2月5・6日、長野県大町市へ自然エネルギー(小水力発電)の
取組について行政視察に行きました。
大町市は、人口3万人、面積564平方キロメートル。
長野県の北西部に位置します。
町川発電所(小水力発電)の運転開始までに至る背景として、
地球温暖化防止対策でCO2を削減することは、国・自治体・個人に
至るまで共通の課題となっていました。
このような中、大町市では平成17年2月に「大町市地域新エネルギービジョン」を
策定し、新エネルギーの利用検討を広範囲に進めてきました。
平成19年4月にRPS法の改正に伴い、1000kw以下の全ての水力発電が、
新エネルギー産業技術総合開発機構の補助事業(市地域新エネルギービジョン等
導入促進事業)の対象となったことから、平成20年~21年度に本事業を導入して、
町川発電所を建設し、大町市における新エネルギー利用の促進を図ることになりました。
設備導入事業の内訳は、地域新エネルギー等導入促進事業補助50%、
合併特例債47・5%、単独事業費2・5%、合計1億5900万円で本工事を実施。
22年4月に運転開始となりました。
有効落差が16メートルで、出力は最大140kw。導入にあたり苦労した点では、
町川用水路は、1級河川高瀬川から取水し、大町市をはじめ3市町村にわたり1112㌶を
かんがいする基幹農業用水路で、発電の水利権を取得するには、既存施設の利水者、
水利権者、管理者等多くの関係団体等の承諾が必要であり、事前協議等に約3年間も
時間を要したと話されていました。
事業効果としては、今までに利用されていなかった水力エネルギーの有効活用が図られ、
CO2を排出しないクリーンな発電施設であるため、年間100世帯分のCO2抑制が
可能で、地球温暖化防止対策の推進に寄与でき、発電した電力を市の施設で
自家消費することができます。
また、環境・エネルギーの学習の場として、新エネルギー利用の普及・啓発を図ること
ができるとのことでした。
次に、東京電力の大町新堰(しんせぎ)発電所を見学しました。
平成24年5月に運転を開始し、高瀬川系6カ所目の発電所です。
発電所の最大出力は1000kw、有効落差114㍍、年間発生電力量
約610万kw(一般家庭の約1700世帯分)大町新堰発電所は、
既存の農業用水路にあった遊休落差を有効活用して発電を行っていました。
水路の途中には約120㍍の高低差があり、この農業用水路の水を全線管路により
発電所まで導き、水車を回転させて発電させていました。建物内部の発電機内には、
縦軸4射ペルトン水車が設置されており、比較的、落差が大きく水量が少ない発電所に
適しているとのことでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/c6/f60c3b64fede974e89380b767cd7e145.jpg)
【ひさしを見ると傾斜がついているのがわかります】
2日目は、NPO地域づくり工房に行き、川上ミニ水力発電所を見学しました。
この発電所は、川上博さんの自作で水力発電とオール電化を組み合わせることにより、
買電への依存度をおさえていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/07/51/9014769fc8bc7e628881f0faef967a74.jpg)
【川上さん 宅】
敷地内には、自作の変電所と蓄電設備があり、24時間稼働する水力発電は、
300Wの発電でも太陽光発電の3kwに相当し、家庭で使用する電力の
約40%~50%をまかなっていました。
また、水利権の問題では個人の便宜に供する発電は認められませんが、
環境学習に資するものとして許可されていました。
特徴は、落差50㎝で発電ができ、らせん水車で流入物の処理が
行いやすいのが利点です。自宅前の農業用水路に設置していることもあり、
日常の管理もしやすいと話されていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/f3/61fce956869ee750789df93e8d650fa1.jpg)
【らせん水車】
その他、菜の花エコプロジェクト循環サイクルや、注文を受けてから搾る
菜種ヴァージンオイルの商品化など、地域で生かされていない資源を見つけ出し、
持続可能な地域社会を建設する活動を、学ぶことができました。