岡本りょういち の活動日誌(京田辺市議会議員)

◇命とくらしが大切にされる市政を◇

すべての小学校給食調理を民間委託にする補正予算に反対

2022年12月25日 | 活動
 12月議会に提案された2022年度一般会計補正予算第6号には、田辺小学校の給食調理を民間委託とする予算措置が盛り込まれました。
 現在、京田辺市では9小学校の内、田辺小と薪小の2小学校の給食調理は市直営の自校方式で提供されていますが、教育委員会は23、24年度の2年をかけて、この2つの小学校の給食調理も民間委託することを打ち出し、市内全小学校の給食調理を民間委託にしようとしています。
 この補正予算に対し、私(岡本亮一議員)が反対討論(以下全文)に立ち、小学校給食調理の民間委託が導入された時には保護者などから5千人以上の反対署名が議会に提出されたことを改めて示し、給食調理の民間委託の問題点を指摘しました。  
採決では、反対は日本共産党、女性議員の会、無会派議員、にとどまり賛成多数で可決されました。

【反対討論:全文】
 2010年度に開始された民間委託ですが、導入の際には民間委託に反対する請願署名5059筆が議会に提出されるなど、これまで市民の大きな反対を押し切って進められてきました。
 民間委託以前の学校給食では、九つの小学校に27名の正職調理員のもとで市が直接責任を持って給食を提供し、心あたたかい給食が行われてきましたが、現在では田辺小学校と薪小学校の2校で、正職調理員がわずか3名となりました。そして、市は2024年度にすべての小学校において、学校給食調理業務を民間委託するとしています。

 市は、民間委託のメリットとして、「調理業務にかかる経費を縮減できる」としています。そのことについて、補正予算審査で「その財政効果」を尋ねると、市は「単年度で数百万円の財政的なメリットがあった」と答弁されました。しかし、そのしわ寄せがどこにされたのでしょうか。
 民間委託している調理員と、本市の正規調理員との労働条件を比較すると雇用の不安定や社会保険の負担など、開きがあると思います。つまり、本市がいう「財政負担の軽減」とは、本市や周辺市町に住みながら、給食調理を行ってくれていた方の犠牲によって、毎年生み出されているものであり、決してメリットではありません。

 そもそも民間委託とは、自治体と業者で契約を交わせば、後は業者の指揮監督者がみずから雇用する従業員に指示をして仕事を完了させる制度ですが、学校給食における調理業務において、いくら安全ですぐれた食材や豊かな献立があっても、調理がしっかりしなければ豊かで安全な学校給食はできません。その調理を行う学校調理員には、高い専門性と豊かな経験、熟練が必要です。そして、何より調理業務には、学校栄養士と調理員のチームワークとコミュニケーションが不可欠であります。

 この間、調理業務を民間企業にゆだねてきましたが、当然企業は利益確保が必要となります。この利益を確保しようとすれば、たくさんの委託料をもらう、また人件費、物件費、諸経費を削るなど行う必要があります。
 その結果、経験の浅い安上がりの調理員が料理業務を行うことになり、雇用体系の違う人たちが混じり、職場内のチームワークやコミュニケーションがとれず、給食の内容も低下することが懸念されます。

 市が提出された民間委託の説明資料では、直営校における運営上の課題と、給食調理業務の民間委託のメリットが記載されています。そのことについて、補正予算審査では「2017年3月、宇治市では学校給食の調理業務を民間委託している業者が破産し、緊急に新たな業者選定をするために現行契約額を30%以上引き上げた事例を示し、そういうリスクもデメリットだと考えないのか」と質疑しましたが、市は「倒産リスクの少ない優れた事業者を選定していく」との答弁であり、民間委託にはデメリットが一切ないという態度に終始しました。
民間委託ありきで、委託業者の実態や民間委託によるデメリットの検証もなく、一方的に民間委託を進めることは問題であります。

 次に、学校調理業務の民間委託契約についてでありますが、市は請負契約であると言われています。請負業務を行うには、次の2点の要件を満たす必要があります。
 1点目は、労務管理上の独立性として、受託業者が自己の雇用する労働者をみずから指揮命令する。
 2点目は、事業経営上の独立性として、受託業者が自己の請負業務において注文事業主から独立して処理する。となっています。つまり、市の栄養士が調理現場に入り、派遣されている調理員に直接指示することは偽装請負となりできません。

 そもそも学校給食とは教育の一環であり、子どもの成長・発達は本市の地域社会の将来の根幹に大きくかかわる問題であります。公教育の学校現場において営利を目的とする民間企業が参入し、法的な問題でも市の栄養士が企業に雇われている調理員と直接かかわりが持てないことや、調理員が安定しないことなど、安心・安全な学校給食を提供する上でも問題があると言わざるを得ません。
学校給食調理員が専門性を持ち、多くの経験を蓄積することが大切であり、継続して安心して働けるための労働条件の整備、また調理業務については集団労働であることからチームワークや職場の協力体制を進める上でも均等待遇の確立が必要です。
 調理業務だけを外部委託することは、豊かな学校教育と食育の発展にはつながりません。教育委員会が責任を持って、安全でおいしい給食を子どもたちに提供するために、全ての小学校で、給食調理の自校直営方式を実施することを求めて、反対討論とします。
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