国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

調査捕鯨問題での日豪間の深刻な対立が意味するものは何か?

2008年01月21日 | 東南アジア・南アジア・オセアニア
オーストラリアにとっては自国の十倍の人口を持つインドネシアは大きな脅威であり、自国に近いインドネシア東部の分離独立を支援することは国防の立場から譲れない政策であっただろう。1997年のアジア金融危機、1998年のスハルト政権崩壊、1999年の東チモール独立はいずれもハワード政権時代に起きており、ハワード政権が国際金融資本に依頼してそれらを実行したのではないかと私は想像している。その後もインドネシアを分裂させたいオーストラリアと、対抗するインドネシア・日本連合の間で対立が継続し、2007年3月にやっと和解に達したのではないかと想像する。そして、その和解によりハワード政権は役目を終えたのだろう。 米英のシーパワーが七つの海を支配していた時代が終わり世界が多極化し始めたことで、韓国やイスラエルと同様にオーストラリアも1990年代に安全保障上の危機に追い込まれた。米国は一万㎞以上、欧州は二万㎞近く離れており、いざというとき助けにならないからだ。その為、オーストラリアは最大の仮想敵国インドネシアを攻撃していたのだと想像する。宣戦布告は行われていないものの、実際に起きたこと(東チモールへのオーストラリア軍展開)は戦争に近いのだ。 では、実際には深刻な対立があったと想像されるハワード首相時代の日豪関係はなぜ表面上良好だったのだろう?それは、日豪間の対立を隠蔽する目的ではないかと私は想像する。対立の存在が公になることは戦略上不味いからだ。そして、日豪間の対立終焉と共に成立したラッド政権では日豪両国は非常に良好な関係にあるが、それを隠蔽するために調査捕鯨問題での対立が演出されているのではないかと私は想像する。 馬鹿げた妄想だと笑う人もいるかもしれない。しかし、現代の世界では派手に報道される対立の多くは友好国間の演出による合作劇(米国とイラン、日本と北朝鮮、冷戦時代の米国とソ連など)であり、真の対立は一見友好にみえる二国間(米国と英国、米国とイスラエル、英国とドイツ、日本と韓国など)に存在することが非常に多い様に思われる。対立の存在、友好関係の存在を隠蔽することは、敵の目をくらませる為に外交戦略上非常に重要になっているのではないかと想像する。 . . . 本文を読む
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