POWERFUL MOMが行く!
多忙な中でも,美味しい物を食べ歩き,料理を工夫し,旅行を楽しむ私の日常を綴ります。
 





 友人ではあるのですが、お互いが離れた場所で暮らしているので、滅多に会うことはありません。でも、「便りがないのはよい知らせ」で元気に暮らしてると感じていました。その友人からメールが久しぶりに届きました。そのやり取りが「新型インフルエンザ」で不安を抱えている人のお役に立つのではないかと、本人の承諾を得て、一部修正を加えて、載せることにしました。感染症の専門家ではなく、本やいろいろなサイトで情報を得て、理解した範囲で記述しているので、誤謬を含んでいるかも知れません。大筋で誤りはないと考えてはいるのですが、誤謬があったらご指摘ください。

 健人君のパパさん、こんばんは。お久しぶりです。新型インフルエンザの記事、とても興味深く拝見しております。1つどうしてもお聞きしたいことがあるので、ご質問させて下さい。

 8月21日(「タイのインフルエンザ状況を「対岸の火事」だと考えていたのか」)の記事で、新型インフルにかかると「半永久的に免疫ができる」と書いてありますが、これについてもうちょっと詳しく教えていただければと思います。季節性のインフルだと、去年かかっても今年もワクチンを接種しますよね?新型だとかかったら、来年ワクチン接種はしなくてもいいというのがよくわからないのです。

 どうしてお聞きしたいかというと、私の子どもがA型インフルに罹りました。簡易検査のみなので確定ではないですが、おそらく新型だったと思います。子供がインフルにかかる5日前に、夫が体調を崩し、嘔吐下痢+発熱+関節痛の症状が出ました。正露丸と頭痛薬だけで、すべての症状が1日で治ったので、ただの食あたりでインフルエンザではないと思い、病院へは行かなかったのですが、もしかしたらこれが元凶だったのかもしれません。私もその後、熱はなかったものの、ひどい頭痛がしていました。

 家族3人ともかかったのか、子どもだけだったのか、真相はわかりませんが、子どもがかかったことはほぼ間違いないので、来年以降もワクチン接種しないで乗り切れるんだったら、かかったこともまあよかったかなと思ってます。ということで、半永久的に免疫ができる、というのがよくわからないので、どういうことか教えていただけると嬉しいです。


 こんにちは。お久しぶりです。元気にお暮らしですか。

 インフルエンザに自然感染すると、体内に免疫(抗体)ができます。この抗体は同じ型やそれに類似したウイルスが侵入したときには、その増殖を妨げます。例えば、新型インフルエンザに感染したのであれば、来年に新型インフルエンザウイルスに接触したとしても、抗体がそのウイルスを無害に近いものにしてしまいます。
(注) 抗体とは、特定の抗原に結合する機能を持った糖タンパク分子です。例えば、体内に侵入してきたウイルスを「抗原」として認識し、結合します。ウイルスは抗体に結合されてしまうと白血球やマクロファージといった食細胞に食べられてしまうのです。こう喩えればいいでしょう。侵入したウイルスは、マクロファージなどの食細胞には、見えない存在です。見えないのですから、どんどん増殖して細胞を破壊しても食細胞の攻撃は受けません。ところが、侵入したウイルスを認識する抗体が存在する場合は、その抗体がウイルスに引っ付きます。抗原(ウイルス)と抗体が結合すると、凝集反応をおこし、その凝集した抗原抗体複合体は、マクロファージなどの食細胞に見えるようになります。食細胞が認識できるようになると見つけ次第食べてしまいます。こうして、ウイルスの増殖は抑えられ、細胞の破壊は修復可能な部分的なレベルで留まります。ちなみに、抗インフルエンザウイルス薬のタミフルなどは、ウイルスの増殖を阻害する薬です。ゆえに、増殖してしまってからでは効力を発揮できません。ワクチンは体内にウイルス(抗原)を人為的に侵入させて(発病させては困るので、弱毒化したり、無毒化しておく)、ウイルスを認識できる抗体を作り出すのです。体内にあるリンパ球の中のB細胞は、抗原であるウイルスを見て、自分の遺伝子をあれこれと組み替え、そのウイルスを認識できる抗体を作り出します。この抗体、性能が優秀なのか、ウイルスの構造がほぼ同じものにしか反応できません。喩えるならば、女の子の顔が同じでも髪型が違うと別の人物だと認識してしまい、近寄って行きません。ファジーな認識性能は持っていないのです。(注終わり)
ウイルスは鼻腔内の粘膜に取り付いて増殖し、体内へと入っていきます。ある学説によれば、自然感染によってできる抗体は、この鼻腔内の粘膜にも常駐し、インフルエンザウイルスの侵入を防ぐのだといいます。インフルエンザウイルスに毎年触れることで、抗体はリフレッシュされ、いつでも出動態勢になります。免疫は永久に近いものになります。

 それに対して、ワクチンによって形成される抗体は鼻腔内の粘膜に常駐するということはないようです。非常に感度の悪い抗体で、ウイルスがある程度、身体の中で増殖しないと反応しないようです。そして、寿命が短い。無害化したウイルスを体内に注射することで人工的に作り出した脆弱な抗体なのです。6か月ほどで消えてしまうのだそうです。だから、同じ型だとしても、毎年無害化したウイルスを注射して、体内に抗体を作らせなくてはなりません(ただし、「全粒子型ワクチン」と「スプリット型ワクチン」ではできる抗体の能力に大きな差がある)。

 もし、新型インフルエンザに家族そろって感染して治癒したのなら、それは喜ぶべきことです。10月半ばには悲惨な状況が待ち受けているといってよいでしょう。医療体制が崩壊している可能性が高いのです。ただこの時期には、他の病気や怪我に気をつけるべきです。病院が機能していないこともありうるのです。最悪のシナリオでお答えしてみました。

 こんばんは。丁寧なお返事をいただき、ありがとうございます。とてもわかりやすく教えていただいたので、私にも理解できました。

 新型についてはわかったのですが、もう1点教えて下さい。従来の型は過去にかかっているのに、毎年予防接種を受けるのはどうしてなのか、どうして新型同様にならないのかがわかりません。間に予防接種を受けてしまっているから???何度もゴメンなさい。教えて下さい。

 子どもがかかった時点で、私は絶対にうつると思ったのですが「これはインフルだ」という絶対的な症状が出なかったのです。子どもがインフルエンザの期間はひどい頭痛がしていましたが、熱はありませんでした。私がかかったのかはいまだ謎です。どうせならかかってしまった方がいいと思って、同じベッドで寝て、同じタオルを使っていたのですけどね。

 これから新学期、本当に恐ろしいことになりそうです。うちの子はもううつらないけど、学級閉鎖などで学校へ行けなくなったら、また仕事を休まなければならないのが困ります。


 おはようございます。

 「新型」というのは、いままでの「抗体」では対処できない「ウイルス」だからです。ウイルス自体が「ぼくは新型だ」と名乗るわけではありません。人類が獲得した数々の「抗体」(個人によって異なる)のどれも対応できないウイルスを「新型」と名付けるのです。

 インフルエンザウイルスは、自己複製の働きが完全ではなく、自分と同じものを複製しようとして、すこし異なるものを作ってしまいます。今回の「新型インフルエンザウイルス」も少しずつ異なり、患者から取り出されたウイルスには「ピッツバーグ/67/2009」などと名前が付きます。これは2009年のピッツバーグで67番目に分離されたインフルエンザウイルスと言う意味になります。

 自然感染によって獲得した免疫(抗体)もある程度の「変異」には対応できますが、大きく変異したものには対応しません(できません)。過去にインフルエンザに感染していたとしても、それは例えば「上海/309/2005」というウイルスかその亜種に対しての免疫であって、「ブリスベン/23/2007」には異物の侵入として反応できないことがあるのです。

 従来の「季節性インフルエンザ」にもいろいろな型があります。今回の季節性インフルエンザのワクチンは、 A型の「ブリスベン/59/2007(H1N1)」と「ウルグアイ/716/2007(H3N2) 」とB型の「ブリスベン/60/2008」が流行するとの予測で、作られています。もし、あなたが過去に罹ったインフルエンザが「ブリスベン/59/2007(H1N1)」かその亜種であったならば、「季節性インフルエンザ」のワクチンを接種しなくても、インフルエンザに罹ることはありません(ただし、この型かこの亜種)。

 お子さんが「新型」に感染していたとすると、この「新型」やその亜種には罹りませんが、大きく変異した「新型」や従来の「季節性」には感染します。「季節性インフルエンザ」のワクチン接種は受けてください。今年の「季節性」のA型のワクチンは去年の型と変わりません。しかし、「ワクチン」によって獲得した免疫は、6か月程度しか持ちません。自然感染によって獲得したものと異なり、寿命が短いのです。だから、再度接種する必要があるのです。

 重症化しない健康な身体を持っているのなら、予防接種を受けずに毎年インフルエンザに感染する方がいろいろな型のインフルエンザに対応できる「永久的な」免疫を獲得できて、望ましいとする人たちもいます。ただ、この考え方は「ハイリスク群」に人たちには受け入れられないでしょう。免疫を獲得する過程で他の人に感染させる可能性があるからです。

 私たちは、「ハイリスク群」でも、「幼児、学童、学生」でも、「医療従事者」でもありません。優先的にワクチン接種を受けられるわけではありません。できれば、早いうちに(医療が崩壊する時期以前)に「新型」に感染した方がいいのではと考える毎日です。

 健人君のパパさん、こんばんは。ご回答ありがとうございます。ものすごくわかりやすくて、感動しました。納得です。

 インフルエンザは、Aの香港型、ソ連型とBの3種類だと思っていました。いろいろあるのですね。驚きました。新型に感染しても我が家のように特に問題なければ、心配することはないのですが、何か持病を抱えていたりすると不安ですよね。我が家は他の病気にかからないように気をつけます。


 おはようございます。

 ウイルスなどに感染しても、感染を表す症状の出ない場合もあります。インフルエンザに感染しても、発熱などの症状を現さない場合があるのです。つまり、顕著な症状が出ないのに、インフルエンザに感染していたこともあるのです。これを「不顕性感染」といいます。配偶者や子どもに感染が確認されて、自分もわずかに頭痛を感じた場合に感染していた可能性はあります。この場合、当然免疫を獲得しているわけです。

 ただ気をつけなければならないのは、このような場合、本人は発病しないのに他人に感染を広げることがありうるのです。発病すると、治療のため安静にして外出しないなど、他人との接触が限定されますが、不顕性感染の場合は他人との接触は従来と同じで、「キャリア」と呼ばれます。もし、同様の状況が生じた場合は、不顕性感染の可能性も意識して、他人との接触を減らす努力をしてください。また、マスクの着用も心がけてください。親類縁者など、周辺に「ハイリスク群」がいる場合、特に注意が必要です。

 不顕性感染であった場合、これから迎えるであろう新型インフルエンザの流行期に大きな不安を抱く必要はなくなりました。しかし、学級閉鎖、学年閉鎖、休校などの事態は確実に生じますから、免疫を獲得していても、大変なことに変わりはありません。個人では対処できないことも生じます。リスク管理で、休校などになった場合にどのようにして仕事を維持するかを考えておく必要があります。例えば、親御さんに子どもを預けるなどの予行練習もしておく必要がありそうです。

 こんばんは。

「家族が感染した場合うつる可能性が高く、また他人にうつすかもしれないので、外出は避けなさい」と言われ、家族3人、しばらく家に閉じこもっていました。ただ子どもが熱を出した前日、夫の実家へ行ったので、義両親にうつしていないかヒヤヒヤでしたが無事でした。

 不顕性感染というのがあるのですね。表立って症状が出なくても、感染していれば免疫を獲得する、私がこれに当てはまっていればいいのですが。

 今後起こりうる学級閉鎖等が、今、私が一番頭を悩ませていることです。子供は祖父母宅へ行くことをとても喜び、一人ででも大丈夫ですが、受け入れ態勢が整うかどうか。まあ、インフル感染源にはならないので、手が空いていればになると思います。


          (この項 健人のパパ)

(追記)

 2009年9月9日配信の時事通信からです。

 大阪府は9月9日、新型インフルエンザに感染した同府四条畷市の男性会社員(45)が同日死亡したと発表した。府健康医療部によると、男性に持病はなく、死因は不明。新型インフルとの因果関係も特定できていないという。新型インフルに感染したか感染の疑いのある人の死亡は国内で12人目。
 府によると、男性は3日にのどの痛みを訴え、5日に37.3度の発熱があった。7日も37.2度の発熱があったため医療機関を受診。簡易検査でA型陽性と診断され、タミフルを投与されて自宅療養し、8日には平熱に下がった。
 9日朝も症状はなく平熱だったが、午前11時すぎ、自宅で意識不明で倒れているのを家族が発見、病院に搬送されたが正午すぎに死亡が確認された。同日午後の遺伝子検査(PCR)の結果、新型感染が判明した。
 

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