POWERFUL MOMが行く!
多忙な中でも,美味しい物を食べ歩き,料理を工夫し,旅行を楽しむ私の日常を綴ります。
 





 「そんなところに行って、大丈夫なの」
 ずい分何人もの人が同じことを口にした。軍事政権だから。スー・チーさんが軟禁されたままだから。だから、国には緊張が満ち、危険が溢れており、国民はひたすら怯えながら暮らしているのではないか。何かあったら、旅行者などはすぐに身柄を拘束されて、下手をすれば帰れなくなるのではないか ― 多くの人たちが似たような印象を抱いているらしいと知って、私はむしろ、そのことの方が不思議だった。ミャンマーがどこにあるのかもろくに知らないのに。
(2008年文藝春秋刊 乃南アサ著「ミャンマー」より)

 「我が国は、ミャンマーにおける民主化運動の指導者アウン・サン・スー・チー女史が長年にわたり自宅軟禁措置の下におかれていたことに大きな懸念を有しておりましたが、本13日(土曜日)に同措置が解除されたことを一歩前進と受け止めています。ミャンマー政府が、人権状況の改善、民主化及び国民和解の実現に向けて、今後一層の前向きな措置を取ることを期待します。」(2010年11月13日 前原外務大臣談話)



 ビルマ語の文字は、まるで視力検査表の記号(「ランドルト環」、フランスの眼科医エドマンド・ランドルト (Edmund Landolt 1846-1926)が考案したもので、イタリアのナポリで開催された第11回「国際眼科学会(World Ophthalmology Congress)」(2014年の第34回は東京開催)で、国際指標として制定された)が並んでいるかのようです。



 運転免許証の更新時に受ける視力検査を思い出して、「上!」(パの音を表す基本字母)、「下!」(ガの音を表す)、「右!」(ガの音)、「左!」(ビルマ数字「1」(「ティッ」という音))、「左斜め下!」(アの音を表す母音記号)、「開いていません!」(こんなのは視力検査表にありませんね。ワの音)などと叫びたくなります。



 一つの円だけで構成されているかと思うと、上の二つの図形を組み合わせた文字もあります。「上+左斜め下」で「ハ」の音の表す字母、「下+左斜め下」で「カ」の音、「左+左斜め下」で「バ」の音、「真円(欠けていない円)+左斜め下」で「タ」(無気音)」、「真円+真円」で「タ」(有気音)です。



 さらに、左斜め上に開いた円、右斜め下に開いた円もあり、それを組み合わせて、「上+左斜め上」で「ヤ」の音を表す字母、「左+左斜め上」で「“think”の“th”」の音、「右斜め下+左斜め上」で「ラ」です。



 ビルマ語には、有気音と無気音の対立と有声音と無声音の対立があります。「対立」があるとは、それで語が区別されるということです。有声音と無声音の対立で言うならば、「たす(足す)」と「だす(出す)」を日本人の耳は区別でき、それは別の意味を持つのです。文字も「た」と「だ」で異なります。



 しかし、日本語には有気音と無気音の対立がありません。一方で、中国語は有気音と無気音の対立があるのですが、有声音と無声音の対立はありません。そこで、日本人の中国語学習者の多くは、有気音と無気音の対立を有声音と無声音の対立にすり替えて、中国語を覚えようとします。

 それはそれで何とかなるものなのですが、ビルマ語はタイ語と同じように有気音と無気音の対立とともに有声音と無声音の対立があるために、すり替えることができません。その識別を耳にしっかりと覚えさせなくてはなりません。

 有気音は、ラテン文字表記では“h”や“’(アポストロフィ)”で表されます。例えば、“p”の有気音を“ph”や“p’”と表します。ところが、ビルマ語には“think”の“th”の音もあることから、“t”の有気音を表すために“th”を使うことができません。そこで、有気音は、“h”を後ろではなく前につけることで解決している学習書もあります。つまり、“p”の有気音を“hp”とラテン文字表記するのです。

 “t”の有気音を“th”と表現することもできます。そのように表している学習書もあります。話しが横に逸れたので、元に戻して、ビルマ文字の話しを続けます。

 ビルマ語の基本字母は33文字ありますが、ここまでで12文字紹介したことになります。基本字母の中には「眼」の付いたものもあります。円の欠けている位置(上、下、左、右)と眼の付いている位置(上、下、左、右)の組み合わせで作られています。

 「上+上眼」で「バ」の音を表す字母、「上+下眼」で「マ」の音、「上+右眼」で「パ」(有気音)、「下+左眼」でビルマ数字の「8」(シッ)、「右+下眼」で母音「エ」、「左+下眼」で「カ」(有気音)、「真円+下眼」で「ダ」、「真円+左眼」で「サ」です。



 ビルマ文字をどうやって書くかも知りたいところです。漢字の書き順は、正しくなくても、漢字は理解されます。それと同様にビルマ文字も間違った書き順で書いたとしても理解されるでしょう。でも、漢字の書き順と同じように正しい書き順を守れば、文字は美しく見えます。

 ビルマ文字を書くときの原則は、時計回りに円を描くことなのだそうです。真円(欠けていない円)(/w/)は、最下部から描き始めて、時計回りに筆を運び、最下部でつなげます。一部が欠けている円は、上部が欠けている円を除いて(この円は2画になる)、一筆で書くことになります。



 2つの円が組み合わさったものは、左側の円から、上記の規則に従って書き始め、右側の円へと進みます。2つ並ぶ円の左側の円の上部が欠けているものは3画になりますが、残りはすべて2画になります。



 円の中に眼のある字母や記号・数字は、外の円から書き始め、中の眼で終わるのが原則ですが、母音記号の /e/ とビルマ数字の「8」は、1筆で描くために中の眼から書き始めます。また、外の円を書き終わってから、中の眼を書くのが原則なのですが、基本字母 /m/ は、2画で書くために、上の欠けた円はふつうは左半分から書き始めるところを、円の右半分から書き始めます。



 表音文字であるビルマ文字の基本字母33文字のうちの18文字とその書き順を紹介しました。この文字の形に慣れてしまえば、視力検査とは思わず、その表す「音」が頭に浮かびそうです。でも、ビルマ(ミャンマー)に行くときまでに間に合うのでしょうか。少なくとも街中の表記を意味は分からないまでも読みたいものです。住所が読めるのは大いに役立ちます。高い山に登ろうとして、まだその山の麓にも達していない気分です。

 東京都新宿区高田馬場周辺には、「リトル・ヤンゴン」と呼ばれる地域があり、ミャンマー料理店もいくつか存在するそうです。日本最大のミャンマー人コミュニティ(約500人が居住しているという)を形成している「リトル・ヤンゴン」に足を運んで、ミャンマーという国の雰囲気とその文字にそのうちに浸りに行きたいものです。

              (この項 健人のパパ)

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