![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/fa/61258251ac9204ca30db2bb8d3aeaeec.png)
湯木貞一氏(1901年5月26日~1997年4月7日)が創業した日本料理の料亭「吉兆」のグループの一つ「船場吉兆」が5月28日、廃業したと発表した。貞一氏の長男が「本吉兆」、長女の婿が「東京吉兆」、次女の婿が「京都吉兆」、三女の婿が「船場吉兆」、四女の婿が「神戸吉兆」を継承していたが、船場吉兆は、牛肉の産地偽装事件などで経営が悪化し、民事再生手続き中であったが、再建を断念した。偽装事件に加え、料理の使い回しが発覚したことで客離れが進み、経営の立て直しは困難と判断した。貞一氏の三女の湯木佐知子社長は記者会見し、「吉兆というのれんを用いて営業することは社会的にも許されない」と改めて謝罪した。代理人の弁護士によると、1月の営業再開後は客足が回復していたが、使い回しの発覚後、売り上げは半分以下に落ち込んだという。
次から次へと不祥事が発覚する有名料亭の廃業のニュースを見ました。利益の追求に走ったからなのでしょうか?落ちるところまで落ちてしまったブランドの姿は、むなしいです。
私は調理師と栄養士の勉強を若い時にしました。私の恩師たちは、普段は話しやすい人でしたが、いざ「調理」となると別人の如くになり、多くの学生はその厳しさについて行けず、充分な技術や知識、見識を身につけることもなく、資格だけを手にして卒業して行きました。私は調理に対する心構えなどを厳しく教わったと思います。
私は料理人としての道へは進まず、栄養士としての道を選びました。しかし、今では栄養士の仕事もしてはいません。料理や食材に関する知識は奥が深く、生涯かかっても習得出来るものではありません。真摯な姿勢で「料理」と向き合う必要があるのです。料理を使い回すなど、利益を優先した恥ずべき行為です。
神戸市花隈の料亭に生まれましたが、宴会料理には飽き足らず、料理の品格を高めたいという志しから実家を出て独立、「吉兆」を開き、日本文化に対する高い見識を料理に取り入れ、日本料理界の地位向上に貢献した湯木貞一氏は、大きく名を汚されてしまいました。
「船場吉兆」の料理人たちは、営業サイドからの「使い回し」という要求に抵抗をしなかったのでしょうか。高い志しはなかったのでしょうか。調理を厳しく教えてくれた恩師たちは、このニュースをどのような思いで見ていらっしゃるのでしょうか。苦々しさを感じているのだと思います。
| Trackback ( 0 )
|
|