POWERFUL MOMが行く!
多忙な中でも,美味しい物を食べ歩き,料理を工夫し,旅行を楽しむ私の日常を綴ります。
 





 貧困は犯罪を呼ぶ、これは紛れもない事実です。犯罪を減らすには貧困を改善することです。富の集中をさせないことです。富の再分配を行うことです。しかし、現実には世界に富は偏在しています。

 ルーマニアやブルガリアを中心とする旧東欧に多く定住する「ロマ人」という人たちがいます。ロマ人はインドが起源とされる民族で、その一部はヨーロッパ各地を移動して暮らしています。フランス政府はロマ人に対して自発的に出国に応じた者には1人300ユーロ(約3万3千円)、出身国で店などを出す計画がある者には3600ユーロ(約40万円)を支給し、出国に応じない者は強制送還するそうです。

 ロマ人は欧州では「ジプシー」などと呼ばれ、集団で窃盗などを働く者もいると言われています。「パリの窃盗の5分の1はロマの仕業だ」などとフランスの政権は指摘したようです。ロマ人の強制送還は、犯罪対策・治安維持の意味合いを持っています。欧州連合(EU)は、国境をなくしました。人は自由に移動できます。2007年にルーマニアとブルガリアがEUに加盟しました。EU域内には大きな「東西格差」があります。富は西に多く集まっているのです。ルーマニアとブルガリアからフランスやイタリアなどへ、ロマ人の流入が続いています。「富」が人を惹きつけるのです。

 中国に「盲流」という現象があります。「やみくもに流れ出てくるもの」という意味で、「流れ出てくるもの」は「出稼ぎ労働者」です。経済的に豊かになった中国沿岸部の大都市に、依然と貧困に喘ぐ内陸農村部から流れ込んでいるのです。「盲流」という差別的な響きのある語は、いまは「民工」、「農民工」などの無機的な語に置き換わりましたが、実態は変わりません。この「盲流」の中から職を失って犯罪に走る者も出てきました。都市住民にとって、盲流は不気味な存在であり、差別の対象となります。

 フランスの政権は指摘しています。「パリで過去18か月間、ルーマニア人の犯罪は2.6倍に増えた。」フランス政府のロマ人追放に抗議する人権団体のデモが、9月4日、ベルギーのブリュッセル、ポルトガルのリスボン、フランス各都市などで行われましたが、その参加者はそれほど多くはなかったと言います。西の人たちにとって、差別が自分には及ばないこと、雇用などの経済問題ではないこと、追放が治安維持に貢献するだろうと考えていることなどがデモが小規模だった理由であると考えられます。

 ジプシーは色が浅黒く、独特の雰囲気を持っており、ヨーロッパの人たちには一見して分かると言います(妻がイタリアで聞いた話では「最近、ジプシーも垢抜けて見抜けない場合もあるのよ。」だそうです。)2010年3月にイタリアに行ってきました。妻がローマの「テルミニ駅」で、「フィレンツェ」に移動する切符を買うために自動販売機の前に立っていたところ、健人が「後ろにジプシーがいるよ。」と告げたそうです。そこには洗濯物を持った家族らしい数人がこちらを注視していました。

 妻は健人にイタリアに行く前にジプシーの犯罪の手口を教えておいたそうです。犯行の現場を見られないように、集団で人の壁を作り、また被害者の抵抗をなるべく受けないように覆いとなる袋・衣類などを持っていることが特徴のようです。それを知っていた健人は、1.集団、2.洗濯物、で「狙われた!」と感じ、妻に警告を出したのです。

 二人の感じたことは、誤りであったかも知れません。しかし、妻は確信を持ってこう言います。「あれはジプシーだったわ。私が財布を出すのを待っていたのよ。」妻は息子の手を取って足早にその場を立ち去りました。切符は後日買ったそうです。妻は、旅行先では「性悪説」に立ちます。「まず、疑ってかかるのよ。そうすれば、被害に遭わないで済むわ。」旅行ガイドで、犯罪の手口も読み込んでおく妻には脱帽です。

 私たちは、今回の旅行では犯罪に遭わないで済みました。しかし、妻はオーストラリアでバッグを持ち逃げされ(上の息子「優也」と旅行中)、パリの地下鉄内でカメラを抜き取られ(私と旅行中)、上海の人ごみで携帯電話を掏られる(一人で旅行中)などの被害も経験しています。

 私もサンフランシスコのマクドナルドでいわゆる「ケチャップ強盗」に遭うところでした(未遂で終わった)。知り合い5人で旅行していましたが、座席に座っていたところ、近づいてきた男が連れの一人に「肩にケチャップがついているよ。」と言ってきたのです。

 狙われていたのは私の持っていたバッグ。全員のパスポートが入っていました。注意がその男の指に付いたケチャップに注がれたのですが、私の視界の片隅にこちらを見つめている「メキシコ系」の男が入ったのです。もちろん声をかけてきたのも「メキシコ系」。似ていました。兄弟かも知れません。自分の脇に置いていたバッグを引き寄せ、その男に視線を向けます。

 男二人は何事もなかったように消えました。「どうして肩になんかケチャップをつけてしまったんだろう。」と言う連れに「いまのがケチャップ強盗さ。」「何ですか、それ。」 知識は人を守ります。外務省は、「海外安全ホームページ」を開設しています。その「サンフランシスコ」の項からの抜粋です。

 邦人観光客が特に多く被害に遭っているのは、スリ・置き引き被害です。スリ被害はバス等の交通機関の中で、置き引き被害はホテルやレストラン等での被害が多いようです。混雑した交通機関の中ではバッグ等を体の前に抱える、ホテルやレストラン等の中でも所持品は身につける、体から離さないようにする等の注意が必要です。

 イタリアは、最低限の収入を満たしていない、定住地がないなどの「犯罪に走りやすい」ロマ人をルーマニアなどに国外追放する準備を進めているようです。人種差別はよくないことです。差別する者はいつ立場が逆転して差別される者になるか分かりません。それほど危うい行為なのです。「被害者」になる前に「加害者」にならないことです。「差別」は非難されるべきだという共通理解を作っておくことです。

 しかし、「治安」が維持されることも一つの「価値」です。この問題はどこに落ち着くのでしょう。妻は、2度目の「イタリア家族旅行」をフランスに入ってイタリアに移動するというプランで練っています。美術に興味を持った健人に「ルーブル美術館」を見せてやりたいのだそうです。その意味では、安全な「パリ」は望ましいことです。しかし、窃盗の5分の1がロマ人の仕業だとしても、残りの5分の4は誰の仕業?

               (この項 健人のパパ)


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