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ネイビーブルーに恋をして

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航空管制塔~空母「ホーネット」艦橋ツァー

2015-07-14 | 軍艦

「ホーネット」の艦橋ツァー、ようやく最上階まできました。
この写真を見てもおわかりのように、飛行管制を司る管制室です。
当たり前なのですが、空母なので艦橋は右舷にあり、右舷接岸しています。
まったく艦橋をつけない空母は別として、すべての空母艦橋は右舷にあり、
空母史上左舷に艦橋を持っていたのは「赤城」と「飛龍」だけです。

パイロットはプロペラの回転の関係でどうしても着艦後左に寄って行ってしまう、
ということが運用してからわかったというとほほな話だったわけですが、
そういえば着艦をミスして艦橋に突っ込んでいった人の話があったなあ。
最後のワイヤーが奇跡的に引っかかって命存えたとか。



信号灯らしい機器が先端にあるこの部分のデッキ。



経年劣化で上から塗ったペンキが凸凹になっているところを。
ただでさえ米海軍の軍艦はメンテナンスが甘いと言われているので、
博物館となった「ホーネット」の方が現役艦よりまだ手入れされているのでは?
といたるところで思いましたが、さすがにこれは古さを感じさせます。



操舵室から艦橋デッキを伝って移動していきます。
ハッチドアを密閉するためのレバーの多さを観よ。
梯子段が上に向かってありますが、上には



これから行く航空管制室の窓ガラスが見えます。
コードが数本ついた四角いものは何かな?
いまならこういうところにくっついているのはイージスシステムのレーダーですが・・。



階段を(外の梯子段ではありません)上って上階に到達。
向こうに見えている船はモスボールではないかと思うのですが、
クレーンが6本も立っているので軍艦かどうかはわかりません。
日本で言うところの工作艦でしょうか。



狭い艦内を結構たくさんの人たちが一列になって歩くので、
移動には時間がかかります。
一番先に解説員と一緒に部屋に入った子供が何やら触らせてもらっているの図。



ここが「ホーネット」の航空管制室。
椅子はもちろん「エアボス」の席だ。



アポロ11号(か12号)の写真の額が置かれた艦橋の窓。
下が見やすいようにガラスが思いっきり斜め角になっています。



軍艦で天井がガラスというのは怖い(笑)
ですが180度視界が確保されていないとこっちの方がいざという時怖い。
ひびの入っている別のガラスを見たところ、フロントガラスに使われているような
特殊なものではなさそうだし・・・・。
ただ、天井の部分のガラスだけは強化ガラスをさらに重ねているようで
空の色が濃く写っています。



皆が揃うまでエアボスの席で悠々といった感じで座っている解説員。
何度も言っていますが、彼は元海軍軍人で「ホーネット」の乗員でした。

彼のそこはかとなく尊大な態度はよく言えば誇り、悪く言えば
気負いみたいなものから来ている気がしました。
と書いていますが、決してこれは不快というわけではありませんでした。



目の前にこのようなものがあるとついつい触ってみたくなる男性陣(笑)



このパネルはほとんど全てがライトのスイッチです。
丸い時計状の計器には「ロールレンジ」と書かれています。
ロールレンジで検索すると「ささみのロール レンジ」みたいなレシピしか
でてこなかったので具体的には何かわかりませんでした(´・ω・`)


 

甲板から発着するすべての艦載機情報を書き記す黒板。

「インディアンギャル」「ランドスライド」などのコールネーム、
発艦と着艦の時刻、パイロット名、ミッションなど、情報が事細かに記されます。

これも何度も言うようですが、「ホーネット」からはマリアナ沖海戦で、
「マリアナの七面鳥撃ち」(The Marianas Turkey Shoot)と言われるほど日本軍の
未熟なパイロットたちをやすやすと撃墜したベテランパイロットたちが出撃しています。

ということは、1944年6月11日、ここに攻撃に出たベテランたちの戦果が
誇らしげに記されていたということなのです。

日本人であるわたしがこういうものを見るたびに複雑な思いを抱かずにはいられない
という気持ちを、わかってくださるでしょうか。



スカイホークのカタパルト写真。
「ホーネット」がアングルドデッキに回収されたのは1955年のことなので、
そのとき同時にカタパルトを搭載したようです。



少しわかりにくい角度で写真を撮ってしまったのですが、このハッチは床にあります。
エスケープオンリーと書かれているので、航空管制室が火災などになったとき、
少しでも早く脱出するための非常用出口として普段は閉められていたと思われます。

こういうのを見ると、「戦争をするための船」なんだなと実感します。



これは紛れもなく建造当初から使われていた電話!


こちらはプッシュホン式の電話。
最初のトーン式プッシュホンは、アメリカのAT&Tが1964年にサービス開始したので、
「ホーネット」は現役中にいち早く最新式を取り入れたのでしょう。
大々的なデッキ改修の際に機器の入れ替えも行ったのではないでしょうか。



人大杉のブリッジ。
皆の服装を見てもおわかりのように、この地域一帯は8月中旬の昼間でも
普通に長袖を重ね着するような寒さです。
トレーナーを羽織った子供とTシャツのお父さんは、おそらく
カリフォルニア以外の州から観光に来ていると思われます。
埠頭を渡る風がまた強くて、薄着では特に甲板で震え上がるほどです。

潜水艦「パンパニト」もそうですが、そういう意味で博物館として
ここに繋留してある船にはいっさい冷房の必要はありません。



窓から見下ろすチャンス・ヴォートF-8クルセイダーの雄姿。
このクルセイダーがチャンス・ヴォート社にとって「救世軍」となった経緯を
以前(かなり熱く)お話ししたことがあります。 

ウィキペディアを見ると、まさにこの「ホーネット」上の412の写真が出てきます。
さらにwikiの下の方には、去年訪れたサンタローザのパシフィックコースト航空博物館に
展示されているF-8の写真が掲載されていて、なんとなくこういうのって嬉しいですね。



ところでこの管制室の甲板に向かって左右の窓にある角度を示す大きな針ですが、
これは着艦しようとするパイロットのためにあるわけですよね。
風の角度などを考慮した進入角度を指示するものだと思うのですがどうでしょうか。

窓の下に見えている艦載機はたしか白塗りされたまま放置してあるF-4だったと思います。

 

解説員はここでアングルドデッキ採用の理由などを説明していました。
図解で示されているのは着艦のパターンで、これを見る限り
旋回を広くとるデルタパターン、小さくとるチャーリーパターンというのがあるようです。

ついでにユーチューブで見つけてきたF/A18ホーネット発艦~着艦シーンをどうぞ。






計器の上によじ登って外を見せてもらいご機嫌の女の子。
棚の上に据えてあるモニターテレビの奥行きに時代を感じます。



映画「ファイナルカウントダウン」でコルセアがやっていましたが、
アレスターフックが使えない状態の時にはこうやって網を張る方法を
バリケード着艦といいます。



空中給油しているのはどちらもホーネットの艦載機でしょうか。



もしかしてこれは先代「ホーネット」CV-8の遺影?

「先代は沈められてしまったんだよ」

ジャップに・・・とはさすがに言っていなかったと思う。



これも当ブログでは「ファイナルカウントダウン」でおなじみの着艦システム。
光学着艦装置、OLS(Optical landing system)
着艦する航空機が適切なグライドパス(降下経路)にあるかどうかパイロットに視覚で教える装置です。

左にこのサインの例がありますが、水平の緑のランプは平行であることを確かめるもの。
一番下の赤いランプは通称「ミートボール」というそうですが(笑)、これは下の方で点灯しているので、
これが見える角度で飛んでいる時、その飛行機は進入高度が低すぎるということになります。

先日広島空港でアシアナ航空の飛行機が高度を低く取りすぎて着陸失敗していましたね。
空母のようなピンポイントで狭いところに降りないといけない場合はわずかの狂いも
事故に直結するので、こういうところでパイロットに調整をさせるわけです。

危険な角度で飛行機が突っ込んできた時、このパネルには赤い点滅ランプが点き、
それを見たパイロットはフルスロットルにして着陸複行(ゴーアラウンド)しなければなりません。



赤い針の下には救急セットが収納されています。
にしても単位が20、30、40とは何なのでしょう。



これが航空管制室から見た甲板(と岸壁)。
 前回何かわからなかったこの前の機器ですが、これは状況から見て
間違いなく信号灯のようですね。

ところで、空母ではカタパルト発進が行われるわけですが、カタパルトで発進できるのは
何も航空機でなくても構わない(らしい)ということを表す決定的な証拠を発見。

転勤するエアボスのブーツをカタパルト発進させんとする米海軍の軍人


ブーツだけ一足先に転勤するのですねわかります。


続く。


 



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6 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
OLS (ハーロック三世)
2015-07-14 02:09:12
OLSと同じものが空港にもあります。
PAPI(Precision Aproach Path Indicator) と呼ばれており、日本語で精密進入経路指示灯とよびます。
白と赤のライトの組み合わせで出来ています。

3度の角度を保って進入するわけですが、適正な角度でない場合に、計器だけではなく、目視でもズレがわかるようになっていて、修正をかけてアプローチしてゆきます。

ちなみに広島のアシアナの事故はPAPIを見落とすという、あってはならないミスも原因ではないかと囁かれています。
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なんなんでしょう (雷蔵)
2015-07-14 06:26:40
ロール(レンジ)は、ロール角(左右の動揺)だと思います。海上を走る空母は大地と違って、左右(ロール)上下(ピッチ)に動揺するので、限度を越えたら、発着艦は出来ません。

ロールレンジは左右に揺れる角度の範囲を示していると思います。海上自衛隊のヘリコプター発着艦管制用のエアボス席(LSO: Landing Safety Officer)にも同じような計器があります。普通、ロール角は中心がゼロで左右に10とか20と表示するので、真ん中が30だとなんなのかわかりません。

まわりに繋留されている船は確かにモスボールかもしれません。喫水が上がっていて、すぐに出港しそうには見えません。ただ、海上輸送部隊の船は、基本的に商船と変わらないというか、民間から買い上げた船も多いので、不要になると米軍はすぐに売り払いし、戦闘艦以外はあまりモスボールしません。

海上輸送部隊は、アメリカが今でも世界帝国であることを感じさせます。普段、まず目にすることはありませんが、事前配備船(Maritime Prepositioning System)と言って、1個海兵師団(陸上自衛隊の1個方面隊程度)が一ヶ月行動出来るだけの武器弾薬を常に写真のような船に積み込んだまま、グアムやディエゴガルシアに置きっぱなしにしています。米国本土からの支援(=陸軍)が来るのに一ヶ月はかかると見込んで、近場に置きっぱなしにしているのですね。

冷戦時代の自衛隊の防衛構想である「基盤的防衛力」も、米軍来援まで一ヶ月は自衛隊だけで頑張る構想でしたが、今の南西諸島は、中国がその気になれば、二、三日で取りに来れるので、一ヶ月頑張る力を蓄えるより、自衛隊自身の即応性を高め、なおかつもっとアメリカを巻き込んで抑止力を高めようと、安保法制となっています。

幸い、ひとっ飛びで沖縄から南西諸島まで兵員を運べるオスプレーという飛行機が出来たので、海兵隊だけでなく、陸上自衛隊も導入しますが、これがよっぽど気に食わないのか「震える」とか、外来種の侵入を防ぐために埋め立てさせないとか訳の分からないことを言って、あの手この手で妨害にかかっています。

13億5,800万人は強敵です。頑張らねば!
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ブーツをカタパルトに! (佳太郎)
2015-07-14 10:28:22
いいんですかねあんなことして…壊れたりしないのでしょうか…そう考えてしまいます。
なおイギリスではカタパルトではないですが空母のスキージャンプ台から車を発進させています。なお結果はお察しですね。
軍ではなくBBCがやった事ですけどね。ほかにも気に食わない車をチーフテン戦車で破壊(と言っても空砲のようでした)してました。なおそれをやった番組はTopGearだったりします。イギリス軍もノリノリですね…
自衛隊ではないでしょうね。(やられても困りますが)この間の大洗で吹奏楽でアニメのOPテーマを演奏していたというのはありますけど。
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エリア88 (昭南島太郎)
2015-07-14 14:31:59
スカイホークのあとにコルセアが登場した時点で思わずエリア88の主人公風間真とグレッグを思い出してしまいました(かなりのオタクかも)。
スカイホークはかつて昭南島空軍の主力機でもあったようで、近所の空軍基地に隣接する空軍博物館に実機が展示してあります。
事務所のトイレから着陸するタイガー、ファルコンやハーキュリーをよく見ます。
いつもとは違う時間に戦闘機がグルグル(なにせ狭い国土なので)周ってると、また隣国馬来西とひともんちゃくやったか、とか勘ぐってしまいます(笑)。

そう言えば安保法制論議では母校の学長が公聴会に出てましたね(笑)。昨年10月にお会いしたばかりですが、年は3つしか変らない。旧知の先輩は「あいつ」呼ばわりですが、サークルOBOGからは彼の主張に賛否両論噴出してました(笑)。

昭南島太郎
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皆様 (エリス中尉)
2015-07-14 21:28:54
ハーロック三世さん
アシアナの事故、全くその後どうなったのか続報がないですね。
パイロットは名前さえ公表されずさっさと国に帰ってしまったそうですが、
アメリカでの事故に比べ、あまりにも日本がバカにされているといった感があります。
もっともアメリカの事故でも責任を逃れるために色々とやっていましたが。
PAPIを見落とす・・・いつもそうやっておりているんでしょうか。
だとしたらそれはそれですごいですけど、ありえませんよね。

雷蔵さん
ここでモスボールされているのがどんな種類の船だったか、
どこかで見たのですが資料を紛失してしまいまして・・。
ただ、ここに留め置かれている戦闘艦はこの「ホーネット」だけなので、
モスボールが特別になされた輸送艦かもしれません。
この夏、もう一度行ってみるつもりですが、
ただ、わたしが見てもそもそもモスボールかどうかわからないからなあ・・。

沖縄の反対派、もはや獅子身中の虫を通り越して外敵化してますよね。
だいたい肝心の首長が露骨に親中反米のあれだし。
アメリカに行って基地反対を訴えるなんて、さすがは中国様の下僕って感じ?

佳太郎さん
壊れはしませんが、不思議なことに思ったほど飛ばないそうです(笑)

昭南島太郎さん
昭南島空軍はタイガー運用してるんですか。F-20じゃなくてF-5のほうですね。
あれ、かなり古くなかったですか。
まあ、空自もいまだにファントムが現役でアメリカには驚かれていますけど。

安保法制会議に出た村田学長ですか。

学長の「憲法学者の意見だけでなく、安全保障の専門家の意見を聞け!」
というご意見には、もやもやしていた部分がすっきりしたような気がしました。


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F-5です (昭南島太郎)
2015-07-14 22:26:38
古い機体を使ってますね、でも僕は好きで、早く退役して博物館に展示されないかな。。。なんて思ってます(笑)

はい、村田学長です。私は法律とも政治とも全く関わりない職業ですが、よく考えたら(考えなくても)同じ学部出身でした(汗)
実は個人的にはあのファッションセンスの方に目がいってしまいました(笑)

昭南島太郎
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