国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

中国の不動産バブルが崩壊へ

2011年11月02日 | 中国
中国の不動産バブルが弾け始めた様である。モーニングスター社は「急落はない」と報道しているが、この会社は愚かな投資家に損をさせることで儲けている会社なので逆読みした方が良いと思われる。そもそも、都市部では年収の何十倍もの代金でも住宅の土地所有権ではなく数十年間の利用権しか買えないという現状は、中国経済が永遠に急成長を続けるという前提でしか成立しなかった。リーマンショック・欧州金融危機などの世界恐慌で中国は輸出が急減少し今後も減り続けることが予想されている。外需に依存した中国経済は大打撃である。更に、リーマンショック後の国内インフラ投資も鉄道事故後に急停止している。最近の利上げで住宅価格上昇も停止してしまった。内需も今後は期待できない。しかし、中国の不動産バブル破裂の最大の原因は別にある。たとえ外需や内需が頭打ちでも、中国の都市人口が増加を続ける限りは住宅需要は右肩上がりであり、中国の不動産バブルは維持されたはずだ。冒頭のレコードチャイナの記事にあるように、中国では農村の青壮年の大部分が都市に出稼ぎに出ており、農村にはもはや老人と子供しか残っていないという。むろん、現在農村に住んでいる子供たちが今後都市に移住することは期待できるが、それと入れ替わりに定年を迎えた父母が今後農村に戻ることも考えられる。一人っ子政策のため、父母世代よりも子供世代の人数が少ないと想像されるので、新たに都市に出てくる農村出身者の数は多くないと思われる。中国の都市人口の急増は終わり、横ばいないしなだらかな増加状態へと移行し始めたと考えられる。この都市部の人口増加率低下は地価上昇期待を低下させる。もう一つ重要なのは、中国では農村からの出稼ぎという安価な労働力がもはや払底したという事実である。供給が尽きた以上、企業はより高い給与を支払わざるを得ない。中国の人件費は最近上昇し始めているが、今後も上昇を続けることだろう。これは、安価な労働力によって世界の工場として繁栄するという改革開放後の中国のビジネスモデルを崩壊させる。かといって、中国には日本のように技術を蓄積して高値で売れる商品を開発するというスキルは育っていない。この点からも、中国の経済成長は曲がり角に来ている。その結果低成長時代に移行すれば、不動産価格上昇期待が小さくなるのは避けられない。 . . . 本文を読む
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