端の人なんですが、皆楽隊を見ているのに、こっち向いてるでしょ?
これは、エリス中尉がカメラを向けたら、なぜかこっち向いちゃったんですよ。
たまーに赤の他人の写真に写りたがる人がいるけど、何なんでしょ。



ところで、信じられないことですが、艦にはかなり早い時間から甲板で熟睡、
しかも死んだように熟睡している人たちをたくさん見かけました。



死んだように、っていうか、まるで、まるでこれは・・・・・・・・・・。

戦    死    者      ?

「ひゅうが」の乗員には大変失礼というか、縁起でも無い想像をしてしまいました。
しかし、この「死体寝」してる人、結構いたんですよ。



よくこんな劣悪な環境で寝られるなあ。
夕べ寝てないのかしら。
こんな非日常な空間で、しかも行きたくていけなかった人がごまんといるというのに、
せっかく参加した観艦式の護衛艦の甲板でこんな過ごし方をする人たち。

まあどう過ごそうと人の勝手といえば勝手ですが、なんとも勿体ない。



靴だけ出ている感じが、いかにも、です。
このあと軍艦旗を掛けた台から海に滑り落とすのを待っている状態・・・・・・ですか?



2012年10月8日の太陽が今西に沈んでいきます。


それではお待ちかね、いよいよ航空部隊の訓練展示についてお伝えします。

明日に続く。










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6 Comments

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水葬? (pochi)
2012-10-25 20:34:34
笑っちゃいけないと思いながら、つい笑ってしまいました。
毛布に包まれた〇体みたいな人たち、本当に軍艦旗に包んで路板の上からそのまま海へ(少し違いますが映画プラトーンのシーンを思い出しました)
私は空自の航空祭しか行ったことが無いのですが、航空祭でもエプロン地区の規制線の最前列で脚立を立てて立派に防護壁を作っているカメラ小僧の多いこと。
最近では脚立持ち込み禁止にしている航空団が多くなってるようです。
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困った人たち (エリス中尉)
2012-10-25 23:51:09
なんで顔まで被って寝られるんでしょうね。
わたし顔に何かかかっていたら苦しくて寝られませんが。
艦上では最初からそこここで寝ている人を見かけましたが、なぜか百パーセント若い男性でした。
年寄りは「これが最後」と思うのか、実に熱心な方が多かったように思いますが、若い人は「これが貴重な体験」という風にはあまり感じないんでしょうかね。

自衛隊や艦船雑誌などを見ると、読者からの写真を公募していますね。
カメラマンを雇わなくても、喜々として我こそは!みたいなカメラ小僧が次々と作品を送ってくるんですから。
またそんな人たちが世の中にたくさんいるらしいことが今回よく分かりました。
入間の航空祭も、そんな感じですか・・・うーん・・・。
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Unknown (さくら)
2012-10-26 14:14:18
カオスな写真、もっと晒しあげてしまえと思ったさくらです。
「すわってくださーい」と言うのはあまりなかったのですが、
「あの人邪魔なんですけど、はげて反射してるし」
などとブツブツ言う方は沢山いました。
私は暑いやら寒いやらで、それどころではなくなっておりましたが(笑

「○体寝」している方はやはり沢山いますよね。
困ったのは、中年のおっさんが盛大な鼾をずっとかいていたことです。
しかも、音楽隊の演奏中に聞こえてくると言う…。
何の為に来ているのでしょうね…。

あ、ぶんごはお弁当の艦内販売はしていなかったです。
なので、乗艦前の港付近で売っておりました。
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そ、それは (エリス中尉)
2012-10-26 21:19:14
いや、禿げて反射しているのはその方にしてもどうしようもないことなのでは・・・。
しかし禿げてる上にみんなの前に立ちはだかっていたってことなら、仕方ないですね。
件の「おねえさん」も、皆の邪魔さえしなければあれだけ言われなかったはずですから。

「ひゅうが」の艦内販売のこともまた書くつもりです。

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水葬 ()
2012-10-26 23:15:40
他人の通行(導線)などお構いなしに、好き勝手な所で寝込む輩は多いですね。

彼らに「軍艦旗」を掛けてやるなどとは、「軍艦旗」に失礼です。

自衛隊のイヴェントに限らず、子供の運動会等でも「カメラの前に立つな!」と怒鳴った経験を、おそらく百回以上持っている鷲でございます。

入間航空際も、数年前までは脚立やカメラ用のハードケースの上に乗って撮影する輩が多く、一般参観者の顰蹙をかっておりました。
しかし、数年前から脚立の持込が禁止になりましたので、その点だけで見れば、特にブルーインパルスの演技を見る時の状況だけは改善されたと思います。

しかし、エプロン地区の展示航空機の前の規制線の所には、ブルーのウォークダウンを撮影したい人々が、開場直後から陣取っています。

とは言え、観艦式に比べれば「マシ」な写真が撮れると思いますよ(^_^)
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叱る人 (エリス中尉)
2012-10-27 11:51:01
そういうときに叱ることが出来る人なのですね。
わたしもこのときOさんに注意して頂いたのですが、やはりその場になると声を上げることが出来ず、誰かが言ってくれるとほっとします。
脚立の持ち込みを禁止しなければならなくなる前の航空祭はさぞや無法地帯のカオスであったのでしょうね。
フネの上でもあんなでしたから。
いずれも、フネが好きなのか飛行機が好きなのか、あるいは写真を撮るのが好きなのかは分かりませんが、困ったものです。
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