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My 600-lb Life~「ある百貫デブの物語」

2016-01-27 | アメリカ

えー、いきなりですが、今訳あってアメリカにいます。
今回はこれも訳あって一人での渡米ですので、夜ホテルにいる時には
パソコンに向かいながらテレビをつけてなんとなく見ています。 


アメリカに行ったときだけテレビを見る目的は、

日本ではとてもお目にかかれない「放送禁止」レベルの変なショーを
発見し、皆様にお伝えすることにあります。

引っ越しした人が自分の家の後に来た住人のリノベーションをくさすというもの。
ゴミ屋敷の住人を立ち直らせる「ホーダーズ」。
そして今話題沸騰(笑)、大自然の中に何も着ずに放り出されサバイバルする
初対面の男女をルポした「ネイキッド・アンド・アフレイド」。
そして、デブの前に或る日突然トレーナーが現れ、手取り足取り痩せさせて
大変身させてくれるデブ救済型ショー。

そんな変な番組の中でも、とくにわたし的に「来た」、今年の大発見。
それが「My 600-Ib Life」です。
「日本ではあり得ない」のレベルにおいて、「テレビに出てくる人の羞恥心」

「こんなものを放映していいかという倫理」をはるかに凌駕し、
それよりなにより、こんなになるまで太ってしまう人間がゴロゴロいるというアメリカの
底知れなさに心底震撼するという意味で。

600-Ibとはキロに直すと272キロ。
この番組に出てくるアメリカ人は、全員がこのレベル、あるいは
これ以上の体重になるまで膨れ上がってしまい、もうこのままでは
遅かれ早かれ生命の危険が、という状態の重篤患者ばかりです。



本日の主人公は、チャリティさん。39歳。
彼女の体重は驚くなかれタイトルよりも178lbs、つまり80キロ多い

352kg(778lb)

百貫デブ、と日本では言いますが、それではみなさん、
百貫って何キロのことか知ってます?

一貫が3,75キログラムなので、このチャリティという人は、
まぎれもなく名実ともに百貫あることになります。

日本人はいくら太ったって、300キロ超えることは体質的にあり得ないので、
「百貫デブ」というのは、あくまで誇張であり、「お前の母さん出べそ」と
同レベルの揶揄い口にすぎないと言えるかと思いますが、
ここアメリカには、結構な割合で「百貫」が存在するのです。

ちなみに「100キロ」レベルのデブであれば何十人に一人の割合で見かけます。
テレビのショーに出ているキャスターですら、顔は綺麗だけど日本でいうと
お腹周りがふとすぎ、という人が多い国ですから。 



今回の被験者、じゃなくて患者のレベルがレベルなので、
当然彼女の家族もむちゃくちゃ太っています。
チャリティさんの妹も、かるく100キロは超えていそう。




そしてこの人の少し「特異」な部分は、夫がいること。
あまりにも太りすぎて目標が「自分の足で歩くこと」となっているレベルの
この番組の出演者は、今まで見てきたところほとんどが独身のような気がします。

太っているとやはり相手も見つけにくいでしょうし、それ以前に
自分で歩けないどころか、そもそも部屋から自力では出られないとなると、
お年頃になっても相手を探すどころではないからです。

しかし、この人は、恋愛をして結婚もできたのです。
どこで知り合ってどんなきっかけで恋愛が始まり結婚したか、
なんてことを説明してくれるわけではないのでそれはわかりませんでしたが、
そんな相手がいるのに、どうしてこの人はここまで太ってしまったのか。

「わたしに恋人ができないのは太っているから」

という思い込みでダイエットをする女性のほとんどは、男性から見て
決して太っていないという統計もどこかで見たことがありますが、
いくらぽっちゃり系が好きと言ってもこのレベルは・・・。



しかしこんな”超弩級”を愛してくれる人がいたわけですから、
せめて彼のためにもう少しなんとかしようと思わなかったのでしょうか。



それにしても、これだけ太っていると、生きていくための全てが
大仕事になってしまいます。
彼女が持ち上げているのは自分のお腹。
まるで布団を抱えているようですが、家族が彼女の体を拭く間、
肉を自分で持ち上げるのが彼女の仕事なのです。



お風呂に入るということができないので、折りたたまれた肉が
汗疹による炎症(床ずれみたいな状態)でかぶれてしまうんですね。



デブにもいろんなレベルがありますが、彼女の場合は
自分の足で歩くことは不可能。
350キロの体重を支えるには、この足はあまりにも小さすぎます。
そして骨の細さは常人と全く変わらないわけですから・・。



というわけで、彼女の周りの人たちは、彼女が生きていくための
全てのことに手を貸してあげなくてはいけません。
例えば、ベッドに起き上がった彼女を引き起こし、



とりあえず歩行器で立たせて、約3歩移動させるのも大仕事。
わたしは人間が極限まで太ったら、どこに脂肪をつけるのか、
この写真を見て
初めてわかったような気がします。
まるで大きな風船をつけたような状態ですが、これ全て背中と臀部の脂肪。



彼女が携帯便器の上に腰をかけるのを夫は手伝ってやります。
毎日毎回のことなので、もはや恥ずかしいとも思わないようですが・・。



そしてもう一度歩行器を使ってベッドに戻るのがまた一仕事。
夫は黙って後始末をしてやるのです。

こんな状態で命だけを永らえるのに、プライバシーも人間の尊厳もへったくれもありません。
本人も周りも、全ての作業を黙々と無言で行いますが、
その間、人間らしい会話や、ましてや笑いなどは全くないままです。



もちろん彼女がここまでになってしまったのは、大人になってからです。
たしかに太っている子供ですが、このレベルのまま普通に大人になったとしても、
アメリカ人にはよくいるタイプの一人になりそうです。



この子供が、少なくとも寝たきりになるまでというのは、成長過程で
よほどの精神的問題を抱えていたと考えるのが妥当かもしれません。



ティーンの彼女も、アメリカでは2~30人に一人の割でいるタイプです。



この手の番組を見ていて思うのは、彼らの食事は

日本人から見たらひどいと思われる一般的なアメリカ人の食生活など、
まだマシに見えるくらい、栄養というものを無視しているということです。



ある日の朝食。(朝食ですよ)

アメリカのピザはご存知のように大変巨大なのですが、

もちろん彼らが手作りなどするわけがなく、冷凍のピザを朝になると一枚焼いて、
それを三人で分けて食べてしまうのです。




しかし、彼女にとって食べることは幸せな時間の一つであるらしく、
こんな朝ごはんでも実に美味しそうに平らげます。



彼女があまりに肥大しているので、100キロはありそうな彼女の夫が
まるで蚊トンボのように見えます。
彼女の妹もやせた方がいいと思いますが、とりあえず彼女は
自分でシャワーや排泄はできるわけですから、姉を心配し、
面倒を見る立場であって自分のことはむしろ「健康的」だと思っている節があります。

しかし、やはりこれではいかんだろうということになり、
番組に依頼をして専属の肥満専門医の診察を受けることになりました。



病院へは、数人のスタッフが「太った人専用の搬送車」で迎えに来てくれます。
そしてドクターが登場。

このドクターも、わたしたちが見ればかなりの肥満で、
人のことをどうこういう前に自分もなんとかした方がいいのでは、
という説得力のない体型なのですが、なにしろ患者のレベルが

「胃のバイパス手術」「脂肪大量切除」

を要する段階なので、医者の不養生と言うよりは、患者と比べて自分はまだまだ大丈夫、
と考えてしまうようになったのではないかと推察されます。



どれどれ。太ってますなー。

って見ればわかる。
すぐに手術をしてくれるのかと思ったら、まず、
自力で、
つまり病院食の食餌療法だけで、10キロ~20キロ痩せることを言い渡します。




これで、ダイエットのなんたるかを付き添いの人にもわかってもらうのです。
なぜこんなことをするかというと、この医者は、誰にでも安易な
バイパス手術はしないという主義で、本当に患者が痩せる気があるのか、
ということをここで試験するという意味があるのです。



することがないから(といってもいつも何もしてませんが)お母さんに電話。
母親はこの番組で一度も顔を出しませんでした。



患者はこの病院で3ヶ月を過ごします。

健康保険のないここではものすごい医療費がかかりそうですが、番組負担でしょう。
そして三ヶ月の入院で彼女は49lb、つまり22キロ体重を減らしました。
背中から垂れ下がっている巨大な肉塊には全く変化ありませんが。

三度三度、まともなものを食べるだけで22キロ減です。
もしかしたら彼女は、これまで野菜サラダなど食べたこともなかったのかもしれません。
これは全て、親の食育のせいであり、さらにはその親自身ももそう育てられてきたのです。

何かに責任があるとしたら、彼女のような人間がアメリカに生まれたことでしょうか。



体重が減ってよかったね、という感じの夫。
なんですが、どうにもこの夫という人、暗い。
ほとんどのカットでなぜか目を伏せているのはなぜなんでしょうか。



とりあえずバイパス手術を受けるためには家でもちゃんとした
食生活をせねばならないのですが、退院する彼女、こんなことを言っております。

「食品庫に戻るだけだわ」

自分からは何もしようとしない、太る人の論理ですよね。



しかしこうなったからには、家族も一緒になって朝からピザ一枚食っている場合ではないので、
キッチンで悩んだすえ、二人で料理らしいことを始めました。



さて、ドクターはチャリティに、1ヶ月の自宅療養の間に
40lbs、さらにここから18キロ痩せることを申しつけました。
そうしないと、手術するわけにいかない、というわけです。



相変わらずうつむいてばかりの夫。



さて、ドクターの診察。

「もう1ヶ月がんばってみようかー」



・・・・暗い。

どうしてこの夫が最後まで目を挙げて人を見ないのかはわかりませんでした。
もしかしたらこの男、チャリティとその家族になんか弱みでも握られてるのか?



さて、それはともかく、彼女は手術を受けることができるのでしょうか。


続く!(笑)







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8 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
肥満家族の病巣 (ハーロック三世)
2016-01-28 01:47:00
この女性、実はご主人に大きな問題があるのではないかと思います。

太った女性が好き(ぽっちゃりではない)という男性の中に「フィーダー」というものがいます。

ひたすらパートナーに食べさせてふとらせることに無上の喜びを感じる厄介な性癖です。

もともと太りやすく食べるのが大好きで外見に頓着しない女性が出会うと悲惨な結果を招くのです。
この彼も太らせる事に限りない喜びを感じているので、排泄の世話など気にもならないのでしょう。

フィーダーは優しく残酷な虐待なのです。
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よくここまで… (佳太郎)
2016-01-28 10:44:15
日本人ならここまで行く前に糖尿病で死にますね…
力士にしろあの体型を維持するのに相当苦労するみたいですからね。入門した力士がやめてしまう理由の一つに太れないという物もあるそうで…誰だったか体重を増やすために毎日夜食としてステーキを食べていたとか…これも苦労ですよね…
ただ力士って脚と腕の筋肉はものすごいですから、番組に出ていたような人とは違いますね。
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こわっ! (昭南島太郎)
2016-01-28 11:27:55
開いた瞬間、冒頭写真の彼女の真ん中で分けた黒髪と目と、鼻の上半分が写った青白い顔を見て、一瞬『貞子か!』とぞくっとしましたが、ハーロック三世さまのコメントを読み、更に恐ろしく感じました。
ご主人が伏し目がちで暗い、というのも納得できたような気がしました。

自分の価値観だけで世の中生きてはいけない、とは常日頃思っておりますが、正直想像を絶する米国の肥満とテレビ番組ですね。

我が家は先祖伝来の貧乏家系DNAのおかげ?でどちらかと言うと肥満とは縁のない体質なので。。。
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これは、大変… (アーサー)
2016-01-29 12:44:27
 介護福祉士をしていたので、人間というものがどんなに重いかというのを身をもって経験しています。実習の際、身体障碍者の女性で80キロを超えていた人がいましたが、入浴介助の移動は男性3人でリフト使用でした。下半身に床ずれもでき大変そうだったのを覚えています。
 
 これは、たまらん💦 私なら逃げだすかもしれません。
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皆様 (エリス中尉)
2016-01-29 13:19:56
ハーロック三世さん
「エサやり人」ですか・・・それは初めて聞きました。
人間の欲望の多様性に今更ながらに驚かされるカテゴリですね(笑)

こちらに来てからほとんどをベッドの上で過ごしていたのですが(笑)
iPadで見たスレッドに「自傷による脅かしによって相手と結ばれた」
という男性が立てた「離婚したくない」という相談ものがありました。
別れ話になると死ぬと言って生爪を剥いで相手に見せたり、プロポーズの時には
包丁を渡して結婚してくれと言った、という異常な人でした。

片や、「いくらでも食べていいよ」と甘やかす、片や
自分を傷つけて脅かし、諦めに近い気持ちで自分の意にそわせる。
両者に共通するのはそこに相手を思いやる気持ちがまったくないことです。
愛情というのが相手の幸せを祈る、そしてそのために行動することであるなら、
両者の「優しい虐待」「自分への虐待」は自分の欲望を満たすためでしかありません。

ところで、本番組中の夫の後ろめたそうな様子は、彼がフィーダーだったから、
というのはとても説得力のある解説だと思いました。
そして、もしかしたら彼自身にもともと自身の体重に対する変なこだわりがあって、
それが屈折した性癖となってしまったのか、とも・・・。

佳太郎さん
はい、日本人は無理です。
民族的体質で日本人インスリンの分泌力が欧米人の3分の1、
厳密に言うと「10年分しか蓄えがない」といわれています。
10年すぎると糖尿病になる、つまり10年しか太れる時期がないということらしいです。
痩せ型糖尿病も多いので、太る前に自分で気をつける人が多く、
「太りにくい体質」は寿命の高さと関係しているそうですが、
同じような体質でやはり肥満度の低い中国や韓国の平均寿命は低いので、
日本の平均寿命の高さは体質と食文化、そして医療や社会制度などの要素が
すべて組み合わさった結果でしょう。

力士は、日本人なのによくあれだけ太れると思いますね。
昔から伝わる特別の食生活をして作り上げるらしいですが。

昭南島太郎さん
日本の食生活も昔と違って随分欧米化され、ジャンクも増えていると思うので、
これからは平均寿命も短くなってきそうなきがします。

太郎さんは海外在住の方なので、日本から出たことのない人よりは
多様な文化的経験を通して広い見聞をお持ちの方だと思いますが、
ほんとにアメリカだけは、来て住んでみないと見えない闇があります。
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アーサーさん (エリス中尉)
2016-01-29 13:29:22
この太った人専用病院には「専用車」「専用スタッフ」がいて、
病院に運び入れるときに5〜6人でクレーンを使って車に乗せ、車から降ろします。

その他の世話も全部やってくれますが彼らはそのために雇われたプロですから
それなりのノウハウも道具も装置もあります。
日本だと80キロでも大変な騒ぎなのですね。
80キロのまま年を取り要介護になるなんて人、ここでは普通にいると思いますが。
返信する
80キロ‥‥ (ハーロック三世)
2016-01-29 23:04:31
80キロで介護が大変‥‥

ちょっとショックです。

現在83キロ。
日々しごかれている息子よりも巨体です。

20代は90キロでした。

確かに90キロを超える日本人はそういませんね‥‥

当時ホノルルのホテルで朝食を大食いしていたら、隣のテーブルの日本人家族の子供が「お父さん!あの人は凄く食べてるけど、プロレスラーなの?!」と言って親を狼狽させていました。

介護を受けずに済むよう気をつけます。
返信する
それはびっくり (エリス中尉)
2016-01-30 13:51:19
かつてのコメントでハーロック三世さんが筋肉鍛え系のマッスラーと伺っていましたが、
そのお話ではどうやら身長もかなりおありなのですね。少なく見積もっても175㎝くらいでしょうか。
しかし、プロレスラーに間違えられる堂々たる体格の機長・・・・。
さぞ空港では威風堂々で注目を浴びられたことでしょう。
って寝たきりの話と関係ないし。
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