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「出港準備、艦内閉鎖」~空母「ホーネット」艦橋ツァー

2015-07-12 | 軍艦

空母「ホーネット」艦橋ツァー、航海ブリッジについてまたお話しします。
というのも(笑)、この夏空母「イントレピッド」を観てそのご報告をしたいのですが、

こちらを終わらせないことには記憶が混乱してしまいそうですので・・。

 

伝声管のように見えるけどなんだろう、と画像検索をしてみたら、
戦艦「ミズーリ」の伝声管がこれと全く同じ形をしていました。
というわけでこれは伝声管なのですが、この原始的な仕組みの伝声管、
現代の護衛艦にも使われているらしいですね。

金属の管というのはその中を声が通るときにも空気振動エネルギーが減衰しないので、
確実に声を遠く離れた場所にしかもピンポイントで送ることができます。
電源が喪失したときも伝声管が破壊されない限り伝達方法は失われることはありません。

後ろ側の窓も、伝声管も、荒天のとき、そしておそらく合戦のときには閉められたのでしょう。



アクリルでカバーされていますが、昔はこのボードに直接チョークで書き込んだらしい。



前回のエントリでofficer of the deckにまつわる用語の自衛隊との相関関係について、
裏でこっそり雷蔵さんに確かめたというくらいの素人ですので、
こういうボードの意味も全くわからないのですが、インターネットを探しに探して
やっとのことで「米海軍軍事用語辞典」 というのを見つけ出したので、
たとえば「VS」を引いてみますと、

sector single-unit; sector search; visual signal;  vital signs 

意味がたくさんありすぎてわからないっつの。
状況からして「セクターサーチ」かな。
その次のHS というのも、

helicopter antisubmarine squadron (USN); high speed; homing single-unit; 
homeland security; horizon search; hydraulic oil, steering system 

うーん、「ホリゾンサーチ?」


SAU

squad automatic weapon (USMC)

という意味しかないので、さらにわからなくなってくるわけですが(笑)

SSK

diesel-electric propulsion attack submarine (ディーゼルエレクトリック式攻撃潜水艦)

VP

patrol squadron (USN); vapor pressure; voice privacy 

蒸気圧もボイスプライバシーも関係ないと思うので、これは哨戒部隊・・ときて、
ようやくここでこのボードには、甲板士官が引き継ぎのときに申し送りをする事項が
書かれているらしいことに気づくわけです。やれやれ。

ということはここは Combat Information Center (CIC)というわけですね!

ちなみに、BRGはもちろんブリッジ、RNGはレンジ、Prはおそらくですが、

aircrew survival equipmentman 

航空員のサバイバルエキップメント=パラシュートを整備する係?




さらに拡大。
「Z」「X」「Y」「V」「S」などの文字は、確か



さっきの部屋の片隅にこのような説明がありました。
極限まで拡大して字が小さくて見えないので判然としないのですが、
自衛隊と同じ艦内の閉鎖標識が表になっています。

自衛艦が出港する前に「出港準備、艦内閉鎖」の号令が発せられます。
自衛艦は停泊時、艦内通路の扉をオープン状態にしていますが、
出港時には一部の扉を除き大部分の扉は閉鎖されます。

出港後に予測されるあらゆる事態に対応するため、艦内扉やハッチは
所定の役割にしたがって閉鎖あるいは開放が行なわれるのです。

扉だけでなく、艦内のパイプや通風管などに付属するバルブや蓋などにも決まりがあります。

この表はそれらの閉鎖標識です。

閉鎖標識は文字、色、大きさ,さらに取付ける位置まで細かく規定されており、
この規定にしたがって建造中の新造艦では艤装員長(艦長)が閉鎖標識を選定するのだそうです。
簡単に意味を説明しておきましょうか(せっかく調べたことでもあるし) 

X=航海中、停泊中を問わず閉鎖または停止すべきもの

Y=航海中および停泊中の保安警戒上必要とする場合に閉鎖または停止すべきもの

Z=戦闘中または保安上必要とする場合、閉鎖または 停止すべきもの

W=応急作業上必要な場合または総員離艦の場合以外は、航海中、停泊中を問わず開放または運転すべきもの


表の下部分にある文字をまたは D のサークルで 囲んだ標識は、

基本的にもとの標識と同じ意味ですが、ある条件によっては内容が変更されることを意味します。

Wをで囲った記号 CBR(化 学・生物・放射能)防御が発令された時に閉鎖または停止すべきもの

ZをDの文字で囲った記号  灯火管制時に閉鎖するもの

という具合に。




手元ランプも備え付けで動揺にも影響がないようになっています。
映画「パールハーバー」の旗艦赤城艦上では、艦橋の司令室に直径20センチのうちわみたいな
(土台の方が小さい)集音マイクとか、デスクの上に民芸調の小ダンスがありましたが、
映画スタッフは同じ時代の自分とこの空母を少しは参考にしていただきたかったと思います。

デスクの前にあるパネルの写真は「secondary conn」、第二操舵室とあります。
今回ここを見る前にわたしはツァーを抜けて帰ってしまったのですが。



戦闘の際かぶるヘルメット置き場ですが、どう見ても年代物。
マリアナ沖海戦の時にもこれが使われていた?



甲板の一階上レベルまで降りてきました。
舷側にはまるでオルガンのような形のボックスがありますが、
かつて何かの武器が収納あるいは搭載されていた跡でしょうか。

甲板の向こうには不思議な形の船が見えていますが、これはもしかしたら
モスボール化された古い海軍の艦船かもしれません。
(この岸壁はモスボール保存された船が繋留されていると聞いたもので)



大きなデスクがあるのでチャートルームかな?




このレベルのデッキに出ました。
小さい女の子の背丈では外を見ることもできません。
ところでこの右上のこれ、



これだけを識者に見せて何かと聞いたところ「周りの写真を見て見ないとなんとも」と言われ、
送ったのがこれ。↓



艦橋トップなので、発光信号灯ではないかとのことです。
多分部品がだいぶ欠落して一目ではわからない形になってしまっているような・・。

一番右のお茶の水博士が艦橋ツァーの解説の元「ホーネット」乗組員、
その左の人はこういうところで見るアメリカ人には珍しく一眼レフ持ちでした。

解説員はこのデッキの説明をしたので当然上の機器についても触れたはずですが、
1年半経った今、まったく記憶に残っておりません。



ここアラメダの港からはちょうどサンフランシスコのダウンタウンのビル街、
そこから対岸に続くベイブリッジがすぐそこに見えています。

サンフランシスコに住んでいた時にはこんな近くにかつて日本と戦った空母があるとは
夢にも思っていませんでした。
そのころは取り立てて軍事関係、船や飛行機に興味を持っていたわけではないので、
もし知っていたとしても見に来たかどうかは疑問ですが、
逆にそのころのわたしが将来自分の住んでいるところの近くに博物館となっている
大戦時の空母を見たことを嬉々として書き綴っている将来を知ったとしたら、
さぞかし驚愕するであろうと思われます><


 



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5 Comments

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不思議な形の船 (お節介船屋)
2015-07-12 20:19:00
ファンネルマークから米海軍軍事海上輸送部隊(MSC:Military Sealift Command)所属の補助艦です。
デイゴガルシア島等前方展開する車両貨物輸送艦の1種と思いますが、アルゴン級、ワトソン級等が現在ありますが、クレーンではなくデリックを装備しており、12~3年前までの雑誌「世界の艦船」を調べましたが、該当する船型がありませんでした。
だいたい船尾甲板はヘリコプター甲板にしますが当該船はなっていないのでもっと古い車両輸送船かもしれません。

軍事海上輸送部隊所属の洋上補給艦及び各種補助艦船は民間人が運行し、補給用のヘリコプターを搭載している場合はヘリのみ海軍軍人が運用します。

何れも艦種記号の頭にT-を付けて海軍艦艇とは区別されています。
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伝声管 (佳太郎)
2015-07-12 23:02:51
今の護衛艦にもあるのですね。護衛艦を見る機会があったら見てみたいですね。
伝声管と言えば軽巡天龍がソロモン海戦に参加した時、主砲の発射か何かで伝声管のサビが落ちて使用不能になったとか言う話をどこかで見ました。老朽艦だったためみたいですね。

しかしアメリカ人って一眼レフを使わないんですか。コンパクトカメラで済ましてしまうんですかね?
最近だと日本に来る中国人は結構ライカをぶら下げているとか。そのせいかライカの中古価格が上昇しているようですね。ある店では棚にあるライカをほとんど買って行ったとか…まあ日本人がどうこう言える事ではないですが…バブル時代アメリカでまったく同じことを日本人がしたそうです。
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状況表示盤 (雷蔵)
2015-07-13 05:46:43
米軍のStatus Boardを自衛隊では状況表示盤と呼んでいました。当直交代時の引き継ぎに現在の状況を記すためのもので、本艦は対潜空母(CVS)であったことをうかがわせます。

米軍の略号はいい加減でテキトーなところがあります。航空機(固定翼機)は「V」ですが、これは飛行機を前から見たカッコを表しています。ちなみに回転翼機(ヘリコプター)は「V」の字の真ん中に「T」(回転翼)を組み合わせたシンボルで、海上自衛隊も同じ書き方です。

固定翼対潜哨戒機(陸上)部隊は「VP」、艦載対潜哨戒機部隊は「VS」、回転翼哨戒機部隊(陸上、艦載共)は「HS」になります。厚木の第3航空隊(P-3C・P-1)は米軍表記だと「VP-3」館山の第21航空隊(SH-60)は「HS-21」になります。辞典で調べてもそこまで書いてはいないかもしれません。

映画「ファイナルカウントダウン」に出て来る、日本ではアニメ「マクロス」のモデルになったドクロマークの「Jolly Rogers」はVF-84(第84戦闘機航空隊)です。

部隊名で奇数番号は太平洋配備(例:第7艦隊)で、偶数番号は大西洋配備(地中海・第6艦隊)です。これは海兵隊も同じでアメリカ西海岸の海兵遠征軍(海兵師団)は1st Marine Expeditionary Force。沖縄にいるのは3rd MEF(第3海兵遠征軍)です。

VS、HS、VPは上記の通りで、SAUはSearch Attack Unitです。この頃はHunter Killerと言って、対潜捜索専門の部隊(VS、HSやVP等の航空隊:速度が速いので広域捜索が出来るが、滞空時間が限られるので、持続的に攻撃出来ない)と攻撃専門の部隊(長時間、現場に留まることが出来る艦艇)に分かれていました。どの航空隊が支援に来ているのか、どの船がSAUに派出されて、空母の護衛から離れて行動しているのか等を表示盤に記したのでしょう。

BRGはBearing(方位)、RNGはRange(距離)で空母から見たHunter Killer部隊の位置を表します。
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オルガンのような形のボックス (お節介船屋)
2015-07-13 13:12:22
旗箱では?
アルファベット、数字旗を入れるボックスと思いますが、商船は持っている旗は少ないのでブリッジの中に区分けした棚のような箱ですが。

海自OBさん 旗は多くあり、両舷に2組ずつあるので大きな箱がいるのでは。
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信号旗格納箱 (雷蔵)
2015-07-13 17:19:29
おっしゃる通り、写真の箱は信号機格納箱と思います。

部隊行動に関わる連絡は、正確を期し、記録に残すため、電信員がタイピングするテレタイプで送りますが、方向や速力の変更は、マイクで伝えるだけで信号員が上げてくれる信号旗(旗流信号)で送ります。

マスト両舷に揚旗線(各舷三本)があり、艦橋後部に左右一つずつ信号旗の格納箱があります。写真を見る限り、大きさは自衛隊のものとほぼ同じに見えます。信号旗の枚数は同じなので当然そうなりますね!

信号旗の使い方ですが、旗艦が各艦に命ずる信号を揚げます。例えば「右90度一斉回頭」なら「Turn Starboard 9」で「Turn」「Starboard」「9」がそれぞれ旗一枚になり、この三枚を箱から取り出して繋げ、一つの揚旗線に揚げます。

後続の船は常に旗艦のマストに注目し、旗艦に信号旗が揚がったら、同じ信号を揚げます。揚げたことが了解を示します。全艦に揚がったことを旗艦が確認し、旗艦がその信号旗を降ろした瞬間に発動となります。(だから、旗艦と言います)

ミッドウェイ海戦での最上と三隈の衝突は、信号の見誤り(夜間なので発光信号)によるものです。単縦陣で「右90度一斉回頭」が発動になって、途中の船が回頭しなければ、後続の船はつんのめって、前の船に衝突します。

海軍では知りませんが、自衛隊は単縦陣では500ヤード間隔です。一戦速18ノット(時速33キロ)だと秒速10ヤード(9m)、500ヤード(450m)は50秒で進む距離です。

長さ100mを超える艦艇は、舵を取り出してから、実際に頭を振り出すまで1分程かかります。前の船の動きに気付かず直進したら、一戦速なら1分で衝突します。危ないと思って、緊急回避しようと思っても、自分の船も似たり寄ったりの運動性なので、おそらく回避出来ません。

最上と三隈の衝突は、敵潜を回避するために緊急一斉回頭を下令した際に起こっていますが、このように信号旗は緊急時に使うので、信号員は「指示された旗流信号を出来るだけ早く正確に揚げる」ことが求められます。そのため、自衛隊では「早揚げ競争」をし、競い合います。

全く別の話題ですが、面白いものがありました。iPhoneの方はどうでしょう(笑)

http://mixturescape.jp/%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%AF%8D%E8%89%A6iPhone%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA.html
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