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 平成22年度の新型インフルエンザワクチン接種事業が今年10月1日から来年3月31日までの期間で行われています。平成21年度の新型インフルエンザワクチン接種事業では、一時期、新型インフルエンザに罹ったときに重症になる可能性が高い人などが優先的にワクチンを接種できることになっていましたが、今年度は、優先順位というものはなく、希望すればいつでも接種を受けられます。

 インフルエンザウイルスは、ヒトの体の中に入って、細胞内で増えます(「感染」)。やがて、数日後に熱が出たり、のどが痛くなったりするインフルエンザの症状が現れます(「発症」)。「感染」したら必ず「発症」するわけではなく、症状が出ないまま済んでしまう「不顕性感染」で終わる人もいます。インフルエンザワクチンには、この発症を「ある程度」抑える効果があると言われています。また、発症しても「重症」(肺炎や脳症などの重い合併症が現れる)になることを防ぐのに一定の効果が期待できるとも言われています。

 この説明で行くと、インフルエンザの予防接種は、他の予防接種とは異なり、「感染」を予防するのではなく、「発症」をある程度予防するのであって、少なくとも「重症化」の予防は期待できる、ということになるのでしょうか。

 インフルエンザワクチンの接種で一番の関心事は、副作用(副反応)です。重症化して命を落とすことを防ぐためにワクチン接種を受けて、副作用(副反応)で命を落とすことがあったのでは救われません。しかし、ワクチン接種が死亡原因であるのを完全に否定できない事例があることは事実です。また、ワクチン接種を受けても「発症」する場合が経験的にあることから、その「有効性」を疑う人たちもいます。

 平成21年度の新型インフルエンザワクチン接種事業に基づいて、受託医療機関は国と直接契約を結びました。その際、副反応報告が義務づけられたので、受託医療機関から2,400を超える副反応報告が上がってきました。それを平成22年8月25日に開催された「平成22年度第1回新型インフルエンザ予防接種後副反応検討会」の資料「推定接種者数及び副反応報告頻度について」で見てみましょう。平成21年10月から平成22年6月までの副反応報告です。

 国産のインフルエンザワクチンは、熊本県熊本市にある「財団法人化学及血清療法研究所」、埼玉県北本市の「学校法人北里研究所生物製剤研究所」、大阪府吹田市の「財団法人阪大微生物病研究会」、東京都中央区の「デンカ生研株式会社」の4団体が製造しています。



 この中で、化血研(化学及血清療法研究所)の出荷量が一番多く、SL01~SL16というロットの合計で1272万3千回分、SS01~SS09というロットの合計で687万2千回分、その総計でおよそ1960万回分(すべてが使用されたわけではない。4メーカーで推定接種者数は2,133万5千人)になります。この化血研のワクチンが死亡例(ワクチン接種との関連が否定できないもの、総数で133例)の多くを占めます。81例(SLで80例、SSで1例)が報告されています。

 次に、約1150万回分(HP01~HP11)で34例の微研(阪大微生物病研究会)、約514万回分(S1~S14)で16例のデンカ(デンカ生研)、約797万回分(NB001~NB009、NM001~NM004)で2例の北里(北里研究所生物製剤研究所)と続きます(出荷数の4メーカーの総計は約4420万回分だから、推定接種者数の倍が出荷されていたことになる)。

 34例の微研のワクチンの対10万接種あたり死亡例の発生頻度は0.6、2例の北里の発生頻度はNBシリーズで0.1(NMシリーズでは死亡例はない)、16例のデンカは1.0と高く、80例(SLシリーズ)の化血研の0.9より高い(SSシリーズでは1例で0.1)。

 死亡例の発生は、優先接種者への接種が始まった時期に多く、化血研のワクチンではロットがSL01からSL04までに80例のうちの63例が報告されることになります。デンカは10月9日に出荷が開始されたS1とS2で16例のうちの12例を出しています。微研はHP01(10月19日出荷開始)からHP04(11月24日出荷開始)までで34例のうちの31例でした。

 もし、あなたがインフルエンザ感染で重篤化しやすい健康状態で、ワクチン接種が原因と疑われて亡くなるのを避けるのであれば、前シーズンのデータから見れば、「北里」のインフルエンザワクチンを接種してくれる医療機関を探すのもいいのかも知れません。しかし、そこが「かかりつけ医」でないのであれば、あなたの健康状態を詳しく知らないのだから、それなりのリスクがまた生じるかも知れません。

 秋田県北秋田市の医療法人社団博愛会「鷹巣病院」で、A香港型のインフルエンザの集団感染があり、10月31日から11月5日にかけ入院患者の60歳代~90歳代の男女6人(10月31日に80歳代の男性、11月2日に90歳代男性、60歳代男性、70歳代女性の3人、4日に80歳代の女性、5日に80歳代男性)が死亡しました。記者会見で病院側は「(集団感染の要因としては)精神科の閉鎖病棟であることが考えられる。潜伏期間の患者が食堂に集まり、広がった可能性もある」と述べたそうです。病院では、10月29日までにA香港型を含む混合ワクチン(AH3亜型、AH1pdm、B型ビクトリア系統株)を入院患者全員に接種しており、11月2日以降は、感染者の数人にはタミフルを投与したようです。

 全国約5,000の定点医療機関からインフルエンザの報告を集計している国立感染症研究所によると、今年はこの時期としては2000年(平成12年)以降で3番目に多い患者数となっているそうです。2010年第43週(10月25日~10月31日)のインフルエンザ流行レベルを「国立感染症研究所 感染症情報センター」が発表しています(第44週は11月11日に発表されます)。「注意報」は、今後4週間以内に大きな流行が発生する可能性があるということを意味しています。

 2010年第43週のインフルエンザの定点当たり報告数は0.15(患者報告数728)と2週連続で増加した。都道府県別では北海道(1.06)、沖縄県(1.02)、岐阜県(0.49)、青森県(0.42)、宮崎県(0.36)、宮城県(0.20)、千葉県(0.17)の順となっている。
 警報レベルを超えている保健所地域は認められていないが、注意報レベルのみを超えている保健所地域は第42週に引き続いて北海道において1箇所認められた。
 直近の2010年第38~42週の5週間では、インフルエンザウイルスの検出は、AH3亜型(A香港型)の割合が最も高く、次いでAH1pdm、B型の順である。


 スウェーデンの保健当局は、今年の冬から来年の春にわたって、A香港型(H3N2)のインフルエンザが猛威を振るう恐れがあるので、高齢者や基礎疾患を有している人は、インフルエンザワクチンの接種を急ぐようにと警告しています。ワクチンを接種しても抗体がつくまでには3週間ほどかかるため、高齢者などは早めの接種が望まれるのです。いま、世界各地で最も多く検出されているインフルエンザウイルスはA香港型です。昨年(2009年)に新型(AH1pdm)が流行したため、A香港型の抗体を持っている人が少なくなっていることが理由のようです。

               (この項 健人のパパ)

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